あらすじ
〈教団(オルデン)〉創立家に生まれつきながら一族の残虐さに反発し不審死を遂げた母ロサリオ、霊媒行為が心臓疾患を悪化させ死を迎えた父フアン。両親を失ったガスパルは、父が隠してきた闇の向こう側の存在を知り、避け続けてきた〈教団〉と相まみえることを決意する――。独裁政権時代から九〇年代までのアルゼンチン史をも呑み込み、ジャンルを超えてラテンアメリカ文学界を席巻した闇の一大叙事詩!(解説・杉江松恋)
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Posted by ブクログ
こんなに長い本読んだのは久しぶり。
最近の小説が値上がりしてるなか、この分量でこの値段!安い!かなり良心的、買う時絶対4000円超えると思ったのに。
章ごとに視点と年代が変わるし、物語のジャンルみたいなのも変わってて楽しい。解説の杉江さんが書かれてるようにわたしもコーマック・マッカーシーとスティーブン・キングが頭に浮かんでたからびっくり!
ガスパルのパートはITとかストレンジャーシングスを連想しながらだった。
こんなに長いのにそこ?って言われそうだけど、上下巻通して第5部が1番面白かった。
ここだけ雰囲気が全く違うし、ここ以外は教団に関わりがあって、ほとんど身内だけの視点だったのにいきなり外から見られる話になる。かなりスリリングでいわゆる普通のホラーだったりサスペンスものを感じたからかも。
あとはあちら側ですね。やっぱりここが出てくるとこはめっちゃ面白かった。スカッとするし。ここまで搾取し続けてきた特権階級を皆殺しにする場面はイングロとかジャンゴを彷彿とさせるいい展開ですね。ここまでの長大な物語を締める、こんな歴史へのカウンターが用意されてるとは!最高ですね。
地の文の中で会話が進行するのもスピード感があってよかった。こんなに長いのに流れるような読み心地です。
短編集をまだ読んでないからいずれ読みたいな。
Posted by ブクログ
自らの命を永らえさせる為に生贄を捧げ続ける〈教団〉とそれに利用され使い潰される〈霊媒〉という構図と、〈教団〉から子を守ろうとする父、という構図が重層的になった壮大なダークミステリーとして、非常に満足のいく終わり方だった
上巻における主人公が退場したことで、今巻は誰が主人公なんだろうと開いたらロサリオだったことには驚いた
それぞれの部ごとに視点が異なっているため、同じ事件に対して多角的に描写され、それに伴い〈教団〉の内部事情やアルゼンチンの政治状況など、これでもかと言うくらいに物語を膨らませることで、終盤にかけてどういう風に終わるのかとページをめくる手が止まらなかった
上巻がフアンvs〈教団〉という構図でバチバチやりあってたのに対して、下巻は怪しげな雰囲気や伏線が貼られながらも概ね日常らしい様子が描かれていたが、最終盤になると一変、上巻からの伏線を一気に回収するように物語が急進行し、綺麗に畳まれた
子供を守ろうとするが必死さと不器用さがあいまって暴力を奮ってしまう父の姿や、父の献身の実情を知らずに反抗的になって取り返しのつかない事態に陥っていく息子の様子が読んでていたたまれなかった
登場人物からの印象はさておき、読者の目線から見て、良い人の「良さそう」さと悪いやつの「悪そう」さがハッキリと描かれているのは、読みやすくてありがたかった
そういう意味では、〈教団〉の一構成員でありながらも、フアンとガスパルに尽くしてきたしもべとして物語の出番を終えるスティーヴン(エステバン)に「こいつ裏切りそ〜」感を終始感じていたのは、作者の意図なのかなとも思う
Posted by ブクログ
家族から勧められて読んでみた。とにかく面白いらしい。
期待が高まる、、、が、帯を見ると、、、
えっ⁉️ホラー?
全世界が注目する南米ホラー
今世紀、最強の恐怖
アルゼンチンのホラー女王が綴る暗黒の書
これまたおどろおどろしいキャッチコピーが並ぶ。
私、ホラー苦手なんだよねぇ〜怖いのよ(泣)オカルト、怪談の類が無理❗️絶対、怖い❗️一人で寝れなくなる❗️嫌だ、、、読めない、恐ろしすぎる、、、と相当、読み始めるまで悩んで、怖いもの見たさに〝えいやぁー″と勢いで読み始めた。
なんじゃこりゃ?
巻末の解説に「ページを繰っても繰っても全貌が見えてこない構造の複雑さ」とあったが、それそれ!複雑な小説を読みこなす力のない、単純すぎる私が悪いのか?視点を変えた登場人物の一人語りが長い!長過ぎる!一人でごちゃごちゃ語らんでええから、話を先に進めてちょうだいよ、と飽きてしまう。
1980年代のアルゼンチンという国の社会情勢を背景としているところは、興味深かった。
北欧ミステリーで耐性がつき過ぎたのか(つき過ぎて不感症を患ったのか)大してホラー要素の不気味さも感じず、唯一興奮したのは館に入り込んだ少年少女4人組の一人が三人に手を振った、、、そうして手を振ったあと、、、の館探索の箇所くらい。
最後まで、人を彷徨わせ、呑み込む館が重要な舞台となるのだが、、、。
事実は小説より奇なり、で異形のものは別として、こんな〈教団〉実際にあったのでしょうねぇ
。今でも密かに行われていたりして、、、ホラー小説を怖いと思えないくらい、現実の方がよっぽどホラーです。
複雑さは、いろいろな事を示唆しているからこそのようでした。