【感想・ネタバレ】木挽町のあだ討ち(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

雪の夜、木挽町の芝居小屋の裏手で、菊之助なる若衆が果たした見事な仇討。白装束を血に染めて掲げたるは父の仇、作兵衛の首級(しるし)。二年後。目撃者を訪ねる武士が現れた。元幇間、立師、衣装部屋の女形……。皆、世の中で居場所を失い、悪所に救われた者ばかり。「立派な仇討」と語られるあの夜の〈真実〉とは。人の情けと驚きの仕掛けが、清々しい感動を呼ぶ直木賞・山本周五郎賞受賞作品。(解説・中島かずき)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

いきいきとした江戸の町人の様子が容易に想像できる、鮮やかで読みやすい文。
時代物なんて一切読まないのに、とても読みやすくて物語に引き込まれた。
オチは割と序盤で想像がついてしまったけれど、
だからこそ自分が木挽町の一員になったような気持ちであだ討ちを応援していた。
辛い境遇にある人にぜひ読んでほしいな、と思う本だった。

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2026年01月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった。
時代ものとか芝居ものには全く触れてこなかったものだから、今回の映画化+先輩のおすすめでやっと手に取るに至った。

各章では語り手の深くて重いバックボーンと、あれは素晴らしい仇討ちだった!ということが描かれているのだが、前者が9割で仇討ちの真相はなかなか見えてこない。

それが最終幕で一気にわかってくる。バックボーンをしつこく聞き回っていた理由。あだ討ちの理由。あとがきにもあったが、重さや人生の辛さをしっかり重厚感つけて描きつつも、後味が爽やかで人生の光を感じるような温かい話になっている作品というのはなかなか描けない気がする。すごいなあ。映画観るのもたのしみ!

0
2026年01月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

芝居小屋での連続インタビュー形式で話が展開して、じょじょに真実があきらかになっていく大筋のストーリーとインタビューを受けた人の半生とが織り成す感動の小説でした。第4幕、第5幕が自分は大きく感動しました。

第5幕より

「『お前さんが御無沙汰だって、幇間の太一が言ってたぜ。葛葉が落籍されるって話だから落ち込んでいるのかって気にしていたけど、お前さん、そういう性分でもないだろう』
喜兵衛に言われて、言葉を失くす。
いっそ葛葉が落籍されて落ち込んでいるっていう方が、人として真っ当だろう。話はむしろ逆なのだ。
『葛葉に惚れられていると分かって、怖くなった・・・』
喜兵衛に笑われるかと思ったのだが、存外、ふうんといって渋い顔をした。
『そりゃあ仕方ねえなあ』
俺は喜兵衛の答えを聞きながら、苛立っている自分にも気付いた。
『陽気に楽しく遊んでいたはずだったんだ』
金を払った遊びの場だった。それなのにどうして、こんな風に苦さや痛みを覚えなければならないのか。手前勝手な理屈だが、俺はそう思っていた。
すると喜兵衛は苦笑した。
『遊びだと割り切っていたとしても、ひょいと情が顔を出すことだってある。明るく楽しいだけの奴なんてこの世にいねえよ。どんな奴も手前の中の暗い闇やら泥やらと折り合い付けて、上手いことやっているだけだ。そいつを見せ合う相手が欲しいと思うのも情ってもんさ。それが葛葉にとってはお前でも、お前さんにとっては葛葉じゃなかった。それはそれで仕方ねえけど、情は情だと分かってやりな』
いつもは陽気な兄貴分の喜兵衛の声が、静かで落ち着いて聞こえた。
『兄さんにはいるんですか。そういう相手が』
すると喜兵衛は首を傾げた。
『さあ・・・いたり、いなかったり。こればっかりは、着物を脱ぐとか脱がねえとかとも違う話だ。見せ合う相手は女とも限らねえ。男かもしれねえし、木やら石やら、仏みてえなもんかもしれねえ。ふいとこいつに預けたいと思えた時に、少しだけ心持が楽になる。一時でも葛葉にとってお前さんがそういう男だったってことは悪いことじゃねえよ』」

山本周五郎を彷彿とさせる印象はありますが、すこし謎解き的な要素が色がちがって純粋な人情話という感じではないところがあります。第五幕が意外で驚くところはありましたが、第4幕で展開が想像できてしまうので全体としてミステリーの「やられた感」はそこまでではないです。個々の半生の話は心打つものがあります。

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2026年01月25日

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