あらすじ
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――月虫の姫ぎみの はなしを して あげよう。
月虫と いうのは、なまえの とおり、月に すんで いる 虫だ。
地球にうみおとされた月虫のたまごはやがてふしぎな音をたてはじめて……。
『博物館の少女』の富安陽子が文を、『海獣の子供』の五十嵐大介が絵を描く、新感覚おとぎ話。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
月虫の幼虫は人間に擬態し、人間に育てられる。
かぐや姫の物語を大胆に翻案した作品。怖くて美しい物語。
物語が持つ力と、絵の持つ魅力が見事に融合した、絵本ならではの醍醐味が満ちる。
Posted by ブクログ
4'30"
美しい絵と少し不思議なお話。竹取物語オマージュだけど、今の子はかぐや姫を知っている前提で話せないところがあるから、対象年齢に迷う。
Posted by ブクログ
まず、表紙の女の子、緑の髪に、緑の眉、
緑の目に、赤い瞳、不敵な笑みを
浮かべていて、ちょっと不気味で怖いけど、
インパクト大で興味をそそられる。
月を見上げると月虫がいる。
擬態の絵がリアルで、虫嫌いの人は、
眉をひそめたくなるが、生き物の神秘さ
を感じさせ、しかも、そいつは、
人間そっくりの姿にばける。
(不敵な笑みの正体はそこにあったのかと)
殿方がどんなに高価なプレゼントを持って
きても、興味なし。だって虫だからね。
最後、裏表紙まで物語は続き、時空を超え、
月虫は現代も!壮大なSFで、お話しと絵が
とてもマッチしていて良かった。
Posted by ブクログ
ただ今、富安陽子さんの作品を読み続けて、不思議な物語の魅力を知りたい期間中です。
『月虫の姫ぎみの はなしを して あげよう』から始まる本書(2025年)は、まさに富安さんの空想力が光る創作ものなのに、月虫の臨場感ある描写を読んでいる内に本当にいるものと思い込んでしまったのは、どうやら名前の似た雪虫と勘違いしていたようだと、後になって気付く。
でも、存在していたらロマンチックなのになぁと思ったのは、『月虫は、月の まわりを とびまわって、星くずに たまごを うみつける。もし、うんが よければ、その 星くずは いんりょくに ひかれて、地球へと おちて いく。』と、星くずに母の祈りと共に子の命をのせていることに、宇宙規模の壮大な賭けとも思われた夢のあるお話だからであったのだが、そこには浪漫だけでは生きられない、巧妙な知恵に長けた生き抜くためのアイデアが最大限に活かされていたことを後々知ることとなり、それは感情的なものというよりも生存本能に近い、生き物としての無自覚な冷酷さとも思われる部分に怖さを感じられたことに、創作ものでありながら、妙なリアルさを感じられたのは、『虫たちは みんな かくれんぼの めいじんだ』という伏線の効いたお話の展開も大きい。
この作品は、漫画家の五十嵐大介さんに絵を描いていただくために富安さんが仕上げただけあって、五十嵐さんの絵にも対等に同居していたロマンチックさと不気味さのバランスの良さが絶妙に感じられると共に、その場面毎に於ける漫画家ならではの様々な感情を呼び起こさせる効果的な絵の見せ方には、富安さんの文章には書かれていないけれども、読み手に伝えたい繊細なところを絵が語っている印象を抱かせてくれて、それは表紙と裏表紙の絵を見ても実感できるのではないかと思った、リアルさ漂う月虫の存在感である。
そして、富安さんの絵本に於ける文章からは、児童文学で詳細な表現を綴るのとはまた異なり、必要最小限、且つ、無駄のない文章量で絵を邪魔することなく、その上、お話を目まぐるしく展開させて面白さも損なわない、そうした書き方には児童文学、絵本、それぞれの特性や魅力をどのようにすれば引き出すことができるのかをよく分かっていらっしゃるのだと感じたのも、高校生の頃から執筆し続けている、その膨大な作品量の多さがものの見事に物語っているのではないかと思えば、肯けるものもあるのではないだろうか。
更に注目すべき点は、このお話ならではの中々体験できないであろう面白さで、それは富安さんが『昔から納得いかなかった』と思っていたことが発端となったこともあって、読み始めた当初はオリジナルのお話かと思っていたのに、途中でいきなり、よく知るお話の世界に迷い込んでしまった感覚というか、しかも、その新解釈には理に適った納得感があるのが素晴らしい、ある意味で言うところの衝撃作で、事前情報無しで読むと、かなり驚くと思います。