あらすじ
江戸時代初期、備前岡山城下の風呂屋・和気湯に、天女のような湯女がいた。名はお藤。その美貌と諸芸は群を抜き、なぜ下世話な風呂屋にいるのかという人々の疑問はもっともなことだった。だが、お藤はけっして身の上を語ろうとはしない。元藩主のご落胤とも朝鮮王族の血をひくとも囁かれるお藤は、いったい何者なのか――。妖しき湯女は、夜ごと男の伽をしながら、寝物語に不可思議な話をはじめるのだった。圧巻の時代怪談!
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Posted by ブクログ
つまらんほんまの話より、面白い嘘がええ。
天女と言われるほどの美貌を持ち、歌に舞等の芸事、そしてあらゆる教養の豊かさ。才色兼備の権化のような主人公お藤さんと、その周囲に集まる人間が語る怪異譚。
深い因果を感じさせる摩訶不思議で、悍ましい怪談の数々は嘘か誠か。…なんてそんな野暮な問い掛け、そっと心の中に閉まっておいてつかぁさい。とお藤さんに、叱られそうではあるが、彼女のその絶妙な語り口は、文字を介しても伝わってくるようで、どんどん虚実の測れぬ物語の世界へと引き込まれてしまう。
Posted by ブクログ
面白かったです。
湯女のお藤の語る、不思議なお話の数々。
怪異の怖さも、人の心の怖さもとりどりでした。
「当人らには大いなる不幸でも、他人からはありふれた悲しみだ」という視点、冷たいようで、でもそうだよな、と思いました。その人にしかわからないし、外からいろいろ言われるのが、助けにもなるし辛いときもあります。
全てを包み込むお藤が魅力的でした。
Posted by ブクログ
ミステリアスな湯女のお藤が客と様々な話を語り、また語られる話。
何が本当で何が嘘なのか、はたまたどれも本当でどれも嘘なのか。
お藤が食えない女だなーという印象が強い。