あらすじ
29歳で佐々木小次郎に勝ち天下一の実力を示した武蔵。「ふかき道理」の追求の果てに達した境地を「地・水・火・風・空」の5つの兵法とともに記す。近年発見された数々の資料も取り入れ、武蔵の実像に迫る。 ※本作品は紙版の書籍から挿絵の一部が未収録となっています。あらかじめご了承ください。
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Posted by ブクログ
以前からちょこちょこ読んでたやつ。ようやく読み終わったが最初の方はもうだいぶ忘れてる。兵法書だが、その道の人以外にも感じるところはやはりあって、面白い。五輪書の原文・訳と、前後に宮本武蔵の実像についてや、五輪書の現代における位置付けなんかも入っていて、宮本武蔵入門的なところもある。五輪書は完訳ではないが、大部分入っている感じかな。実際に比較したわけではないが、類書の中でもよくまとまっている部類ではないかと感じる。強いていうなら、訳が、原文を尊重するせいかかなり直訳な感じなのは好き好きかも。
Posted by ブクログ
五輪書そのものを浅読みして「ふむふむなるほど」と賢ぶっても時間の無駄。
そんな読み方とは無縁にさせてくれる本。
○なぜ武蔵はこの本を書いたのか?が時代背景とともに解説されてること。
○なぜ五輪書がこれだけ普及しているのか?が時代推移とともに示されていること。
この2点だけでも価値高い一冊。
それにしても、五輪書おそるべし。人生の一冊になりそうだぞこりゃ。
Posted by ブクログ
電子書籍で読みました。
五輪書全文掲載ではないのは残念だけども、ポイントとなる本文と訳、解説が丁寧に執筆、編集されていて、五輪書の中身や宮本武蔵について知るにはいい一冊。
武蔵のイメージが変わりました。とても現実的な人だったのですね。
Posted by ブクログ
宮本武蔵の「二刀一流(二天一流)」について、自ら没する前に記し残した兵法書。武蔵は、13歳から29歳までの間に戦った真剣勝負において、一度も負けなしという。
吉川英治の「宮本武蔵」は、何度も通読し、その剣へのひたむきな姿に、感動と尊敬の念を覚えたものだ。
本書は、「地」「水」「火」「風」「空」の五つの巻から構成されている。全体を通じて、テーマは「必ず勝つ」ということ。「勝つ」ためにどうすればよいか、それを合理的に考えられたのが武蔵の兵法なのだろうと思う。
当然、斬るか斬られるかの真剣勝負であり、現代のスポーツやゲームなどの世界とは違い、リアルに命がかかっており、負け=絶命を意味していたのであるから、勝てない兵法は無意味ということかもしれない。
ただ、武蔵は他の流派についても研究している。他の流派を批評し欠点を論じている。それらの他流に置いて、型を重んじて居たり、美しさを求めていたりしていることにには否定的であり、徹底した合理主義であると感じた。実践で役に立たない兵法は不要ということだ。ただし、どの流派がどうと、名前を出していないし、出す意味もないとしている。
武蔵の兵法は、固定的なものはない。変幻自在というか、相手によって、環境によって、状況によって、戦い方を変化させる。いわば、相手の心理を読み、環境を自分の味方につけ、状況を自分の有利に導き、いかなる不利をも有利に変化させていく兵法であると感じた。「構えあって、構えなし」というのはこのことを良く表現している。
また、技の部分もさることながら、心理戦をも重視している。そしてそれらテクニックの部分の根本となるとなるのが「空の巻」で述べられている「心に曇り、迷いがない」という点ではないかと思う。
以下、心に残った点を記しておきたい。
「地の巻」
その後なおもふかき道理を得んと朝鍛夕錬してみれば、をのづから兵法の道にあふ事、我五十歳の比なり。夫より以来は尋入べき道なくして光陰を送る。兵法の利にまかせて諸芸諸能の道となせば、万事におゐて我に師匠なし。
「水の巻」
兵法の道におゐて、心の持やうは、常の心に替る事なかれ。常にも兵法の時にも、少しもかはらずして、心を広く、直にして、きつくひつぱらず、少もたるまず、心のかたよらぬやうに、心をまん中におきて、心を静にゆるがせて、其ゆるぎのせつなもゆるぎやまぬやうに、能々吟味すべし。
「火の巻」
朝から夕まで鍛練を続け、磨き果せて後、一人自由を得て、自然と不思議な力を身に得、万事に通じる力があるようになる。これが兵として法を行う心意気である。
「風の巻」
此道を学人の智力をうかゞひ、直なる道をおしへ、兵法の五道六道のあしき所をすてさせ、おのづから武士の法の実の道に入り、うたがひなき心になす事、我兵法のおしへの道也。
「空の巻」
心のまよふ所なく、朝々時々におこたらず、心・意二つの心をみがき、観・見二つの眼をとぎ、少もくもりなく、まよひの雲の晴たる所こそ、実の空と知るべき也。
Posted by ブクログ
武蔵は頭のいい人だったのだと思う。見直しをしたらしい前半はすごくまとまっている。後半は寿命のため、余り見返せなかったであろうと書いてある通り、やや繰り返しも多い。
全文掲載でないのは残念だが、編者が順番を工夫してくれてあり、非常に分かりやすい。加えられている説明も分かりやすい。悪くないと思います。
武道を何もしていない私なので、理解できていない所は多いにあると思うけれど、武道、そして武道に限らず何かを突き詰めて究明したい人に対するメッセージに近い。
武蔵が兵庫県出身なんて知らなくて、びっくりした。
英語のタイトルがa book of five ringsなのに不満。五輪書はそもそも武蔵が付けたタイトルでないらしい。武蔵は生真面目な人だったことがうかがわれ、各巻を火の巻などと名付ける理由などを物語ってから本文に入っている。五輪の輪はせめて倫ではないかを思う。。。この本には関係ないけど、翻訳を生業とする者として気になる。