あらすじ
文系教授(哲学)・土屋賢二と理系助教授(建築学)・森博嗣。発想も思考も思想も性質もまったく異なる2人が、6回にわたって行ったトークセッション。小説の書き方から大学の不思議、趣味の定義、友人は必要なのかという根源的な問いまでを軽妙かつ神妙に語りつくす。読むと学びたくなる絶妙「文理」対談! (講談社文庫)
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Posted by ブクログ
このスパーリングのような対談が、ある意味で最高レベルのパフォーマンスだと思ったのは、ここで語られている瑣末な話題の中に垣間見える論点が極めて哲学的であったから…
森博嗣先生のことについては、おおよそ1年間かけて、著書を51冊読んできたので、それなりに知っているつもりです。でも、土屋賢二先生のことについては、まったく存じ上げない状態で読み始めました。
最終章の「そこに論点があるか、あるいは何もないか」では、編集者らしき人物が二名登場し「テーマに沿ってお話をいただきたい」という発言もありますが、そもそもテーマらしきものの提示が認められず、最後までテーマが何か、それとも何もないか、解らないまま終了しました。
正直、あまり期待していなかったのですが、読んで楽しい内容でした。対談に限らず、インタビューでもそうですが、読者に紹介したい人物の魅力を引き出すには、対談する人物同士、あるいはインタビュアーが魅力的な人物でなければなりません。土屋賢二さんは、自虐的に自己開示するという「肉を切らせて骨を断つ」かのような必殺技で、森博嗣さんが普段見せない断面を見せてくれています。
Posted by ブクログ
理系と文系の対談だった。私は文系なので土屋氏への共感が大きく、森氏に対しては「このように考えられたら楽であろうな」と思わされるばかりだった。
だがひとつ。ジェンダーなどに対して考えが進んでいる文系である土屋氏の方が女性蔑視的な発言が多かった点がいただけない。森氏に関しては性別を考えていないようだった。人間に対する興味が薄い分であろうか。その点については再度考察できたらと思う。
ミステリーが苦手な筆者であるが、今作品を読んでも克服は難しかった。だが土屋氏の書くミステリーの会話文が大変リズミカルであり、彼のエッセイを拝読したいと感じた。
個人的に好きな話は森氏の「子供に人形を与えると、男児はそのシリーズの別の人形を集めたがり、女児はその人形のための椅子や服をねだる」話だった。男女の違いは幼い頃から形成されていることがよくわかる。