【感想・ネタバレ】眠れる美女(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

「女の子を起こそうとなさらないで下さいませよ。どんなに起こそうとなさっても、決して目をさましませんから……」老いを感じ始めた六十七歳の江口が通された部屋には、深紅のビロードのカーテンがかかり、布団の中では、若く美しい娘が裸のまま眠っていた。江口が娘に触れ、布団に入ろうとすると――。「片腕」「散りぬるを」を併録。(解説・浅田次郎)※三島由紀夫による解説は収録しておりません。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「老人」と「眠っている年若い美女」という断片的な情報のみで興味を惹かれて読み始めたが、話の設定は当初の想像を超えていた。
まず、「眠っている」のは強い薬で「眠らされている」からだったし、その美女は何も身につけていなくて、老人は同じ布団で眠ることができるという「サービス」だった。
老いにより男として不能となった老人たちは、娘に危害を加えない「安心できるお客さま」だからこそ成り立つサービスというが、そう見くびられては困ると内心憤る主人公という構図の面白さに恐れ入った。
老いのみにくさと対照的な娘たちの艶かしさを描写する川端康成の技術に感嘆しっぱなしだった。

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2026年02月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

表題作「眠れる美女」について。
老いた男の欲望、若い女の眠る身体、死の気配、美文、処女性幻想、女の沈黙、時代的な無理解などが複雑に絡まった見事に醜悪な作品である。

老いた江口は、眠らされた若い女たちと一夜を過ごせる秘密の館へ通う。女たちの傍らで、彼は老い、欲望、過去の女たち、死を思い返し、自らの醜さと惨めさに沈んでいく。

江口は、自分の行為が醜いこと、惨めなことを何度も認識している。
眠れる美女の隣で眠ることを「醜悪な老人の行い」と認識しながらも、想像上の「すでに男でない老人」と自分を比べ、自分はまだ違う、まだできる、と信じている。しかし実際にはできない。禁を破ることを想像しても、覚悟はない。欲望はあるが、責任は取りたくない。主人公江口老人が認識する醜悪と惨めさの上をいく醜悪と惨めさを、読み手はそこに見る。
また、繰り返し描かれる眠れる美女の美しい身体の描写に対して、妻の存在はほぼ触れられない。そこに江口の無力さが際立つ。

終盤、娘に異変が起きる。眠れる美女のはずが実際永眠していると知ると、江口は歯の根が合わないほど震える。江口の老いた欲望の幻想空間、甘美な自己憐憫を、本物の死が破る場面は見事である。
それによって倫理が回復するわけではなく、むしろ、女の身体が最後まで代替可能なものとして扱われることで、この館と江口の視線の醜悪さが完成している。

感想を一言で言うなら、素晴らしく気持ち悪い。
そして、江口老人は10段階中8000くらい腹立たしい。今まで読んできた小説の主人公の中で、もっとも気持ちが悪く腹の立つやつである。そこまで読み手の感情を喚起させる無駄のない文章は圧倒的で、芸術的だ。

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2026年06月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『散りぬるを』の中の、
「暗がりに一人身を忍ばせて待って、またうしろからいきなり飛びついて、わっと相手を嚇かす時の子供心はどうであるか。自らの寂しさである。愛への媚びである。」
という一文に深く唸った。

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2026年06月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なんと言うか不思議な雰囲気の作品だった。ただ裸で隣に寝ている少女から自らの過去を思い出していく江口の姿がなんというかグロテスクというか・・・。不思議な感じで決して気持ちのいい作品ではないけど何となく引き込まれていく感じがした。『片腕』もなんとも不思議な世界。川端康成はそんなに読んだことがないけどたぶん異色な作品なんだろうな~。

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2026年06月19日

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