【感想・ネタバレ】古都(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

京都の呉服問屋の娘である千重子は、幼馴染の大学生、真一と平安神宮へ花見に出かける。夕暮れ時、彼女はある秘密を明かすが、真一は本気にしなかった。やがて夏の祇園祭の夜、千重子は自分とそっくりな娘と出会う。あなたは、いったい誰? 運命の歯車が回りはじめた……。京都の伝統ある行事や街並み、移ろう季節を背景に、日本人の魂の底に潜む原風景を流麗に描く。ノーベル文学賞対象作品。(解説・山本健吉、綿矢りさ)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

四季折々の神社仏閣や伝統的なお祭り、西陣織や北山杉など古都の風情がたっぷりに描かれている。はんなりした京言葉も優しく響く。古き良き京都…なんとまぁ美しいのだろう。
複雑な生い立ちを抱えた千重子と苗子。祇園祭の夜に運命の出会いを果たし、双子であるお互いの存在を知る事となる。捨てられた子と捨てられなかった子。育ての親だが裕福に育てられた千重子と実の親だが早くに死に別れ、貧しく働くしかなかった苗子。
どちらが幸せだったのだろうか。
初めて枕を並べ一晩を過ごすが、姉妹一緒の時間はそう長くは無かった…。
千重子の幸せを願い、邪魔にならないように身を引く苗子が奥ゆかしい。その気持ちを理解し見送るしかなかった千重子もまた、純粋である。泣けた。
物語の中盤、北山で雷雨に会い、苗子が千重子に被さり守るシーンが劇的で印象深い。お互いの温もりを感じ、胎児の頃を想像させ、双子の姉妹である事を実感する大切な場面だ。千重子の可愛さ、苗子の強さが伺い知れる。

誰もが人を思いやる。相手の幸せを願い身を引く事ができる。昔の日本人はこうだったんだろうなぁ。現代の私達が無くしつつある古き良き日本を思い出させてくれる美しい物語。
川端康成の凄さを改めて体感できた。
川端康成の小説を読むのは、「伊豆の踊り子」「雪国」に続いて3作目。なかなか理解できなかったが、3作目にしてようやくその素晴らしさが少しでも実感できて良かった。
この本を持って京都に行きたくなった。

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2024年10月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

双子の姉妹の話だと聞いて読みたくなった。初めての川端康成である。思っていたより読みやすかった。京の人に校正してもらったという京言葉は本当に美しく感じた。舞子さんが使っているイメージが強いが、一般の人でもこんな雅な言葉遣いだったんだなぁ。四季折々の京の描写があり行きたくなった。北山杉の森に行きたい。
苗子が千恵子を好きすぎて可愛い。尊い姉妹愛。
苗子千恵子、秀男、大問屋の兄弟の五角関係だと思うのだが、終わり方が良くも悪くもスパッと中途半端に終わるのでとても気になる。最後に姉妹2人の夜で終わらせたのはいいと思う。物語の完結が目的ではなく、京という箱庭の中で行き合う人々の物語…かな?

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2023年10月26日

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