【感想・ネタバレ】B.A.D. チョコレートデイズ(3)のレビュー

あらすじ

どうしてこうなった……。七海が挑発し、白雪がプライドを賭け、繭墨が油を注いだ料理対決という惨状に、僕は頭を抱える--『クッキング・オブ・ヘル』。学校の時計塔で少女たちが消えてゆく。友人を助けるため立花梓は再び嵯峨雄介に助けを求めるが--『さよならの時計塔』。桜の下で、繭墨あざかはただ不吉に美しい。それ故に僕は絶望するしか出来なかった--『僕が彼女を理解できない不条理』他、全4編で贈るチョコレートデイズ・セレクション第3弾!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 今回は日常を象徴する様な話が多かった印象。特に「さよならの時計塔」では雄介の後輩の立花梓が、怪異の世界に少しだけ乗り出しつつも日常へと戻っていく姿が書かれていました。本編では日常へ戻れない人物ばかりが出てくるので、立花梓の様な日常の中に生きる人物には珍しさすら感じてしまいます。

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2025年07月07日

Posted by ブクログ

早くも3冊目の短篇集。短編とはいえ、前後の本編も間髪入れず刊行し、さらに片手間でホラーアンソロジーの描き下ろしまで書いてしまう綾里先生の筆の速さには毎回脱帽です。沢山の本を読んでいる者としてはもう少しゆっくりでも全然問題無いんだよ?(ェ

「小田桐勤と繭墨あざかの休日」は小田桐と繭さんそれぞれの視点から小田桐の休日を描いたもの。話は繋がっているのに全然違う休日をすごしているところが面白い。

「クッキング・オブ・ヘル」は料理対決でグチャグチャになってギャアアアなテンプレ展開を期待していたのだが、七海は勝負を放棄して白雪と綾の料理を小田桐が支えるという展開に。
白雪さん出すならもっとイチャイチャすればいいのにとかなにすくぁwせdrftgyふじこlp

「さよならの時計台」は雄介・梓の続編。やっぱこういう本編に近い方がなんだかんだで面白い。
一番怖いのはやはり人間だねぇ。本編ともリンクしている話なので要チェック。

「僕が彼女を理解できない不条理」は最初から少し毛色の変わったものだとは気づいてたけど、そういうことだったのか・・・これはかなり高度な話かな。

・・・と、思わせておいて本巻で一番高度な話だったのは「クッキング・オブ・ヘル」だろう。
え、散々言っといて!?とか思われるかもしれないが、白雪さんが味音痴って考えてみれば(本編読んでいる人にとっては)当たり前の事なんだよね。どうして気づかなかったのだろうか。

そんなわけで色々詰め込まれたチョコレートデイズ第3弾。こんだけ語っておいてなんですが、白雪のイラスト観れるだけで眼福です、正直。

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2012年10月10日

Posted by ブクログ

今回は短編集らしいエピソードが並ぶ構成となったね。日常成分に溢れていて血みどろ成分が珍しく薄い
特に小田桐の日常とあざかの日常が裏表で描かれた『繭墨あざかと小田桐勤の休日』は特に短編らしさに溢れている。小田切からはあざかが休日をどのように過ごしたかは見えないし、あざかの側から小田切がどのように日々を過ごしているかを見えはしない。小田桐は穏やかに友人に囲まれた日を暮らし、あざかは凄惨な依頼人が訪れる日を過ごす。対極的な2人の休日がほんの少し交差する内容は短編だからこそ出来るものと思えたよ

この巻の収録エピソードで面白いのは小田切に成り代わろうとした男、又は小田切かと誤認させる男がそれぞれ登場する点だね。
繭墨あざかの隣に見た目は普通な小田切が侍り続ける状況はあざかを知る者こそおかしいと指摘し続けてきた光景ではあるんだけれど、小田桐の役を狙ったかのような人間が2人も登場した事で尚更に小田切の特異性が強調された気がするよ

腹を裂かれた男はそもそもあざかの隣に居る資格が無かったタイプか
あざかの家に迷い込んだ点において、彼も特異だったと言えるのかもしれないけど、逃げた果てにあざかの家に辿り着いただけ。また、あざかに興味を持たれるだけの何かも持っていなかった
そこにあるのはただの偶然であり必然は無かった。だからあざかも彼を助ける理由を持たない

従者の男は様々な特徴が小田切らしさを持っているけれど、正体と共に指摘されるように彼とて逃げ出した人間だね
あざかと向き合えず、また弱い自分すら直視できなかった。それでいて自分の弱さから生じた問題をあざかに押し付けようとした。あざかが言うように彼は資格がない処の話じゃなく、そもそもあざかの傍に居るべきではなかった人間なんだろう

そう思えば、鬼を孕まされた後に望んであざかの手を取り、そして天使が巣食うビルの一件を経てなおあざかの傍に居ると決めた小田桐こそ、あざかの隣に侍るに相応しい人間かもしれないね


直接的には雄介編と関わり無いながらも、それに至る前日譚になっている『さよならの時計塔』。同時に梓が小田桐達の居る世界に一瞬だけ踏み込んでしまったエピソードでもあるね

友人を返り討ちにした事で自身を取り巻く偽七不思議は去っても友人まで去ってしまった梓は孤独
ここで雄介が彼女に絡み続けるのは梓が人に混じれない人間である為か出会った際に大泣きしていたからか
どちらにせよ、雄介のお陰で梓は孤独を紛らわせる事が出来ている。でも、学校という集団生活の場で孤独をものともしないかのような姿勢はそれこそ敵意の対象となってしまうわけで

それでも梓がいる場所が本物の日常で有れば、大事にはならなかった筈。なのに時計塔が怪異と繋がっていたのは不幸極まりないし、怪異の世界を垣間見てしまったのも一種の不幸か
そうして明らかになるのは梓の性質か。本編では自分を傷つけて他者を助けようとする小田桐の悪癖が散々に描かれてきたけど、梓もそれに通じる精神性を披露したね
ただ、小田桐が静香の死のショックから悪癖を発症したのに対し、梓は良い子ぶりたい、良く言えば日常に留まりたいとの精神から自分を虐めた人間をも助けようとした感じか
八重を助けたい気持ちに迷いはない。けれど、凛子や新島、顔も知らない生徒まで危険を冒して助けたいかと聞かれれば迷いは生じる。己のそんな心情を知りながら梓は異界に飛び込むわけだ。それは雄介の表面的な狂気と決定的に乖離する感情だね

梓の独善的な救出願望は日常を維持したいとの精神に基づいている。だから格好付けた装いなんて全く無い。だからこそ梓の頼りない抵抗に八重も凛子も同調できたと言えるのかもしれない

梓の近くから雄介は去ってしまった。代わりに訪れたのは友人達か
それは梓がようやく普通へと戻れたように思えて。そう捉えると雄介もいつの日か、日常を過ごす梓の近くに戻ってこれるのではないかと思えるようだったよ

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2025年02月11日

Posted by ブクログ

小田桐が休暇を取った話、小田桐が休暇を取った時の繭墨の話、女性陣により男性陣が死ぬ料理の話、雄介と梓の七不思議の話、繭墨の話、これらの短編集。
1話と2話は同じ時間軸で小田桐サイド、繭墨サイドに分かれている。電話やメール越しだとお互いに相手は平和にやってそう。実際はそうでないのが、ギャップがあって面白かった。
白雪と七海のバトルは小田桐による白雪と綾のクッキング教室になってしまい、七海が白雪と同じ土俵に入ろうとしなかったのが消化不良。
雄介と梓の話、梓は鈍感で空気が読めないが、それは雄介にも言えている。似た者同士の2人はそれぞれの良い所は分かるのに自分のことは見えてない。それが悲しかった。
これは作者が読み手に面白い誘導をしていて、終盤でそういうことだったのか納得する話だった。繭墨の考え方はわがままで冷酷で慈悲もないが、納得出来ることもある。それでも思ってしまう、やってしまうのは人のさがだ。

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2021年06月29日

Posted by ブクログ

短編4編を収録しています。

第1話「小田桐勤と繭墨あざかの休日」は、小田桐の休日に2人の身に起こった事件を、それぞれの視点から描いています。

第2話「クッキング・オブ・ヘル」は、小田桐をめぐって白雪と七海のバトルが勃発。あざかが火に油を注いだことで、白雪が生まれて初めて包丁を握って料理にチャレンジすることになります。

第3話「さよならの時計塔」は、雄介と梓がメインの話です。学校の七不思議の一つである、時計塔の謎に2人が巻き込まれることになります。

第4話「僕が彼女を理解できない不条理」は、あざかの付き人でありながら彼女を裏切った男の視点から、事件の顛末が描かれます。

ライトノベルではお約束の料理バトルですが、白雪の方がドンピシャのハマリ役なのに対して、七海の方はあざかとは違った意味でズレているところがあって、なかなかバランス調整が難しいのかもしれません。ちょっと中途半端な印象でした。

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2014年11月20日

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