【感想・ネタバレ】会話の0.2秒を言語学するのレビュー

あらすじ

会話で相手と交替するまで平均0.2秒。この一瞬にどんな高度な駆け引きや奇跡が起きているのか――言語学の歴史を大づかみに振り返りつつ、「食べログ」レビューからお笑いに日銀総裁の会見、人気漫画まで俎上に載せ、日常の言語学をわかりやすく伝える、待望の書き下ろし。なぜうまく話せないのか。悩んでしまうあなたの必読書!

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Posted by ブクログ

言語学という宝石箱をひっくり返したような、キラキラした本です。
あるいは、言語学全体を走り抜ける観光バスに乗った読者に、著者が添乗員役として見どころの解説を次々にしてくれます。そんなバスツアーでありながら単なる羅列にならないストーリーテリングの技が素敵です。軽妙でいながら大事なことは正確に語る語り口が良く、一気に読めてしまいます。
とはいえ、参考文献も含め何度も味わえる奥の深い本でもあります。
言葉や学問に関心のある人全てにおすすめできる本です。

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2025年11月29日

Posted by ブクログ

良い意味で、語彙も構成も中学生レベル。読みやすくどんどん読み進められる。
なぜZOOM飲み会が自分に刺さらなかったのか、腑に落ちた。

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2025年11月25日

Posted by ブクログ

自称言語オタクの水野さんの本。
ご本人はあとがきで「テーマがでかすぎて行儀の悪い本」とおっしゃってるけど、こういう本こそ「このジャンル面白いかも」と思わせる力があるのよね。


特に印象に残ったのはこのあたり。

■ヒトは200ミリ秒=0.2秒でターンテイキングしている
ターン=話者が交替するまでの発話
ターンテイキング=話者の交替

■「はい」より「いいえ」のほうが沈黙が長い
はい 平均150ミリ秒
いいえ 平均650ミリ秒語オタクの水野さんの本。
ご本人はあとがきで「テーマがでかすぎて行儀の悪い本」とおっしゃってるけど、こういう本こそ「このジャンル面白いかも」と思わせる力があるのよね。


■ヒトは200ミリ秒=0.2秒でターンテイキングしている
ターン=話者が交替するまでの発話
ターンテイキング=話者の交替

■「はい」より「いいえ」のほうが沈黙が長い
はい 平均35ミリ秒
いいえ 平均60ミリ秒

zoomの音声送信にかかるラグは約30~70ミリ秒
コミュニケーションは本来、たった0.1秒の差で大きな違いを生むもの。だからリモート飲み会は定着しなかったのではないか。

■フィラー=あのー、そのーこう、えーっと
・フィラーの役割のひとつは発話のターンの保持
・フィラーは洗濯機のノイズと同じ
 →「適切な伝え方の模索」という作業に伴って出るノイズ

■吃音が出やすい言葉と出にくい言葉がある。吃音を回避するためにカタカナ語を使っているケースもあるかも、という考え方



さらに細かく見ていったときの、研究的な話も面白かった。

・「あのー」と「えーと」の違いや、「うーん」と「えーと」の違い
・言葉とジェスチャーどっちが先か
など。

こうやって言語学者は言葉を紐解いていくのかと思うと、言葉に対する新しい興味がわいてくる。


引用文献の中では『自閉症は津軽弁を話さない』松本敏治著を読んでみたくなった。


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その他、面白かったメモ
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・言葉は実際に使われるときには、事実そのものを伝えることってめっちゃ少ないよね byジョン・オースティン

・言語行為論 発話は言葉を通じた働きかけ

・協調の原理 byグライス
量の公理、質の公理、関連性の公理、様態の公理p32

・関連性理論 byスペルペル、ウィルソン
聞き手は「話し手の伝えたいことを復元する」のではなく「関連性の高い解釈を見つけるまで推論」している。

誤解を招いたときは「相手が正しく解読できなかった」のではなく「相手が適切な解釈にたどり着くためのいいヒントを与えられなかった」と考えるようにしているby水野さん

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2025年11月25日

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推しが単著発売したと聞きまして。
「ゆる言語学ラジオ」は結構初期からお世話になっているし、自分が30歳超えてから人文系書籍への道を歩みだすきっかけとなったターニングポイント的な番組。

いつもの軽妙な語り口を要素を残しながら、水野氏の普段は見せない言語学に対する情熱をひしひしと感じた。人文学への期待と信頼。私もそうあってほしいという願望込みで激しく同意です。

書籍としては言語学各論への導入としての役割を担っている。気になる人は(自分は語用論の理解を深めたい)巻末の参考文献へと進んでみよう。もしくは、彼のラジオを聴いてほしい。相方との掛け合いは度肝抜かれますよ、学問をこうやって楽しんでいいんだと蒙が啓かれます。

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2025年11月17日

Posted by ブクログ

ゆる言語学ラジオで取り上げたトピックを程よく取り入れてその他も含めてよくまとめられていると思った。いろんな研究者の成果を一般向けにまとめるのは難しいし、言語学分野では大変珍しいと思う。
ときどき入る小ネタが中途半端で話の流れを悪くしている所があった。コラムなどにして別枠にしたらよみやすかったかも。

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2025年11月13日

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空気や太陽みたいに、不変的で身近すぎて当たり前なものだと思っていた「言語」をここまで学術的に掘り下げられていることに感動しました。それにも関わらず、難しくて読みにくいという感覚が全くなくて素晴らしかった。

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2025年11月11日

Posted by ブクログ

とても興味深い内容でした。普段から、会話や思考伝達においての不完全さに興味があって考えていたので、それのヒントにもなるとてもいい本でした。言葉の面白さを実感させてくれます。

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2025年11月07日

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ネタバレ

非常に興味深い内容でしたが、1番心に残ったのは著者の終章の結びの言葉でした。
ヒトを中心的な対象とする人文学を学ぶことは、自分とはかなり違った他者を知ることで、自分が全く意識していなかった常識に気づけるということ。
ASDの人のコミュニケーションを取り上げて、定型発達の会話が普遍的で優れているわけではなく、多数派だから採用されているだけかもしれないと思い至る著者の感性。
新たな知識を得ることは必ずしも望ましい事ではないという文化を持つ人がいるということ。
言語について調べていく中で、自分を他者として捉え、改めて自分と出会う事ができるという視点は非常に興味深いものでした。
勿論会話の0.2秒の間に、ヒトは実に様々な処理を行っているという事実も面白かったが、それよりも言語オタクの著者が謙虚に楽しく追求していくなかで自分を見つめ直すという姿勢に非常に好感が持てたし、終章を読んだ事で、この本のタイトル以上に大切な事を教えてもらったような気がして自分にとっては非常に読んでよかったと思える本でした。

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2025年10月29日

Posted by ブクログ

2時間ちょいで読破。読みやすかったし面白かった。
確かに会話って秒で多数の決断とか取捨選択して成り立ってる高度なものやのに、みんなできるんすごいな。
元々人の話し方とか注意して見る方やけど、今後より気になるようになりそうやと思った。
割とみんな読んだ方がいいかも。人に勧めたい。

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2025年10月27日

Posted by ブクログ

面白い!!
タイトルから想起されるよりもずっと密度の濃い内容と結論。

人間は会話の間の0.2秒の間になんて沢山の情報処理をしているんだろうって感銘を覚える。
言語学の研究者ではない一介の言語オタクならではの視点があり、一般人にも面白いポイントを教えてくれる。

個人的にもためになった。
自分は一対一ならまだしも多人数だと会話に割って入るのがとても苦手なのだけど、サインをちゃんと読んでなかったのかなとか、私が話しますよってサインを出してなかったのかな、と気づきがあった。

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2025年10月25日

Posted by ブクログ

ゆる言語学ラジオを聴いていなくても面白い!

著者は、ゆる言語学ラジオのパーソナリティ。本書では、ゆる言語学ラジオで聞いたことあるな、という話題も少し含むが、改めて文章で読むと水野さん独特の感性が光って面白い。

一冊を通して、語用論、統語論、意味論、音声学などの知識を引用しながら、ひとつの構文について脳内処理と発話の産出を言語学的に考察している。

参考文献も細かく付されているし、巻末では知識をもっと深めたい人のための書籍も紹介されている。

すでに読んだものがあれば、本書での内容もこの書籍のここのことだな、と理解できるので、なお面白い。
ちょくちょく出てくる水野エッセンスも笑える。

言語学って、専門家じゃなくても興味もっていいんだ! そんなふうに思える一冊。

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2025年10月16日

Posted by ブクログ

会話の0.2秒を紐解けば(紐解けてはない)、そこには無限の宇宙が広がる。
刹那に満たない時間の中で、学んでないことを無意識に人間は行っている。
普通に話せることが不思議であり、普通に話せなくてもなんら不思議ではない。

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2025年10月15日

Posted by ブクログ

正直、私が完璧に理解できたのは、『困ったり悩ましいことを聞かれたら『スゥー』と息を吸うといい』くらいなのだが、水野さんのウンチクの洪水に身を委ねながら、あとがきまで楽しみました。

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2025年11月27日

Posted by ブクログ

実は大学のとき、言語学を少しだけやっていた。この本でも触れられている関連性理論のあたりなんだけど、ちょっと変則的……というか、言語学を体系的にやったわけではないので、関連性理論だけをピンポイントで少し知っている、という感じで、改めてこうしてまとめて読むことで、あぁそういう流れの理論だったのかと知ることも多く、あの頃なにを学んでいたのかと反省しかない。

やっぱり言語学、面白いんだよ。

言語学っぽい授業は、同じ学科の中でも変わり種みたいなものだったので、友人の間ではもっぱら「分からん…」という評判だったんだけど、まぁ、日頃意識しないでやっている会話をここまで分析していく学問は、ある種「屁理屈」っぽくて、「なぜそれをそこまで……」となる気持ちも分からなくはない。

ただ、コミュニケーションや会話というのは、すごく自然にやっているように見えて、意外と難解で、文字通りの部分とそれにプラスされた意図を読み取らなきゃいけなかったり、うまくいかないことも多い。

それってなんでうまくいかないのかとか、逆にそもそもなんでうまく会話できてるのかとか、そういうことを突き詰めて考えていく。
言われてみればそれはそう、みたいなことが多くて、読めば読むほど面白い。

個人的に、自分のコミュニケーションの土台には、大学でかじった関連性理論があると思っている。
(本当に端っこをかじっただけで、自分に都合よく解釈したものだけど)

ついでに、あの頃、就活の面接でそんな話をしたときに、「それは翻訳ソフトに使えるのか」と面接官から質問をされて、あの当時は「いや…関係ないですね…」と答えたんだけど、今の生成AIのやり取りの進化には、こういうところも大きく関係してくるんじゃないのか、という気がする。

当たり前のことについて、なにをくどくど言ってるんだ?と思う人もいると思うけれど、当たり前のことを改めて紐解いていくのが楽しい一冊。屁理屈好きの方におすすめしたい。

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2025年11月25日

Posted by ブクログ


⚫︎ジェスチャー・オノマトペ = からだ的思考
⚫︎言語 = 分析的思考

①からだ的思考と、分析的思考のもとになる「イメージ」がある。
②その「イメージ」は、からだ的思考と、分析的思考で、成形される。
③成形されることによって、扱える(意識できる・表現できる)ものになる。

…この理解であっているだろうか?

ともかく、この整理は、おもしろい。
その上で、わたしが最も気になるのは、ここで「イメージ」と呼称されているものの正体である。

簡単に言えば、「言葉になる前のもの」だと思うが、それは、どんな姿かたちをしているのだろう?ということだ。

⚫︎人間は、カテゴリー化=抽象化によって、世界を理解する。
⚫︎言葉は比喩でできている。

だとすれば、比喩とは抽象化のことであり、抽象化したものに、名前をつける行為であろう。

それこそが、「写像」と呼ばれるものではないか?

「ビジュアルシンカーは、からだ的思考に近い」とみなしたとしても、それでも、すでに何らかの「写像」が行われているのであろう。

何らかの「形を持ちはじめる前の段階」、それを「クオリア」と呼ぶかは、さておき、その正体が気になる。

それは、生物によって違うのかもしれないし、人間は、人間の環世界のなかでしか、知覚ができない。

本当に、何らかの「写像」を経ていないと、思考はできないのか?

認識や知覚なら、ありえるのか?

主に言語化という「写像」を経て、ものを考えるのなら、認識や知覚といった観念さえ、言葉の定義によって縛られている。

「写像」によって思考可能になっている。思考の舞台にあがるようになっている。

視覚思考は、この縛りに、縛られているのか?いないのか?

言語学を追求することによって、ウィトゲンシュタインが「語り得ぬもの」と呼んだ、ギリギリの限界まで迫れるのだろうか?

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本書の内容とは関係ないが、

「著者のことを知りすぎていると、集中が削がれる」という、不思議な感覚をはじめて味わう。

ずっと、著者の執筆の目的や、意気込みや、滲み出る「らしさ」を、読み取ってしまうのだ。

書かれた内容よりも、「書きぶり」という、メタ的な情報への読み取りが、どうしても活性化してしまう。

著者が喋っている映像を、都合、数百時間は見てきて、人柄もかなり分かっているし、初の単著に掛ける想いまで、聞いてしまっているのだから、当然、そうなる。

「友達が一生懸命書いた本」を読んでいるようなものなのだ。

一般人にとっては、そんな事はまず起きないから、奇妙な感覚になるのだが、出版業界にいる人達は、いつも、こんな風に読んでいるのだろうか?


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2025年11月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ゆる言語学ラジオの水野さんの本。
彼自身が書いている通り、問い(テーマ)が大きいので本を読んでいてあっちこっちに行く感はあるが、私のような言語学素人にとっては、ひたすら一つの場所を掘り進めるより読みやすいと思った。
フィラーにターンを保持する機能がある点や、「ね」の「よ」に”the”と”a”に類似する機能がある点は、なるほどと思った。

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2025年11月03日

Posted by ブクログ

会話がなぜ高速で行われるのか
ちょっとした問いに思えるけど、結果的に言語学の歴史を辿りながらいろいろな研究を知ることになって面白かった。
豆知識もちょこちょこあって楽しい。誰かに話したくなる
あとがきにもあるように、有識者からすればツッコミたい部分はあるのかもしれないけど自分みたいな何も知らない人間には、言語学に興味が出て面白かった。
参考文献も気になるのが多くて読みたくなった。
最近ゆる言語学ラジオを聴き始めたから、ちょくちょく掘元さんの話とかも出てきてフフフとなった

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2025年11月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

何故会話するのに人は200ミリ秒しかかからないのかという問いから始まる本書。
読み始めてすぐに思った違和感、それは自分はそんなに早く会話できないんだよな…
そのまま読み進めて語用論、フィラー、ジェスチャー、文構造、意味理解…いろんな切り口から会話について解き明かしていく。その一つ一つがどれも魅力的な内容で楽しめた。しかし、最後の後書きで自分の違和感と水野氏の考察が重なる。
そもそも200ミリ秒というのは世界的な平均みたいなもので日本人はもっと早いということ。そして自分はかなり遅いということ。遅すぎて、3人以上の会話にはほぼ入ることができない。4.5人の飲み会など、2時間くらいで数回しか喋らないのが常。
流暢性バイアス、能力主義、吃音。カタカナ語の乱用。小池百合子…ジョーバイデン。
言語学を学ぶことは、自分と出会い直すということ。そこで初めてあることに気づいた。むしろ今まで何故気づかなかったのか…自分は吃音だということ。吃音については大学でも学んでいるし、けっこう知っているつもりだったが、自分がそうだと全く思っていなかった。
それが、本書を読んではじめて意識した。青天の霹靂…そして、普段いろんな人と接するがやはり話し始めるのに時間がかかる人ってけっこういる。特に子どもは多い。だからこそ、自分は待とうと思った。自分も実はけっこう苦労して、工夫して、いま吃音を克服したような状態にある。(ある面では全く克服してないが…)それと同時に、自分と同じような人の支えになれればなと思った。
言語の話から、自分の生き方を振り返り、今後の生き方の指標も示された。まさに自分と出会い直すということ。
こんな本に出会えてよかった。こんな本を世に出してくれてありがとうございます。

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2025年10月25日

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会話の200ミリ秒で処理していることの多さ
コミュニケーションは想像する以上に難しい
その意識を持っておくことが大切だな

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2025年10月24日

Posted by ブクログ

 会話のやり取りにかかる時間は0.2秒だけであり、その間に我々はどんな処理をしているのか?を大テーマとして、様々な文献からその仕組みを紹介してくれる。
 著者は専門家ではなく、言語学の好きな素人であるが、そのアプローチはまさに、知識に飢えた読書家であり、教養とは何かを本書を通して伝えてくれている気がする。
 言語とは面白いものだ。

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2025年10月16日

Posted by ブクログ

「ゆる言語学ラジオ」水野大貴さん初の単著。
現時点での水野さんの集大成と言える。
ゆる言語学ラジオと重複する内容は含まれるが、ファンである自分は総集編を現時点での感想付きで振り返っているような感覚になった。
一方で、言語学に関してキャッチーで魅力的な話題がふんだんに盛り込まれているので、ゆる言語学ラジオ未視聴の人こそ本当に楽しめるのでは、と感じた。
言語学に関する専門的な本ではないが、入門書として言語学の魅力に触れることができる本。

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2025年10月15日

Posted by ブクログ

言語学全く興味なくて、ゆる言語学ラジオは雑談回だけ聴いてるくらいだったけどこの本で言語学への興味が少し湧いた。

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2025年10月11日

Posted by ブクログ

ゆる言語学ラジオのリスナーとして買わざるを得ない一冊!水野さんの流暢な喋り口や言語オタクならではの知識量に毎回感服しているので、楽しみにしていた書籍でした。私が無知なだけかもしれませんが、ここまで会話の仕組みを分かりやすく解説した本は今までなかったのではなかろうか。図解もあり非常に読みやすく、「えーととうーんの使い分け」「ジェスチャーが発話を促進する」など、発見と驚きで満ち溢れていました。最も学びになったのは、言語学とは人間学でもある、ということ。本書では世界のあらゆる国の人々をはじめ、ASDの方や吃音の方のコミュニケーションの真相も綴っており、表層的ではなく、なぜそうした発話になるのか、という理解も深められるのだ。
水野さんも本書で記していたが、何かを知りたいと思うと、さまざまな知識を通じて自分を他者として捉えることもでき、改めて自分という人間を知るきっかけにもなる。本書はそうした気づきも得られることができた、貴重な一冊だった。

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2025年10月10日

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ネタバレ

私がときどき聞いている言語学を紹介しているYouTuberの本。
自分が当たり前に使っている言葉な中にある規則性があったり、使い分けていたり、そういうのがとにかく面白くて好き。
今回は特に「あのー」「えっと」の違いが面白かった。
ASD児や吃音児の言葉の使い方にも興味を持ったので、次はその本を読んでみたい。

・関連性理論では、ヒトの認知は関連性を最大化するようになっているという前提に立つ。そして発話もその一環として、少ない労力で、コストに見合う解釈を求めて推論し、割に合う結論が出た段階で解釈をストップする。裏を返せば、あり得るすべての解釈を列挙して、妥当なものをじっくり検討したりはしないのだ。それから、処理労力が大きすぎて、割に合わない解釈にはアクセスしないという帰結も導き出される。
・ヒトがコミュニケーションするうえで、相手にうまく意図が伝わらないのはしょうがない。考えていることを言語化し、相手に伝える中で、ノイズが思いのほか多く入るからだ。
・人間の思考過程の大部分がメタファーによって成り立っている。
・「ね」「よ」を使いこなすには、相手の立場に立って、その人がどういう情報を持っているのか推測する必要がある。そしてこの作業には、ASDの人にとっては不得手なものだ。実際、ASD児の発話には共感を示す終助詞「ね」が少ないというデータがある。
・極端な言い方をすれば、共感を通じたコミュニケーション自体が、多数派による暴力なのかもしれないのだ。

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2025年10月10日

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会話のキャッチボールは平均0.2秒で投げ返しているって、どんな処理をどうしたらできるのかを言語学好きの著者が調べていく内容。文の構造や人体の反応と文化や個性と次々に広がっていく好奇心と、それぞれに研究者がいて論文を出していることも、自分にとって面白い気づきだった。興味あることは調べてみることが最高の娯楽なのかもしれない。

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2025年10月10日

Posted by ブクログ

最近好きになったばかりのゆる言語学ラジオの水野さん初の単著。難しい話は私には分からないところも多かったけれど(水野さんごめんなさい)筆者が言語学って面白いよと言ってくれているのはひしひし伝わった。熱量が高く妻子にも読ませたい良書。あと堀元さんは年賀状書いてあげ…ないでください。

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2025年10月08日

Posted by ブクログ

著者が言語オタク過ぎるあまり、語りたいエピソードの乱れ打ちで、少々とっ散らかった印象も受けてしまいましたが、どれも興味深かった。フィラーに関する記述は特に面白く、これだけで一冊書いてほしいくらい。あとがきラストの両親への謝辞はグッときた。

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2025年11月30日

Posted by ブクログ

自分の会話を科学したくて手に取ってみた。
学術領域としての言語学はあまり得意ではなく、1・2章は難しく感じられたがそれ以降は身近な話や例を交えながらの説明で自然と入り込むことができた。
誰かに話したい雑学というよりは、これから言語学についてもっと知りたいと思うきっかけになるような本だった

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2025年11月20日

Posted by ブクログ

ちょっと期待しすぎてしまった
堀元さんとのざっくばらんな会話の中で本書の内容を扱ったラジオを聴きたくなった
ただ、言語学の難しい内容を分かりやすくまとめていたのでその点は良かった

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2025年10月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 会話の0.2秒ってなんぞや?!
 嫁さんが面白そうと、紹介してくれた本。

 要は、
「会話で相手と交替するまで平均0.2秒。この一瞬にどんな高度な駆け引きや奇跡が起きているのか」
 ということを、数多の実例を引き、言語学やさまざまな研究を繙き解説してくれる。

 学術書じゃなく、著者も冒頭から、言語学の専門家じゃない、と言い放っていることもあり、話もあちらに飛びこちらに飛びと、なかなか結論にいたらないモドカシサはある。
 待てない人は、本書P205にある図15 「200ミリ秒のターンテイキング図式化修正版」を先に見て、このことを解説している本なのだな、と理解して読み始めてもよい。

 曰く、話手のQに対して、聞き手は以下の作業を瞬時に行う;
  1.文構造の解析
  2.意味の理解
  3.語用論的な推論
  ① ターンテイキングの準備
  ② 応答内容の整理
  ③ 応答内容を文にする
 そして、応答するわけだが、1~3が相手の発話の理解、それに対する①~③が応答の準備作業で、この1~3,①~③を200ミリ秒、つまり本書タイトルにある、0.2秒で人は行っているということを解説したのが本書。

 文法的な理解のみならず、2.でいう意味の理解は、ここでの例文「昨日、あのテレビ、見た?」と訊かれている「テレビ」は、テレビジョンという家電のことではなく、テレビ番組のことだ、という理解を行っているという話だ。
 そして、3.では見たか否かの「Yes/No」を求められているのか、そうではなく、見た上での感想まで求めているのかどうかを推論していると。それがスムーズな会話、ストレスない人間関係を生み出し、維持継続していく肝だとも説く。なるほど。

 ①~③の説明も面白く、①で、インタビューの回答の途中でやたら質問をかぶせられる英国のサッチャー首相のエピソードは実に面白い。インタビュワーとの間に、問う側、答える側、質疑応答のタイミングを図る作業が無意識のうちに発生しており、インタビュワーは、間髪入れず質問をしたいが故に、サッチャー首相が語尾を下げる喋り方をするものだから、そこで話が終わったと思って次の質問を被せてくるという研究結果は、なんとも面白い。
 ②で、どのようなフィラー(えーと、うーん、と言った間投詞)をいかに使いこなすかにも、ルールが存在するというのはメカラウロコだった。
 これ、英語の「well」にもあるのだろうか。英会話で話に詰まったら、「we…ll」か、「Let me see・・・・」で場繋ぎすればよいなんて教わったが、その両者にも、ネイティブには理解できる明確な差異が存在しているのかもしれない。

 そんな他言語における対話のルール、あるいは近畿、東北地方の話法の差にも言及する欲張りな内容になっている。
 ……が、ゆえに、とっちらかっているのがタマニキズではあった。が、面白い一冊だった。

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2025年09月25日

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