あらすじ
風早の街でひと夏を過ごすことになった中学生の瑠璃は、ふと訪れた古い洋館でクラウディアという不思議な女性と出会う。彼女は手作業で本の修復や造本をするルリユール職人、どんなに傷んだ本でも元通りに修復できるという。ぼろぼろになった依頼人の本を魔法のように美しく綴じなおすクラウディア。手伝いをするうちに、瑠璃のなかに秘められていた悲しみも温かく包みなおされていく。本を愛する人たちの美しく不思議な物語。
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Posted by ブクログ
Tぬオススメ本。本が好きな人に良さそうだなと思って読んだら、もっと予想を超えて良かった。
ルリユールという職業というか職人?この言葉を初めて知ったのだけど、読んでいるだけで素敵な仕事だなぁとわくわくした。
物語は本のことではなく、依頼を持ち込んでくる人やその周りの人たちの悲しい出来事や思いにまつわることなのだけど、
それぞれあのときこうしていればといった思いを抱えている人ばかり。
どれもこれもそんなことはないよ、という話なのだけど、当人にとってはどうしてもそう考えてしまうというのは仕方のないことかなとも思う。
どの話でもちゃんとこころがすっと軽くなるような、穏やかな空気で締め括られるのが心地よい。
ルリユールという言葉の響きにぴったりかなという感じでした。
Posted by ブクログ
▼収録作品
第一章「秋のアリア~宝島」
第二章「星に続く道」
第三章「黄昏のアルバム」
第四章「魔人の夢~ボスポラスの夢」
掌編「春の小函」
そうか、本の重さは幸せの重さだったのか……。
第一章、時を超えて思い出の本が届くのもロマンチックだけど、あの手紙はずるいなあ。それにしても、本の声が聞こえるなんて素敵。
第二章、親友と離れてしまった経験がある自分には、胸に刺さるお話だった。
第三章、これは泣いてしまうよ。みよ子さん、頑張ったね……! ゆっくり休んでね。また、二人が一緒に暮らせる日が来ますように。
第四章、ついにクラウディアさん(+七匹の黒猫)の秘密が明かされるのですが……。
瑠璃もクラウディアさんに救われ、そしてまたクラウディアさんも瑠璃の存在に救われて。こんなふうな師匠と弟子の関係っていいなあ。
ほのかに恋の香りと予感を感じつつ。次巻を待ちます。
Posted by ブクログ
想いの詰まった本を、修復してくれる黒猫工房のクラウディアさん。
赤い髪の美しい女性。
美しい洋館に住んでいる不思議な人。謎めいていて、ふんわり優しい人。
持ち込まれた本にまつわる物語に、何度涙したことか。
誰も、みんな優しくて。
誰かを傷付ける意図なんてないのに、取り戻せないことに心を痛め続けている。
それを、クラウディアが修復した本が癒してくれる。
ルリユールって、なんて素敵なお仕事。
その仕事を習おうと決めた瑠璃ちゃん。
彼女も、幼い心に取り返せない後悔を抱えている。
でも、クラウディアさんと過ごして、ルリユールを教わることで先に進んでいる。
瑠璃の姉のあかねも、心に抱えるものがある。
なので、文庫本に彼女のお話が加えられていることが、とても嬉しい。
スパムおにぎりとレモンバターパスタ、むしょうに食べたくなっている。
早速、材料をそろえなくっちゃ。
Posted by ブクログ
ルリユールという仕事を初めて知った。不思議な物語、だけど、私はこれ好きだなぁ、好きだ。瑠璃の不思議な体験をみんな否定しない、クラウディアさんも瑠璃の側にいてくれて(それ不思議だけど!)良かったぁ。本当の母と父の話も、いつか読みたいなぁ。
Posted by ブクログ
桜風堂書店物語がとっても素敵だったので、他の作品も読んでみたくなり手に取りました。
想像にたがわず、暖かい素敵な本でした。
最後の秘密の扉の前までは、ファンタジーだと全く思っていませんでした。
大切な本を装丁しなおす素敵なお仕事「ルリユール」、この職業の名前自体初めて知りましたが、大好きな本だからこそ、何回も読んでボロボロになってしまうことが、多々あります。
それを、もっと素敵にしてくれる心の籠ったお仕事は素敵だと思いました。
Posted by ブクログ
小中学生の時に出会いたかったなぁ。
エピソード自体はそれぞれ良かった。けれど、最終的にクラウディアが本当に魔女でした、ということが、本を通じているけど魔法による解決に思えてしまった。