【感想・ネタバレ】悪党のレビュー

あらすじ

探偵事務所で働いている佐伯修一は、老夫婦から「息子を殺し、少年院を出て社会復帰した男を追跡調査してほしい」という依頼を受ける。依頼に後ろ向きだった佐伯だが、所長の木暮の命令で調査を開始する。実は佐伯も姉を殺された犯罪被害者遺族だった。その後、「犯罪加害者の追跡調査」を幾つも手がけることに。加害者と被害者遺族に対面する中で、佐伯は姉を殺した犯人を追うことを決意し……。衝撃と感動の社会派ミステリ。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

読みやすく面白い

探偵 佐伯修一の元に入る依頼を1章の区切りとして展開していくため短編が集まったような構成
ただ短編と言いつつも話が大きく変わるわけではなく佐伯が向き合い続けている姉の事件への誘導になっており、結末の説得力があった

服役を終えた人間のどんな姿を見て『赦す』とするのか
善良な人間として直向きに働いていたら
きっとそんな姿を見ても、『赦す』とはならないと思う

0
2023年08月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

かつて姉を殺された主人公・修一は、探偵として働いている。その探偵事務所に、「かつて身内を殺した犯人が出所後にどうしているか調べてほしい」という依頼が来る。調べてどうしようというのか…憎しみの気持ちが理解できるだけに、自分の仕事の意味に悩むが、憎むべき相手を見つけてどうするかは依頼人次第だ。探偵としては、頼まれたことをするだけだ。
短編風に、何人かの犯罪被害者が登場する。彼らの依頼を受けながら、修一本人も、自分の姉を殺した犯人に対してどうするべきか、自分はどうしたいのか、悩み続ける。
これまでの薬丸岳の作品同様、本当に重たいテーマだ。本作はもう推理とかサスペンスチックなしかけは全くなくて、とにかくストレートに、犯罪被害者の遺族は加害者を赦せるのか、加害者が刑期を終えた後どうなっていれば赦せるというのか、ということを問題にしている。
夢も希望もなく、家族も友達も失ってホームレスみたいな生活をしていれば赦せるのか。立派に社会人になって仕事をして世の中に貢献していれば赦せるのか。反省の言葉を口にすれば赦せるのか。加害者も大切な人を殺されたりして同じ苦しみを味わえば赦せるのか。
加害者が本物の「悪党」だった場合、反省を促すとか、同じ苦しみを味わうとか、そういう何もかもが無駄なのかもしれないと思わせるくだりがあって、とっても重かった。犯罪被害者に対して社会が優しくないといけないと思った。報道などで何度も傷つけられるようなことがあってはならないし、被害者が子供だったりした場合、社会が絶対に守らなきゃいけないと思った。

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2024年02月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今回も、被害者遺族がメインで動いているお話。被害者遺族の抱える、加害者への報復を考えてしまう気持ちや、拭えない黒い部分を描きつつ、それでも前を向くために動く人たち、加害者などとの交わりで主人公が葛藤しながら自分の気持ちと向き合っていく。
加害者はどうしたら許されるのか、許されたいと思ってはいけないのか。被害者遺族の心情だけでなく、加害者側の心情も想像させられる。好きになった人が前科者だったらどうなるのか、知る前のように傍にいることができるかについても少し考えさせられる。
個人的には、許す許さないではなく、一生背負っていくものではないだろうかと思う。それは加害者と被害者遺族の関係で起きることであり、社会は加害者が罪の意識を背負いつつも自己実現できるよう手助けをすることが理想であり、非難するものではいけないだろう。
主人公が追っていた男が末期ガンだったのは、やはり死んでもらわないと諦めがつかないからか。そう思うと、やはり一生抱え続けるのが贖罪なのだろうか…。

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2025年05月12日

ネタバレ 購入済み

よかった。

犯罪者遺族の苦悩が色々な立場から描かれていて、読んでいて辛くなりました。
でも、人はこうであってほしいというラストにたどり着けて、よかったです。

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2019年08月05日

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