【感想・ネタバレ】エンジニアが学ぶSCMシステムの「知識」と「技術」のレビュー

あらすじ

今こそ求められるSCM改革!
全体最適なシステムを構築するために必要なすべてのこと

近年、生産・調達は複雑化して需要の変動も激しくなってきています。
そのため、全体最適のSCMが求められていますが、
「個別業務システムの構築に留まっている」「SCMを統合的に設計・管理するノウハウが足りない」などの課題を抱える企業は多いものです。

そこで、本書ではSCMで押さえておくべき需要予測、販売計画、商談管理、生産計画、資材所要量計算、販売物流管理などの業務や
主要なシステム機能、SCM全体のプロセスからしっかり解説。
その上で各種機能を横断的に設計するためのシステム開発の手法を、
数々のSCMをテーマにした書籍を出版してきた著者がご紹介します。
この一冊で、これからのSCMに求められる知識と技術が身につきます。

【読者対象】
・IT企業でSCMシステムを構築する方
・企業で生産業務の改善提案やシステム構築を行う方
・製造業を主とした企業のマネジメントやビジネスモデルの検討などを行う方
・IT企業業者のビジネス提案やアウトソーシング提案を行う方
・製造業に興味がある学生など

【本書のポイント】
・工場や倉庫の配置、適正な在庫、生産リードタイムなどSCMの基本知識が身に付く
・販売計画、需給予測、生産計画、調達計画まで連携させたシステム構築の手法を学ぶことができる
・SCMのDX化を支える技術や事例がわかる

【本書の構成】
第1章 SCMの基礎知識
第2章 SCMの業務機能(1)計画業務:需要予測と需要予測システム
第3章 SCMの業務機能(2)計画業務:B2C、B2B2Cの販売計画と販売計画システム
第4章 SCMの業務機能(3)計画業務:B2Bの販売計画と商談管理システム
第5章 SCMの業務機能(4)計画業務:PSI計画ー調達計画とPSIシステム
第6章 SCMの業務機能(5)実行業務:生産計画、基準生産計画、資材所要量計算、能力計画とMRP/ERP
第7章 SCMの業務機能(6)実行業務:小日程・順序計画とスケジューラー
第8章 SCMの業務機能(7)実行業務:製造指示・実績管理と製造実行管理システム
第9章 SCMの業務機能(8)実行業務:受注出荷管理とERP、物流に関わるWMS、TMS
第10章 SCMの業務機能(9)可視化と指標管理:可視化(見える化)とBI
第11章 SCMを支え、DX化を推進するその他のシステム

※本電子書籍は同名出版物を底本として作成しました。記載内容は印刷出版当時のものです。
※印刷出版再現のため電子書籍としては不要な情報を含んでいる場合があります。
※印刷出版とは異なる表記・表現の場合があります。予めご了承ください。
※プレビューにてお手持ちの電子端末での表示状態をご確認の上、商品をお買い求めください。

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Posted by ブクログ

エンジニアが学ぶSCMシステムの「知識」と「技術」
著:石川 和幸
出版社:翔泳社

分かりやすいテキストでした

SCMとは、物流システムであるとおもっていましたが、ちがっていました
サプライチェーン全体を管理するシステムであり、広大の領域を包含するシステムとして、本書はとらえています。

まず、なぜ、SCMなのか、1990年代に登場したSCMは今曲がり角にきていて再構築を余儀なくされていることからはじまります。

 ①サプライヤの供給力が変動していること
 ②調達のリードタイムが長期化していること
 ③トラックドライバー不足であること
 ④船舶輸送等、物流の取り合いが起きていること

から、サプライチェーン全体を鋭敏な連携と先読みできる高度なシステムが必要になっていること

 優秀な人材で回してきた作業改善も限界に達していて、属人的な管理から、仕組みとしての管理を、導入しなければ、もはや、生き残ることが難しくなっていることを、背景として挙げています。

サプライチェーン全体を包含する業務パッケージは1つもありません
SCMを実現するには、業務機能を横断したシステム構築が必要となっているのです

SCMとは、需要予測、販売計画、商談管理、生産計画、資材所要量計算、調達管理、物流管理などの各業務を深く理解した上で、それぞれを適切に連携し、経営的な意思決定を行うシステムです

つまり、SCMを簡単に導入することはできないのです

本書は、SCMを3つの大別、計画系、実行系、管理系にわけて、解説を行っています

330頁程度ですが、中身はめちゃめちゃ濃いです。簿記をあらかじめ学んでおいた方がいいと思いました

以下概要です

■サプライチェーンネットワークデザイン
 工場、倉庫、販社などの拠点配置
 拠点間物流ネットワーク
 工場での生産方式
 倉庫への在庫配置、層別配置
 これら、サプライチェーンの構造を決めるのが、サプライチェーンネットワークデザインです

■計画系:予算管理

 予算
 需要予測
 需要計画
 在庫計画
 仕入計画
 生産計画
 調達計画
 物流計画

■実行系;基幹業務

 販売
 生産
 調達

 販売物流、輸出
 調達物流、輸入

■管理系;評価業務

■SCMとはなにか

 ①SFA Sales Force Automation
 ②需要予測 統計予測他
 ③SCP Supply Chain Planner 販売計画、仕販在計画、生販在計画の立案
 ④ERP/MRP Enterprise Resource Planning 基幹システム
 ⑤スケジュラー 製造のロットの生産割り付けをする
 ⑥MES Manufacturing Execution System 製造実行システム
 ⑦WMS Warehouse Management System 倉庫管理
 ⑧TMS Transport Management System 配車、運行管理システム
 ⑨BI Business Intelligence データの加工、可視化

 補助システム
 ⑩CAD 設計図面
 ⑪PLM 製品情報のライフサイクル管理、バージョン、変更管理
 ⑫PDM 品目情報管理
 ⑬SRM 間接材購買
 ⑭LIMS 検査・検査指図
 ⑮コンフィグレータ 製品仕様管理・誘導
 ⑯EDI/WebEDI・FAX-OCR 受注フロント
 他 AI、IoT等

生産方式については、以下が述べられています

在庫販売:STS
見込生産:MTS
受注組立生産:ATO
受注仕様組立:CTO(別注)
受注加工組立:SATO
受注生産:MTO
個別受注生産:ETO(特注)

層別配置倉庫

グローバルセンター倉庫
センター倉庫
地区倉庫
デポ倉庫

販売と、生産計画

BtoC,もしくは、BtoBtoC 需要予測+販売計画
(移動平均、統計的予測)
BtoB 商談管理+販売管理
(商談のパイプライン管理:企画・提案⇒引きあい⇒仕様検討⇒見積⇒内示⇒受注)

PSI計画とSCP
 仕販在計画 仕入⇒販売⇒在庫
 生販在計画 生産⇒販売⇒在庫 これを管理するシステムがSCP

生産

 基準生産計画⇒資材所要量計算(MRP)

  製造指図
  出荷指図
  転送指図
  購買指図
  製造外注
  渡り外注
  工場間転送
  入庫予定
  受入

 ERP⇒(製造指図)⇒MES⇒PLC⇒入庫予定⇒倉庫管理⇒入庫実績
 MES⇒(製造実績)⇒ERP
 ハンディターミナル(HT)
 製造実績等は、MES,PLC,HT以外にも、IoT,RFID,

 部品表(もしくは配合表)
 eBOM 設計BOM
 mBOM 製造BOM
 sBOM 保守部品BOM
 planinngBOM 計画BOM

スケジューラー
 ロット付き製造指図
 ロット番号⇒MESで管理⇒会計情報をERPへ送る

倉庫管理(WMS)

 入出庫
 保管

 入庫 入庫予定⇒予定表⇒検品⇒受け入れ⇒入庫⇒実績収集
 出庫 出庫指示登録⇒出庫指示⇒引当⇒ピッキング指示⇒ピッキング⇒出荷ラベル納品書⇒出荷登録⇒出荷

 他倉庫間移動、ロケーション移動、在庫補充、流通加工

配車計画・輸送計画(TMS)

 出荷指示、配車所要量計算⇒トラック割り付け⇒積付計算⇒ルート計算⇒輸配送運賃計算⇒車両管理

トレーサビリティ

 トレースバック 原因となったロット、現材料を特定する
 トレースフォワード その原因のロット、原材料がつかわれている製品を特定する

管理系 データの可視化

BI
MDM:マスターデータの統合管理



受注フロントとしての、EDI,WebEDI,FAX-OCRなどの活用

WBSをつかった長期製造⇒工事進行基準による会計処理

目次

はじめに

第1章 SCMの基礎知識

1-1 SCMの黎明期
1-2 SCMの定義と目的
1-3 SCMを実現するためのフレームワーク
1-4 SCMの業務機能(1)サプライチェーンネットワーク設計
1-5 SCMの業務機能(2)計画業務
1-6 SCMの業務機能(3)実行業務
1-7 SCMの業務機能(4)管理指標の可視化と評価業務
1-8 サプライチェーン分断と不確実性の増大によるSCMの再編要求
1-9 SCMを実現するシステムの全体像

第2章 SCMの業務機能(1)計画業務:需要予測と需要予測システム

2-1 SCMの計画業務は需要計画から始まる
2-2 需要予測システムに実装される統計モデル
2-3 統計モデルフィッティングの方法と需要予測単位
2-4 過去実績の可視化、異常値除去の方法と統計モデル運用
2-5 人的予測・顧客内示を活用した予測
2-6 需要予測システム構築に関する留意点

第3章 SCMの業務機能(2)計画業務:B2C、B2B2Cの販売計画と販売計画システム

3-1 意思を持たない予測に意思を入れる販売計画
3-2 過去実績、販売計画を可視化し、複数ある販売計画を統合する
3-3 新製品開発段階と終売期の販売計画
3-4 販売計画を承認して責任を明確にする統制組織機能の設置
3-5 販売計画を担うシステムと構築に関する留意点

第4章 SCMの業務機能(3)計画業務:B2Bの販売計画と商談管理システム

4-1 B2Bビジネスにおける商談管理を再構築すべし
4-2 商談管理を担うSFAと導入の留意点
4-3 商談管理で進捗を可視化し、パイプライン管理を高度化する
4-4 商談管理と先行生産・先行調達の連携によるB2BのSCM構築

第5章 SCMの業務機能(4)計画業務:PSI計画ー調達計画とPSIシステム

5-1 仕販在計画と生販在計画に分かれるPSI計画
5-2 仕販在計画と部品PSI計画、部品・原材料フォーキャスト
5-3 PSI計画での在庫計画の手法とPSIと補充型在庫調達の手法
5-4 計画における制約の考慮とアロケーション
5-5 PSI計画を担うSCP
5-6 PSI計画時の自動最適化機能の限界と構築に関する留意点

第6章 SCMの業務機能(5)実行業務:生産計画、基準生産計画、資材所要量計算、能力計画とMRP/ERP

6-1 基準生産計画と資材所要量計算
6-2 製造外注と支給管理、工場間転送
6-3 入庫、製造実績収集と原価計算への連携
6-4 基準生産計画と所要量計算を担うMRPとパッケージシステム
6-5 品目構成を管理する製造BOM(M-BOM)
6-6 MRPの代わりに表計算ソフトを使う場合の留意点

第7章 SCMの業務機能(6)実行業務:小日程・順序計画とスケジューラー

7-1 製造現場の制約条件を考慮した最適計画を作る小日程・順序計画
7-2 小日程・順序計画の構築と運用で考慮すべきこと
7-3 製造指図から連携し、小日程・順序計画を製造指図に戻す可否
7-4 小日程・順序計画を担うスケジューラーとその機能
7-5 スケジューラー構築に関する留意点と表計算ソフト対応

第8章 SCMの業務機能(7)実行業務:製造指示・実績管理と製造実行管理システム

8-1 製造指示ー実績、入庫予定ー入庫消込を担うMES
8-2 工程品質保証と工程検査を受け持つMESと文書管理システム
8-3 指示と実績収集を担うPLC、HT、タブレット、RFID、IoT
8-4 MESAが唱えるMESの11の機能とアプリケーションの識別

第9章 SCMの業務機能(8)実行業務:受注出荷管理とERP、物流に関わるWMS、TSM

9-1 販売・物流管理は入念に設計するべき顧客接点での重要業務
9-2 納期回答の目的は受注獲得と顧客満足度の向上
9-3 受注・引当管理と受注仕様生産における仕様管理
9-4 倉庫管理を行うWMSで入出庫管理と在庫管理を行う
9-5 配車計画・輸送計画を担うTMS
9-6 出荷と生産を遡及・追跡探索するトレーサビリティ
9-7 物流トラッキングとは何か?

第10章 SCMの業務機能(9)可視化と指標管理:可視化(見える化)とBI
10-1 データの統合管理を担うBI
10-2 需要予測、商談管理、販売計画で見るべきデータとシステム
10-3 計画業務で見るべきデータとシステム
10-4 実行業務で見るべきデータとシステム
10-5 SCM管理指標のKPI
10-6 BI構築に関する留意点と表計算ソフトの活用

第11章 SCMを支え、DX化を推進するその他のシステム
11-1 設計プロセス連携とPLM/PDM、MDMの必要性
11-2 見積管理とSFAからSCMへの連携
11-3 受注フロントとしてのEDI、Web EDI、FAX-OCR
11-4 調達フロントとしてのEDI、Web EDI、FAX-OCR
11-5 仕様誘導するコンフィグレーター、プロジェクト管理と進行基準
11-6 可視化で要となるBIと表計算ソフトの競合・共存
11-7 間接材購買を実現するシステムまたはASPサービス
11-8 SCMに対するRPA、IoT、AIの貢献と限界

ISBN:9784798178943
出版社:翔泳社
判型:A5
ページ数:352ページ
定価:3000円(本体)
2025年06月18日初版第1刷発行

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2025年09月09日

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