あらすじ
オール讀物新人賞を受賞し、繊細な描写が各紙誌で絶賛された、注目の著者のデビュー作。「揺れ動く思春期の心理を見事に描いた秀作、というより力作だ」(篠田節子選考委員)と賞された受賞作「フォーゲットミー、ノットブルー」は、中高一貫女子校を舞台にした青春小説。級友に対する憧憬がいつしか憎しみに変わる様子を、柔らかく繊細な文章で描く。ほか、連作3篇を含む全4篇を収録。
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Posted by ブクログ
狭い囲いの中で思春期の女の子にとっては特に今いる場所が全てで、未知の人への嫉妬や憧れからくる興味と嫌悪感がリアルに描かれていて切なかったです。
夏休みが明けて名残惜しさが残りつつも元の居場所に結局戻っていった恭子と早智子の章が現実的ですごく印象的。
四章の最後にあの子が、ただ知りたかっただけなのだと自覚する所が好き。
この方の他の作品も読みたいと思いました。
Posted by ブクログ
いろんな人の評価にもあった通り、表現が繊細で解像度の高い女子高生の心情を描いていて素晴らしいと思いました。登場人物の心情の描写が直接的すぎる感じも多少はありましたが、それにしても非常にリアルな女子高生を見たという感じです。それぞれの話の終わり方が好きで、特に「ふたりでいるのに黙って読書」での、保田さんと恭子が分かり合えずにそれぞれの世界に戻りつつも、やはり一夏の思い出を忘れられないという、いい意味で微妙な終わり方が好きでした。
最終章は朱理の大学生のエピソードでしたが、自分が持つ才能に酔い、無意識に人を見下し、自分が追い越されそうになると傲慢になってしまい、周りから人が消えていくという若さがリアルで刺さりました。杉ちゃんも遠のきそうになるけどやっぱり一緒にいるっていう終わり方も良かったです。
当然朱理っていうキャラクターはあまり好きにはなれないのですが、とはいえ「人間味のない天才肌の子」の解像度が高くて、現実の人間を見ているような感覚に陥りました。こういう、人と違うタイプの人っているなあって思ってしまいます。
最初の章で段々と女子をまとめた朱理を陥れていく希代子と便乗するクラスメイトの感じとかも女子高生ならではの過ちを表現していてよかったです。
ついでに言うと、サブカル女子がiPodで相対性理論を聴いているっていうのが解像度高すぎて面白かったです。
好きな表現は、最終章で朱理がおしゃれすぎる瑠璃子の家に行った時、瑠璃子が絵を諦めた自分と朱理が似ていると言い失望した朱理の「さっきまで心からくつろいでいたこの部屋が、急にモデルルームみたいによそよそしく思えてくる。」という表現です。イメージつきやすすぎてその場の空気感を肌で感じたようでした。
Posted by ブクログ
あまりにも生々しい人物像、人間関係。
感情がリアルすぎて、もはやゾッとしてしまうレベルだった。
私のお気に入りは早智子と恭子の章。様々な形の友情が描かれている今作の中でも、特に二人の関係には強く納得させられた。「二人でいるのに無言で読書」というタイトルも良い。
大人にも十分刺さると思うが、是非学生の内に読んでおきたい四作。
これがデビュー作とは…
Posted by ブクログ
身に覚えのあるような話ばかりで、どの章も胸が苦しかった。あの頃の友情は不確かで、毎日一緒にいても小さな掛け違いで簡単に壊れてしまう。それが生々しく描写されているので、夢中でページをめくり続け一気に最後まで読み終えた。
【フォーゲットミー、ノットブルー】
本作通して1番苦手なのが希代子。
朱里と仲良くなりたいと思ったのも父親が有名人だからだし、いつもカーストばかり気にしていて本音は言わないのに内心は妬み嫉妬ばかり。現実にいたら絶対仲良くなれないタイプだと思った。
だけど、偶然悪口が書かれた日記を見てしまったら朱里を嫌悪する気持ちも分かる。
【甘夏】
最も高校生の解像度が高いエピソードだと思った。車持ちの歳上がかっこよく見えて憧れるが、高校生に手を出すような人は実際は同世代の中では浮いた人。高校生のうちにそれに気付けた森ちゃんは賢い方だと思う。隣のクラスの友達と親友になれて良かった。
【ふたりでいるのに無言で読書】
1番好きなエピソード。
いつか嫌われる日が来るかもしれないから深く関わりすぎないようにする保田。自分に興味がない保田に怒る恭子。ひと夏の友情で終わってしまい切なかった。
【オイスターベイビー】
最初の話では、希代子のせいで朱里が被害者というイメージが強かったけど、朱里もかなり性格に難がある。同性が苦手で異性とばかりいたという描写で朱里の性格が地雷だと分かる。ただ、高校のいじめが原因で性格が変わってしまったところもあるんだろうなと思うと責めきれない。杉ちゃんといることで、朱里が変わることが出来たらいいなと思う。苦しい終わり方も多かったが、最後の話は希望に満ちたラストでよかった。