あらすじ
生きることの素晴らしさを斬新な視点で描く、野間児童文芸賞著者新作!
「どうしても、一度、生きてみたいと思ったんだ」
主人公は、人間の世界を知らない「魂」。
ある時、ある中学2年生男子の体に飛び込み、季節がひとめぐりする間だけその子として生きることになる。
聞いて憧れていた世界で、最初は見ること、やること、すべてがキラキラしていたけれど、やがて人と交わるうちに、どうしようもできない苦しい気持ちにも襲われ──。
悩みや痛みに苦しんでも、生きたいと思える日常があることが感動とともに伝わってくる、新しい切り口で青春を描いた物語。
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Posted by ブクログ
亡くなった少年の体に魂が...、という設定は私の中で森絵都「カラフル」が最高峰なのだけど、こちらの少年はいわゆる「陽キャ」。感情移入できるかな...と読み進めていったのだけれど、途中、なるほどこれはもう一つの「杉森くん」の物語なのだな、と思った。宮下さんを助けるには素人の中途半端な手助けではダメで、きちんと専門家を頼るということ。物語的には盛り上がりに欠けるんだろうけど現実的にはその通りで、この部分は信頼できる。でもだからこそ、このラストで宮下さんと父親が遺されたことを思うと、やるせなくなる。天山の望みは叶ったのかもしれないけど。