あらすじ
メディアが流す情報を鵜呑みにしていては、社会の真実は見えてこない。9・11以後のアメリカで、人々の恐怖心と競争を煽ってきたメディアの実態を実際に体験し、取材してきた著者が、「情報を読み解く力」を身につける大切さを若い世代に向けて解説する。同時にそこにこそ“未来を選ぶ自由”があると説く。
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Posted by ブクログ
貧困大国アメリカで有名な堤未果氏の著作。第一章。二章は著書「ルポ貧困大国アメリカ」からの刷り直しの内容の為、ざっと読み流す。
内容を書き換えただけかと思われた本書ですが、第三章から「社会の真実の見つけかた」が始まります。
先ずは世の中の情報操作の行われ方、また実際に行われた情報操作方法。対策として如何にすべきか(情報の裏取り、情報発信者のスポンサー、批判対象または批判をしない対象とは何かを知る)など、有益な情報が記載されている。
また第四章ではどうすれば世の中を変えられるのか、具体的な事例を交え紹介。キーワードはスタミナ。粘り強く。
個人的に印象に残った事柄としては、立場によって情報は変わること。そして、実際に現場に立ち会った人間・当事者の話を聞くことの大切さ。ウィキリークスの情報開示によって避難されたアメリカ軍人の言葉はとても印象的でした。人は世の中を「アクとセイギ」に分けたがるがそんな単純なモノではありませんね。
情報収集の手段としても英語もまた有用であるということで、使わないからと止めていた、語学の勉強をまた始めようと思います。
Posted by ブクログ
「真実を見つけるには、ただ座って待っているだけじゃダメだ」なのだ。誰かが差し出してくれる情報にばかり頼っていると、いつの間にかフェイクをつかまされてしまう。
窓の向こうにある膨大な情報の中から「本物」をえり分けるために、しっかりとアンテナを立てて本物をつかむのは、使う側の私たちなのだ。社会について不満を抱いているだけではなく、自分の持っている権利を大いに使える方法を私たちが持っていることを自覚しなければならないと思った。それは憲法で定められた人権であったり、選挙で政治を変えること。未来へ投資するために情報リテラシーを磨くことだ。
Posted by ブクログ
岩波ジュニア新書です。
アメリカ社会の現在を見ていきながら、
その背景や原因を探って白日のもとにさらす内容。
アメリカ社会も極まっているなという印象。
そして、そういったアメリカ社会の問題点を、
因数分解するように解いていく過程を示すことで、
読み手であるぼくら自身が、
真実を見つけていくやりかたとはどういうものかを、
読みながら学んでいくような体裁でした。
この本を読んで現代アメリカ社会通になる中学生だとかいるだろうけど、
それもおもしろい存在だなと思う。
学級会なんかで「たとえばアメリカなんかじゃ・・・」って
うんちくをたれていい気になるのも、
オトナになれば(いい意味で恥ずかしい)思い出になる。
それはそれとして。
日本で、のほほんと暮らしているからか、
アメリカの実情をこの本を通して耳にするとすごく世知辛く感じる。
競争原理バリバリで傲岸不遜な政治のように見えるし。
大量破壊兵器もなかったイラク戦争への突入の仕方だとか、
9.11から対テロ戦争へと傾いていったそのやり方、
「愛国者法」や「落ちこぼれゼロ法(経済徴兵制度成立法とも言える)」
を成立させていった過程をしるにつけ、
そんなだから、例えばウィキリークスって、
そういうのに対抗するのにバランスとしてちょうどよかったんだろうなあ、
日本じゃ受け入れられない手合いのものだったとしても、と思ったりする。
日本はまだほんわかしているところがあるから、
ウィキリークスみたいなのはやりすぎでけしからんということになるけれど、
アメリカだとかにすれば世知辛さの真剣勝負だから、
真剣に両足を不正に突っ込んでやってたりするわけで、
つまりはそういうののカウンターとして、ウィキリークスくらいの過激さっていうのは、
「当然」と言った体で出現したものなのかもしれない。
といいつつ、本書を読む進めると、反体制だとかそういったものに限らず、
情報のあり方までを変えて見せたのがウィキリークスなんじゃないか、と
著者は述べているのだけれど。
最終章の「社会は変えられる」はとくに秀逸でした。
この章を読むと、高齢者による巨大な団体であるAARPのことなど
面白いポジティブな情報が得られるし、なにより希望のある章でした。
若者は熱しやすく冷めやすい、それがウィークポイントだ、もっと粘れ、
といろいろと政治に働きかけて社会を少しずつ変えてきた高齢者のひとりは言います。
投票してそれで終わり、では変わらないことだし、
ちょっと駄目だったからといってそこから離れるのはナイーヴすぎるのかもしれない。
アメリカならば、自分たちの抱える学生ローンの問題や就職難の問題などなど、
それら生活に根差した問題を政治にぶつけて働きかけていくことが、
きっと、政府などの政治の暴走を防ぐことになるのでしょう。
弱い立場の国民は、でも、「数」でもって戦えると著者は言います。
そしてそれは、真実でありましょう。