あらすじ
桶狭間の戦いではダウンバーストが起きていた!? 文永の役の際、神風は吹かなかった? 日本史を揺るがしたいくつかの事件を取りあげて当時の史料を読み比べ、舞台となった土地の天候データを漁り、やがて現れる「あの日の天気」の意外な真実! 著者は日本史に魅せられた気象予報士。専門家たちの歴史解釈に疑問をもち、執念の史料探しから気象予報士ならではの、まったく新しい歴史の読み解き方を展開する。読後、歴史の見方が変わること間違いなしの一冊。
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Posted by ブクログ
博多湾で神風が吹くでしょう。桶狭間は晴れ、のち豪雨でしょう。壇ノ浦では潮の満ち干きにご注意ください。季節風に乗って島津勢が来そうです。2.26は大雪に見舞われるでしょう…
章題だけでも面白くてたまらない!
Posted by ブクログ
日本史上のどんでん返しを気象に着目して新解釈を試みる。新鮮な視点の楽しい一冊。
日本の気象に特徴的は「暑くて寒くて、雨や雪が多い」とか。普段住んでると気づかないが、実は際立った日本の気象。それを日本史にあてはめてみた作品。
元寇、表題の桶狭間の戦い、薩摩島津家の琉球入り、二・二六事件、シーボルト台風。
理系本なのでいたって真面目に当時の資料、主に日記から当時の気象を推測する。表題の桶狭間で発生したと推測されるダウンバーストや二・二六事件の前提の東北の冷害など、説得力のある解釈が満載。
気象現象は身近なもの。それが日本史のどんでん返しに影響を与えたというのは実に分かりやすい。
理系と文系の融合、楽しい一冊でした。
Posted by ブクログ
桶狭間の戦いの章を読んでいるあたりでは、まだ、「歴史上の大きな事件のときに、運よく(運悪く?)お天気が急変するなんて、なんて偶然!」くらいにしか思ってなかったのだけど、だんだん読み進めていくうちに、「気象条件が特異だったからこそ、ある1つの戦いが、歴史を揺るがす、運命を左右する戦いに変わっていくのだ」という確信に変わった。そして、そうであるならば、他にももっともっとたくさん、その時の気象条件がその後の運命を分けたという歴史上の事件があるだろう。ぜひ続編を書いてもらいたいと思った。
ただ、ちょっと気になったのは、反証はとても細かく丁寧なのだけど、ご自身の説を補強するような説などには、ちょっと証拠として採用するのに甘さがあるかなあ・・・と感じられること。でもまあ、この本は論文集で無くて新書であり、ページ数も限られているし、原稿には書いてあったのに編集でバッサリ切られている可能性もあるのかも。
とにかく、こういう視点からの歴史上の出来事の検証はとても楽しかった。私は理科音痴で気象分野のいろいろな原理も実はよくわからないのだけど、それでも視点が新鮮だったから本当に面白かった。
Posted by ブクログ
桶狭間の戦いだけでなく、226事件や元寇、壇ノ浦の戦いなんかの背景にあったのは何かを気象をベースに解き明かす。天気がどれだけ歴史の流れに大きな影響を与えたかってとこで驚かされるけど、それ以上に著者がいろいろ調べていて、天気以外のところでも勉強になる一冊。
Posted by ブクログ
気象の影響を大きく受けた史実を記録から実際の気象を想定しどうして史実のような結果となったのかを検証した本。
①文永の役 神風はなかった。②桶狭間の戦い 迂回せず、追い風ダウンバーストゲリラ豪雨による正面戦法③壇ノ浦の戦い 裏切り説、掟破り説、潮流説。潮流説はよく言われている追い潮ではなく、その逆であり、その方が密集できず戦力が低下した。④薩摩による琉球侵攻 ⑤2.26事件 東北の飢饉、乳幼児の死亡率が高い。悲惨な食生活等の⑥シーボルト事件 台風の影響
日本は諸外国に比べて季節の移り変わりや歓談の変化が際だっており、特異である。その理由は島国であること、大陸の東に位置していることが影響している。緯度がほぼ等しい東京の8月は27.4度、サンフランシスコの9月は18.9度。冬は43度の札幌が-3.6度、51度のロンドンは4.4度。