あらすじ
問題の解決策やアイデア発想など。
よりよく「考える」ためのAIの活用技を教える本。
本書は、発想術の専門家である著者がこれまでに生み出してきた「発想の技法」を、AIで再現できるようにしたものです。本書で紹介する技法と、それぞれの「指示文」を活用すれば、AIから自らの知識や思考の枠を超えた素晴らしいヒントを得ることができ、思考の質が圧倒的に飛躍します。
既存の「AI本」は、どれも仕事の「自動化」や「効率化」のための活用法です。Excelのマクロを組んだり、社内資料を作成したり。そういった単純作業を効率化することで生まれた時間を使って、人間は「考えること」に時間を使おう、というのがこれまでの論調です。
しかし本書は、創造的な「考える」ことにこそ、AIの力は活用できると主張します。アイデアとは「異なる要素どうしの組み合わせ」であるため、AIをうまく活用し、膨大な「情報」を適切に引き出し、組み合わせの「型」を応用することで、「素晴らしい答え」を得ることができます。
実際、すでに一部の人にとっては「AIを使って考える」ことはスタンダードになっています。あっという間に、「AIを使って考える」ことは、今で言う「ネットを使って調べる」のと同じくらい、当たり前の行為になるでしょう。
「考える」ことにAIを活用する本はまだありません。本書がその第一作となり、決定版になることを目指します。
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Posted by ブクログ
私が特に惹かれたのは、「頭の良さ」だけでは通じない時代が来ていると確信できたこと。
そして「アイデアを出すスピードと質」を同時に引き上げるための具体的な技法が詰まっていて、すぐ試したくなる内容だった点です。
また、特典として付いてくる「全56個のプロンプト一覧と使いやすいプロンプトツール」の存在が、本書をただ“読むだけ”から“使える知識”に昇華させてくれます。
自分の「普段やりたいアイデア出し」にそのまま応用できそうなプロンプトがいくつもあり、手を動かす意欲が湧きました。
たとえば、「異質な要素を意図的に混ぜる」「制約なしで考える」などの技は、曖昧なアイデアに光を当てるためのヒントになります。
一方で、「AIとの協働」が前提なので、「AIの精度」や「与える指示(プロンプト)の質」がアイデアの質を左右することも痛感しました。
最初はツール頼みになりそうで怖い。
しかし本書を読み進めると、AIは自分の思考の枠を超えるためのきっかけであって、最終的には自分の経験・直感で磨いていくものだという姿勢が強く伝わってきて、安心しました。
Posted by ブクログ
概観・基本コンセプト
・「AIを使って考える」=AIに丸投げするのではなく、人+AIで共同的に発想を行うスタイル。著者はこれを「ハイ・ブレスト(H-AI ブレスト)」と呼ぶ。
・本書には、思考や発想支援の既存技法をAI向けに再設計した56の技法が収められており、それぞれに対応するプロンプト(AIへの指示文)が付されている。
・Web上には、56個すべてのプロンプトをまとめた「読者向けプロンプトツール」が公開されており、実際にコピー・貼り付けして使えるようになっている。
・主な技法とプロンプト例(テーマ別ハイライト)
以下では、各章から代表的な技法をピックアップし、対応するプロンプト例を交えて紹介する。
1部:すぐにアイデアがほしいとき
・技法5「各種専門家の案」
> プロンプト例:「多数の専門家(クリエイティブ専門家、技術専門家、ビジネス専門家、学術研究者、社会科学者、ユーザー、ディスラプター、ユーモアのセンスを持つ人々、冒険家として〈対象〉について具体的な案を考えてください。」
・技法1「多様な特徴」
異なる視点や切り口を列挙させてアイデア構造を広げる。たとえば「このテーマについて、10個の異なる切り口(技術的・文化的・社会的・環境的など)を出して」
・技法9「ランダムな単語」
発想のトリガーとして、無関係そうな語を混ぜて問いかけを変える。プロンプト例:「以下のランダムな単語(A, B, C)を使って、このテーマと関連付けるアイデアを3案出してください。」
2部:アイデアを磨きたいとき
・技法13「工夫のパターン」
妥当案と挑戦案を混在させて出力させるプロンプト。例:「標準案と斬新案をそれぞれ5案ずつ出してください」
・技法14「理想の状態」
目指すべき最適・理想像を想定してそこから逆算する。「理想状態はこうなっていると仮定して、そこに至る道筋を3段階で示してください」
・技法17「9つの型」
発想を複数の型(切り口)から出す。例:「このテーマを、A型・B型・C型という9つの視点でそれぞれ2案ずつ出して」
3部:アイデアを実現したいとき・伝える段階
・技法 XX(伝え方)
アイデアを相手に伝える「物語性」「比喩」「ストーリー構造」を意識させる指示。「このアイデアを、顧客に刺さるストーリー形式で3段落で説明してください」
・技法 YY(実行策)
具体的なアクションプランを複数出させる。「このアイデアを実現するために、短期/中期/長期で実行可能なステップを5つ示してください」
4部:考えるヒントを得たいとき
・課題・悩み・人・未来からヒントを得る技法群
たとえば「未来」を扱う技法では、「10年後の未来の前提を5つ挙げ、それを前提として現在のテーマをどう変化させうるか案を出す」というプロンプト形式が例示されている。
プロンプト設計上の留意点・運用ヒント
・ただ「いい案を出して」と聞くのではなく、切り口・制約・役割(専門家役)などを明示してプロンプトを強化する。
・漠然とした問いが来たら、「分割(サブ課題化)」して問いを明確化するプロンプトをまず使う。
・回答の多様性を担保するため、「前提を変えたバリエーション」「異なる観点からの案」などを同時に出させる形式を活用
・プロンプトに「出力形式(箇条書き・表形式・ストーリー形式など)」を指定して、AIの回答を制御する
・本書で紹介されるすべてのプロンプトは読者特典として利用可能(Wordファイル形式で編集できる形)