あらすじ
「雨は、なぜ降るのだろう」。少女時代に雨の原理に素朴な疑問を抱いて、戦前、女性が理系の教育を受ける機会に恵まれない時代から、科学の道を志した猿橋勝子。戦後、アメリカのビキニ水爆実験で降った「死の灰」による放射能汚染の測定にたずさわり、後年、核実験の抑止に影響を与える研究成果をあげた。その生涯にわたる科学への情熱をよみがえらせる長篇小説。
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Posted by ブクログ
化学者(特に海水雨の放射線)として有名な猿橋勝子先生の伝記でした。少し難しいところもあり、読むのに時間がかかりましたが、最後まで読み切りました。特に第4章の終わり方がきれいでよかったです!
Posted by ブクログ
猿橋勝子さんの伝記を元に書かれたフィクション。
女性科学者の先駆けとして有名だが、実はこれを読むまで業績を知らず、物理学なのかと思っていた。女学校を卒業して一度は就職したが、4年後の昭和16年に出来たばかりの帝国女子専門学校に入り、雨が好きだった事から気象研究の実習に行かされ、そこで生涯の師と仰ぐ三宅泰雄と出会う。
この学者の名前も知らなかったのだが、まだまだ女性の地位が低かったこの時代にまったく女性差別をしない平等主義の三宅先生と出会えて、勝子は運が良かった。
勝子は真面目で努力家だった、というエピソードが満載の小説だが、敗戦に米ソの対立など大変な時代に生きていた。平塚らいてうが同時代に生きていて、期待されていたとかすごい。
原爆や水爆実験による放射能の影響を調べるため分析方法を考えるところからスタートする。化学をやる人は地道なんだなぁと感心してしまった。また、科学者というのは、ずっと先のことを想像?予測できなければいけないと思った。それを伝える努力も。
勝子は、忙しい中、後進のために道を作る努力もした。その一端が猿橋賞という事。
それにしても、水爆実験が世界の環境に対してどれほど危険か理解した後、実験禁止にしたアメリカの行動は立派だったと思う。
この作者が小説にしなければ猿橋勝子の存在も知らなかった若い人にぜひ読んでもらいたい。
Posted by ブクログ
女性の人生に選択肢が少なかった時代に、信念を持って自分の好きなものを突き詰めて生き抜きた人生に心動かされた。また、三宅先生をはじめとして素晴らしい方々に恵まれていたのも、彼女自身の科学に対するひたむきな姿勢が他の研究者たちを惹きつけていた証拠なのだと思う。
ビキニ水爆実験の放射能汚染に向き合う姿は、科学者としての使命感と、これ以上被害者を出してはならないという1人の人間としての強い意思を感じた。核兵器を作るのは科学者だが、その脅威から人類を守るのも科学者である、ということを体現しているようだった。
相互検定の結果がフォルサムのチームを上回っていたシーンは、勝子が今まで取り組んできたハードワークが、きちんと分析化学の結果として証明されて清々しかった。
猿橋勝子さんの存在を知ることができて、この本にはとても感謝している。
Posted by ブクログ
猿橋勝子さんが著名な科学者になるまでの物語。初めは普通の小説だと思って読んでいたけど、実在する方だと知ってビックリ。
女性は大学に行くことも許されず専門学校で科学を学び、女性は結婚して家庭に入るのが当然だという戦時中、原爆で放射能に侵された日本で化学者として素晴らしい業績を遺し、アメリカにもどんな権威にも果敢に挑んだ。晩年は女性科学者のために働いた勝子さん、人としても女性としても尊敬します。
ずっと味方でいてくれた兄や、実習生を平等に見てくれた三宅先生の存在も大きかったんだろうなと思う。フィクションらしいんだけど、どこまでが史実でどこからがフィクションなのか全く分からない。でも面白かったです。