あらすじ
クチコミで広がったあの作品が電子書籍で読める!
・2007年度10月~2008年度10月 書泉ブックタワーのブック売上ランキング1位
・Amazon.co.jpのエディターが選ぶ2008年のランキング1位
・『新世紀エンタメ白書2009』ブックランキングで1位
絶賛の声続々!!最後までドキドキ!恋と空戦の物語。
美姫を守って単機敵中翔波、一万二千キロ!大空に命を散らす覚悟の若き「飛空士」。ある日彼に与えられた使命は「姫を敵機から守り、無事祖国にお連れすること」。襲いかかる敵機の群れ! 複座式の小さな偵察機に乗ったふたりは、逃げ延びることができるのか?
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
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Posted by ブクログ
ーーーーもう泣かないって約束してね。
ファナとシャルルのキャラクター描写がしっかりしていてとても読みやすかった。感情移入もしやすくて好きです。空戦の描写も突っかかる事もなく読めるし、緊張感と疾走感があって迫力がありました。
二人が一度会っているのに、それぞれが記憶に留めているものが違う、というところも、階級の違い、すれ違いみたいなものを感じられて良かった。たしかにこれは画面映えする作品だなあ。文章の全てで映像が見えるようでした。
一番好きなところは、サンタ・クルスも仲間に加えられたところです。「戻ろう」
終章で皇妃となったファナが、シャルルが隣にいなくとも強くあったことが救いでした。もう普通に好き
Posted by ブクログ
・あらすじ
舞台は2つの大国、神聖レヴァーム帝国と帝政天ツ上が戦火を交える架空の世界。海に隔たれた両国の戦いでは戦闘機とそれを操る飛空士と呼ばれるパイロットが戦場の主役となる。
主人公のシャルルはレヴァーム帝国の属領自治軍のエースパイロット。
抜群の操縦技術を持ちながらも、レヴァーム人と天ツ上人との混血である”ベスタド”である彼は、生まれながらにして両者から理不尽な差別を受ける身分である。
そんな彼は敵軍に侵略されつつある戦線から、皇子の婚約者であり次期皇妃であるファナ公女を偵察機に同乗させ、一万二千キロを単機で突破すべし、との無謀な指令を受ける。
はたして二人は敵機がひしめき合う空域を切り抜け、皇国にたどり着くことができるのか・・・!?
・感想
このあらすじからも想像できるように、物語の読みどころは敵中を単機で突破する空戦の緊張感と、二人の恋模様がメインです。
シャルルとファナは命懸けの脱出行を続けるうちに徐々に惹かれあうものの、そこには絶対に超えることのできない”身分”の壁が・・・。
ともすると安易すぎる展開になってしまうところを、いわゆる「吊り橋理論」を利用して、しっかりと読者が感情移入できるようなストーリー仕立てになっています。
そして、二人の結末を見事に描き切った、切なくも清々しいエンディングがすごくいい。
理不尽でどうしようもない現実と抗いながらも、そこから目をそむけずに生きていこうとする二人の姿は、やっぱり理不尽でどうしようもない現実と折り合いをつけながら生きていく僕らにとっても感じ入るものがあります。
かつての宮崎アニメが持っていたような、ハラハラドキドキと甘酸っぱい切なさの同居する物語。1年に何冊もないくらい面白い。
Posted by ブクログ
いい意味で二度と読みたくありません。
最後が切ないし、鬱になりかけました。
歴史にその名を刻んだ偉大な皇妃と歴史の闇に消えた名もない飛行士。
ふたりが織りなす、蒼天に積乱雲が立ち上る夏の洋上にきらめいた、ひと夏の恋と空戦の物語。
Posted by ブクログ
この物語のエクスタシーは、ファナが旋回機銃をぶっ放すシーンだと思う。
「メンフィス・ベル」ではそれなりに活躍した旋回機銃であるが、
「紅の豚」では空賊の旋回機銃はポルコ・ロッソのサボイアS21を捉えることはできず、
「風の谷のナウシカ」では大型船が旋回機銃で弾幕を張るも空しくペジテのガンシップの餌食になってしまったし、
「天空の城ラピュタ」のゴリアテの旋回機銃はドーラ一家の艦載機(?)の煙幕展開を阻止できなかった。
旋回機銃というガジェットは不遇を囲ってきたのである。
おそらく生涯最初で最後になるであろう旋回機銃での射撃。
それによってファナは、自らが生き延び、初恋の人を助け、運命を切り開き、そしてシャルルとサンタ・クルスの戦友になる(飛空士になる、と言い換えてもいい)という四つのことを成し遂げたのである。
生き延びたということは、皇妃としての戦いが始まったということであり、飛空士としての戦いが終わったということでもあり、でもおそらく熾烈を極めるであろう彼女の戦いの始まりとしてまことふさわしい名シーンだったと思う。