【感想・ネタバレ】三浦綾子 電子全集 塩狩峠のレビュー

550円 (税込)
385円 (税込) 6月25日まで

1pt

あらすじ

明治42年に実際に起こった鉄道事故を元にした人間のあり方と愛と信仰の物語。三浦綾子の代表作であり、多くのファンに愛される大ベストセラー作品!

東京で、父と厳格な祖母に育てられた信夫は、祖母の死後、キリスト教徒であったために家を出されていた母親とも暮らすようになる。母と妹、そして父までもが信じるキリスト教に違和感を抱きながらも、まっすぐに成長していく信夫。やがて、少年時代からの友人・吉川に誘われ北海道に渡り、鉄道会社で働くようになる。この地で信仰に目覚めた信夫は自らも洗礼を受け、吉川の妹・ふじ子との結婚を決意する。結納のために汽車で札幌に向かうが、塩狩峠の頂上にさしかかったとき、信夫の乗った客車が突然汽車から離れ、暴走を始めた……。

「三浦綾子電子全集」付録として、夫・三浦光世氏による「創作秘話」などを収録!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

人がその友のために自分の命を捨てること、これよりも大きな愛はない。

恥ずかしながらこの歳になるまで、キリスト教思想について無知であった。この小説を読んではじめて少しだけキリスト教の教えに触れたようなものである。
自分が無知すぎてまだまだ落とし込めない引用もたくさんあったが、自分もどこかキリスト教とは自分とは遠く離れたものであると思っていたところからは少しだけ近づけたような気はする。
何よりこの小説が実話に基づいているというのが衝撃でした。
友のために命を捨てるということ。果たして自分にできるだろうかと。
ここで言う友とは、決して現代の意味で言う仲の良い友達という範囲に留まるものではなく、「他人のために」といえるほどに広い範囲で友と記していると解釈しているが、果たして今日たまたま会った人のために彼等の命を助けるために自分の命を投げ出すことなどできようか?正直に言って自分には無理だと思った。
家族の事を思うと自分が犠牲になってまで死ねないと思ってしまう。するとそれはキリスト教の教えに反することになってしまう。だから自分にはキリスト教の教えを守ることは出来ないし、神を信じることも出来ないとしてしまうのは短絡すぎるようにも思う。


この小説で主人公の父が残した遺言に「自分の日々の生き方言動を遺言とする」という言葉があるが、自分はこの一言に非常に衝撃を受けた。
そんなふうに考えたことも無ければ、昨日まで生きてきた自分の姿が到底遺書として認められるものに値しないと思った。
そして、それまでの日々の生き方を遺言とするほどに懸命に生きていないから、ある日突然事故に見舞われてもまだまだやりたいことがあるとしがみついてしまい、誰かのために犠牲になることができないのではないかと思いました。
とすれば、今のせめてもの自分にできることは、「この遺言通り日々の生き方言動を遺言とする」生き方をするしかないと思いました。

非常に自分の人生に感銘を受けた一冊となりました。

そして北海道の塩狩峠。生きているうちにいつか行って思いを馳せてみたい場所となりました。

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2026年02月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読み終わった時涙が出た
永野が幼い頃から死ぬまでの一生を味わった感じ
途中の学校肝試しのシーンは都立入試かなにかの入試の国語で見かけた覚えがある。

約束を破るのは、犬猫に劣るものだよ。犬や猫は約束などしないから、破りようもない。人間よりかしこいようなものだ。守らなくてもいい約束なら、はじめからしないことだな。

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2026年02月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

本書を読んだ知人に連れられ、塩狩峠へドライブに行った経験があります。その旅の思い出が、この本を手に取るきっかけでした。
知人からの話から当書にはホラーのイメージがありましたが、実際に読んでみるとまさに「愛と信仰の物語」でした。

他者のために自らを犠牲にし、命までも投げ捨てる。残念ながら私には不可能です。家族や恋人のように愛してやまない人ならともかく、それほど深い関係にない人たちに命を懸けることはできません。
キリスト教含む宗教は、「人生の判断基準となる軸や指針」の側面があると考えています。私は無宗教の人間です。更に人生経験も浅いため、人生軸は細くブレます。信夫にとっての人生の判断軸がキリスト教であり、その教えを全うしたように、私も自身の人生軸を太くもってその信念を実行し、少なくとも死後の自分を納得させられるような生き方をしたいです。
命を犠牲にはできませんが、私は他者への思いやりや愛が結果的に自分の幸せにつながると考えています。命まではかけることはできずとも、自己利益を考えた偽善であっても、親切心や愛情はプラスを生みます。「他者に関心を持ち愛を注ぐ」ということを、私の人生の判断基準軸の1つに添えたいと思います。

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2026年01月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最初、読み始める前に裏表紙のあらすじを読んでしまったのが本当に失敗だった。主人公が死ぬって書いてあり、とんでもないネタバレ。それを分かってて、最後まで読み進めるのは本当に辛かった。ずっと「この人死ぬんだな」と思いながら読んでた。で、あの結末。しばらく引きずるわ。結納の日に事故だよ?もうどうしようもないじゃん。奥さんどうすんのよ。やっと病気良くなったんだよ?人助けるって、あんな善人にはなれないじゃん。と思いながら、若い頃に読んでたら、もしかしたらそれでも立派な聖人として認められるキリスト教に興味を持っちゃうかもと思う。
私は特定の宗教を信仰してるわけではないし、むしろそういうのを信仰する人々について、今までは何でだろうとか思ってたけど、のめり込んでて信じ切ってる彼らの方が幸せなんじゃないかとすら思った(ある意味推し活と繋がる部分)。

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2026年01月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

道徳的な、読むと自分も立派な人間になれるような気がするお話。また読みたい!

信夫という1人の人間の幼少期から、大人になっていく中で色々な価値観が変わっていくのを一緒に感じることができた。その中で出る悩みに共感したり、不思議に思ったりと楽しかった。

祖母と父の最期を見てあんなに急死を恐れていた信夫が、一瞬で自分が犠牲になってでも周りを助ける道を選んだんだなあと思うと…
あんなに想っていたふじ子とせっかく一緒になれるところだったのに。幸せになってほしかったけど、信夫に迷いはなかったんだと思うと複雑な気持ち。

聖書を読みたくなりました。

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2026年04月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 明治時代、東京本郷生まれ、士族の家系に生まれた永野信夫の一生。おばあさんに厳格に育てられた信夫の友情や恋愛の話から、最後の事故まで。実際に起きた事故、実在した人物をもとに創作された小説。
 (ここからはネタバレになります。)ネタバレというか、何がネタバレなのかすらよく分からないけど、本の後ろに「結納のために札幌に向かった鉄道職員永野信夫の乗った列車が、塩狩峠の頂上にさしかかった時、突然客車が離れ、暴走し始めた。声もなく恐怖に怯える乗客。信夫は飛びつくようにハンドブレーキに手をかけた……。明治末年、北海道旭川の塩狩峠で、自らの命を犠牲にして大勢の乗客の命を救った一青年の、愛と信仰に貫かれた生涯を通して、人間という不確かな存在の真の意味を問うた不朽の名作」。と書いてあるから、要するに信夫が事故で死ぬ、というのはもう分かっている前提で読むことになる。「高校生に読んでほしい50冊」という、新潮社がたぶん毎年出しているリストの中にこの本があって、この説明を読んで、読んでみたいと思ってついに読んだ。
 まず「一粒の麦、地に落ちて死なずば、唯一つにて在らん、もし死なば、多くの果を結ぶべし」という、ヨハネによる福音書のとても有名な一節が出てきて驚く。キリスト教の関係する小説だとは全く思っていなかったが、結局は、本当に敬虔なキリスト教徒の信仰に生きる物語、ということだった。宗教とか倫理の勉強には興味があるし、遠藤周作とか読むのが好きだったので、なんかキリスト教の小説と縁があるなあと思った。
 で、おれはその「塩狩峠」の事故の話がいつ出てくるのかと思って、それをモチベーションにしてずっと読んでいったが、440ページくらいある小説の中で、その事故の場面に差し掛かるのが410ページ。つまりそこまでの400ページ近くは、全部最後の30ページのハイライトをよりハイライトにするための壮大な助走だった、ということを読んでて思った。ただその助走の分、「それはやめて!」と本当に思いながら事故の部分に差し掛かり、そしてものすごい悲しい感じになって終わった。全然違うけど、同じ悲劇という意味で、ロミオとジュリエットとかは、なんか展開が早すぎて最後もなんかそんなに感情も動かせないまま終わってしまう感じだが、これはその逆。途中はずーっと一青年の思春期的なうじうじした悩み、恋愛もそうだし、性欲もそうだし、死への恐怖とか興味、という青臭い部分が多い。でもそれをひたすら読んだ分、登場人物たちへの感情移入もしやすくなったところで、最後の最後での事故の悲惨さが大きくなった。
 「あとがき」で全てを知ったけど、これは1909年の2月28日に実際に塩狩峠で起こった鉄道事故で殉職した長野政雄という人がモデルになっているということで、実際に北海道の鉄道界にキリスト教を広めた人らしい。塩狩峠には「塩狩峠記念館」もあるらしいから行ってみたい。ちなみに1973年にはこの小説は映画化もされたということなので、観たいような観てみたくないような…。
 この小説の中で、唯一なんか心に響いた言葉は、「お先祖様を大事にするということは、お仏壇の前で手を合わせることだけではないと思うの。お先祖様がみて喜んでくださるような毎日を送ることができたら、それがほんとうのお先祖様への供養だと思うの」(p.322)っていう部分かな。「善く生きる」というのはお先祖様のためにも大事。あとは、あとがきの部分で、どれだけ実在の長野氏が立派だったのかという証言が出てくるが、「自己に対しては非常に厳格でしたが、他に対しては寛大でした。長野氏がかつて人を非難し批評したことを私は知りません」(p.451)という部分で、立派な人は人を評価しない、ということなのか。ある意味憧れる。
 少なくともそこまでの強い信仰をなんで持てるのだろう、信仰に生きるとはどういうことなのか、ということを考えると、実は最初の祖母の教育のせいがあるのではないかとか、あるいは立派な父親の性格を引き継いでいるのかとか、色々考えながら味わった悲劇だった。(26/06)

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2026年06月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

キリスト教を題材にした作品

キリスト教が卑下されてきた時代の作品であり、現代では考えられない描写がいくつもあり新鮮でした。
その中で主人公がさまざまな人や考えと葛藤し、生き抜いていく姿が印象的で、最後のシーンでの主人公の行動に胸打たれました。

私の肌感ですが、ここ最近の宗教・信仰はニュースやSNS等のメディアによる影響で悪い印象が植え付けられているように感じています。
しかしこの作品を読み、自らの信仰を大切にする価値感はこんなにも素晴らしいものなのかと感じました。

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2026年01月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

命がテーマだったので、おそらく信夫かふじ子さんは亡くなってしまうような感じがしましたが、信夫が身を挺して乗客を救ったとは。

ふじ子さんはつくづく気の毒と同情を禁じ得ません。

宗教には全く興味はないのですが、信夫の気持ちはわかるような気がします。

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2026年01月07日

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