【感想・ネタバレ】長い腕のレビュー

あらすじ

ゲーム制作会社で働く汐路は、同僚がビルから転落死する瞬間を目撃する。衝撃を受ける彼女に、故郷・早瀬で暮らす姉から電話が入る。故郷の中学で女子学生が同級生を猟銃で射殺するという事件が起きたのだ。汐路は同僚と女子学生が同一のキャラクターグッズを身に着けていたことに気づき、故郷に戻って事件の調査を始めるのだが……。現代社会の「歪み」を描き切った衝撃のミステリ! 第21回横溝正史ミステリ大賞受賞作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

呪い花 長い腕Ⅲ  恨みを呑んで死んだ喜助一家の生き残り、近江敬次郎(鶴太)の怨念か。早瀬村の事件は続く。


喜助一家の悲劇の源、御用林を切ったのは宇賀屋敷の者だった。苗字帯刀を許された村の有力者たち(東家・西家・古倉・宇賀・藤・島)が墓を暴き確かめたところ鶴太の遺骸がなかった。村人が探索の許しを訴えた時、代官は任期も残すところ後6日、喜助の不幸を想い匿っていた鶴太を逃がしてやった。
明治の東京で鶴太は名工に育っていた。

長い腕Ⅲに入る

Ⅰ話で意味深に登場し、Ⅱ話の最後をきっちり決めた石丸×源田のコンビ。石丸はいい感じの汐路の理想の上司で二人はなんとかなるのかと思ったがそうでもない。

石丸は何者か。
彼も大工筋の血を引いていた。
石丸佐吉は、明治の東京で敬次郎と因縁の対決をしていた。だが対戦場所に敬次郎は現れず見事な彼岸花の彫り物を届けてきた。
繊細なしべが伸びているヒガンバナをどう彫ったのか、それが名手の技なのか。驚いて負けを認めた。

5年前、石丸は採用した島汐路を指導することになった。

石丸の友人源田は内装業者で依頼があった汐路の姉の家の盗聴器を外した。同行した石丸は早瀬の村に入り既視感を持った(ここには来たことがあるような)

島汐路は庄屋の生まれであった。近江敬次郎が現れて建てた屋敷の二階を仕事部屋にしている。だが島家の不幸はすでに起きていた(Ⅱ話)埋蔵金に集まった人たちを葬った深い陥穽、地中のトンネルに落ちて多くの人が死んでいた。早瀬村は呪われた地だと噂が広がった。

時代の長い腕は登場人物の歴史を抱えて伸びてくる。
敬次郎の足跡をたどると、早瀬村は名工が建てた家が多く残るところだった。

敬次郎の彼岸花に敗れたのは石丸幸太郎の祖父だった。

幸太郎は祖父から話に聞いていた敬次郎が建てた早瀬の家が見たかった。今まで父と祖父から大工の技をたたき込まれていた。
祖父の佐吉は「早瀬は恐ろしいところだ」と言っていたがその訳は。
幸太郎は確かめようと早瀬村に向かった。

山で二人の美女に出逢った、あれは幻だったのか。二人は不幸な結婚を控えた早瀬の庄屋の娘だった。
入った村は不穏な気配がした。島家の当主は敬治郎の名を出して、建てた屋敷を見たいという幸太郎に、早く村から出るようにといった。

日本は戦争に負けた。海軍を除隊したばかり幸太郎は早瀬で陸軍軍人だった長谷川(Ⅱ話)にであった。
敗戦で荒れた暴徒の群れが村を荒らしていた。
物騒な愚連隊が徘徊していた。長谷川と協力して村を守る作戦を立てる。
ここからはアクション劇。作戦は成功して愚連隊は壊滅した。
幸太郎は敬次郎の建てた屋敷を見てその見事な腕を確かめ祖父の言葉の謎が解けた思いがした。
幸太郎は萩代の不幸な婚約を知って共に村を出た。

今、汐路は愛車カプチーノで宇賀と石丸がいる村の製材所に向かっている。(Ⅱの事件で)亡くなった友人のエリカの婚約者の香川が早瀬を舞台にした「呪われた地」を書いて出版した。
それが広まり「早瀬刈り」の騒ぎを生んだ。暴走族がバイクで走り汐路たち村人を苦しめる。
上京して香川を訪ねた汐路はニュースソースが宇賀家の落ちこぼれ英世だということを知る。

宇賀とそれに繋がるような石丸の不審な行動の訳を知るために、カプチーノが近づいていく。

汐路はここで真実と向き合う。
敬次郎はどうして人々を呪いにつないだのか。彼は屋敷を建てることで純粋に腕を見せるために庄屋屋敷を建てたのだろうか。呪いは。汐路は、石丸は。
なぞは最後に解ける。

早瀬村の出来事はここで終わった。
作者は多くのエピソードを巧みに絡ませて時の流れを作った。
明治の東京。敗戦後の早瀬。早瀬の今昔。関わった人びとの歴史。いまだに残る狭い村の悪習。絡まった人の欲や悪意。などで起きた無惨な出来事は上手く収束した。

複雑な関係は家系図が助けてくれた。

三部に分かれた複雑な話の進行、入り乱れたストーリーを読んで頭の緩んだねじが締まり、日ごろの霧が少しは晴れたような、、、。
ほかの作品も読んでみたい。



書影が合本版になっていますが単本で読みました。

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2026年02月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

短いしさくさく読める。
前半はゲーム制作って大変なんだな…とか、今じゃ同じグッズを大量に持ってることも普通(?)なんだよ…とか、思ったりした。
主人公は行動力と思い切りの良さが半端ない。フッ軽。だからこそ展開が早いんだな。あと先考えてぇとも思うけど。
石丸さんいい人〜と思ってたけど後半にいくにつれウン?となった。いい人すぎて怖い。なんでそこまでしてくれるの?なんでそこまでするの?主人公に多大な恋愛感情や弟子愛みたいなのがあるなら、まあ分かるけども、それもなさそうだし。
いろいろと人怖な話でした。
一点。HNケイジロウとケイジロウというアニメキャラクターについて、あれは偶然同じ名前のものがあって被害者がそれを見つけたのか。それとも近江敬次郎に準えて意図的に生み出されたものなのか。続編があるようなので、そこで解明されるのかちょっと気になるところ。

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2025年08月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なかなかスピード感があり読みやすくてスラスラよめた。
展開の速さは好みだった。

建築空間の歪みからくる精神異常も題材として面白い。

ただ、他のレビューにもありましたが、人物像がうまく浮かばない。
人物描写がちょっと足らないというか。

いつもはこんな感じとイメージを抱ける人物像が今回はなかなか頭の中で定着できなかった。

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2021年09月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

危ない単独行動に走ったり、松原孝と祥一郎に対しての汐路の強気な部分があまり好きになれなかったなぁ。裏を返せば両親を早くに亡くして頼らず生きてきた自信の表れなのだろうけど…。
家の歪みが人に害をもたらすという設定は興味深い。もっと深く知りたくなる題材。
完全解決で終わらないのも、敬次郎の一軒一代で終わらせない呪いの執念と強さを感じる。
謎めいた石丸さん、彼にも何だか暗い過去がありそうだ。

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2022年09月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

未知の世界が次々と展開していく。
読み出したら止まらない。
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ゲーム制作会社で働く汐路は、同僚がビルから転落死する瞬間を目撃する。衝撃をうける彼女に、故郷・早瀬で暮らす姉から電話が入る。故郷の中学で女学生が同級生を猟銃で射殺するという事件が起きたのだ。汐路は同僚と女学生が同一のキャラクターグッズを身に着けていたことに気づき、故郷に戻って事件の調査を始めるのだが……。現代社会の「歪み」を描き切った衝撃のミステリ! 第21回横溝正史ミステリ大賞受賞作。

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2015年06月01日

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