あらすじ
家事万能のロボットを手に入れたら……。世界平和をめざす秘密組織が実権を握ったら……。安逸と平穏をのぞみながら、退屈な日々にあきたらず、精神と肉体の新たな冒険を求める人間。超現代のなかでも、あいかわらず滑稽で愛すべき、人間らしい心の動きをスマートに描く11編。新鮮な発想、奇想天外なストーリーの展開、そして意外な結末は、あたかもアイディアを凝集した玉手箱。
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Posted by ブクログ
一年間
冒頭の人間だと思ってロボットに抱きついてしまう流れがよく分からない。金は払ったからという勝手な理由でただ単に抱きついたってことかな。
ある意味優秀なロボットのおかげでその後の結婚生活に役立ったという物語。
ひとつの目標
世界平和のために頑張ったがつまらなくなったので元に戻すことに。
あの男この病気
追いかけっこに勝てば特権階級へ。
侵入者との会話
おとり捜査のさらなる捜査。
現実
リアルな夢の中。
親しげな悪魔
願いを叶えるための犠牲。
わが子のために
ある占い
おのぞみの結末
空の死神
要求
Posted by ブクログ
ロボットも宇宙人もあんまりでないショートショート集。
面白かった編
・「親しげな悪魔」
嘘はつかないけど肝心なことを言ってない、ザ・悪魔の契約って感じ。でもこんなあからさまに理不尽な形でなくても、無から有は生まれない、誰かが奪えば誰かの手には入らないってことくらい、いい大人なら知ってる。(知ってるけど眼前に突き付けられると楽しめなくなるからある程度知らんぷりする。)そう考えるともう皆十分悪魔色に染まってるんじゃね?と思わせる所が一番のホラーかなあと思ってしまった。
・「空の死神」
墜落する飛行機に乗り合わせたことはないけど、この一致団結した乗客らの「は?何言ってるのお前?」な視線は知っている。何だかんだ生きてる人間が一番怖いってやつで震えた。かわいそうなスッチーは一人で逃げればよかったのにと思うけど、極限状態で切り替えができるかどうかは人によるし多分自分もできないと思うので、運が悪かったなぁと悲しくなった。
面白くなかった編
・「一年間」
実際時代が動いているので仕方がないけど、星新一の仕事と夫婦関係の認識はドストライク昭和。今なら部外者に仕事の資料触らせるのもコンプラ違反だし、思い通りにならなくてひっぱたくとか一発退場だー。
妻側からすると良い時代になったものじゃ、と思うものの、そうじゃねぇんだよ相手の理由をなぜ聞こうとしないんだ!というモヤモヤが消えなくて面白くなかった。
総評
ハズレが少なくて面白かった。このエグさとCMのような短さが毎度魅力だなあと思うけど、苦いオチが多いので口直しにほろっとした奴読んでバランスとりたくなる。
Posted by ブクログ
星新一にしてはSF少なめというか、社会問題に繋がるストーリー多めに感じたがそれはただ単に私がちょっと大人になったからかもしれない。
・休日の数時間と、出勤の電車30分で読み終えた。
忙しい社会人でも読める短編。星新一は短時間で非日常へ一瞬で連れていってくれる、小学生時代からの大切な友達。
・一年間
人間の指示に対して「気が進まない」とすぐに実行しないロボット。そのわけは、あまり忠実すぎると使う人間の思考が単純化になるから。結果そのロボットを一年使った青年が、人間の奥さんと幸せに暮らすという話。何度だって言うが、AIがあるこの世の中に星新一が生きていてほしかった。彼の言葉や考え方を聞きたかった。実際、AIが普及する世の中で、AIが言った通りに行動する人や、AIが生成したものを信じこむ人が増えてきている。かくいう私自身もそんな傾向がなくはなくて、この短編はあまりにも近未来(もはや現代)だ。
・現実
眠るたびに自分の周りの状況が変わるという話。
演劇的でとてもよかった。
・最後の中田耕治さんの解説文もすごくよかった。
今回の短編の内容ではなく、星新一のショートショートが面白い理由にフォーカスしていた。これこそ、おのぞみの結末。
-星新一曰く、アイデア捻出の原則は、異質なものどうしを結びつけること。(これは企画職の私自身が会社でも言われていること)
*ごくありきたりの対象(たとえばコーモリガサ)が、不意に、まるで関係ない対象(たとえばミシン)のとなりに置かれます。しかも、この二つがへんてこな、場違いな感じの場所(たとえば解剖台)に置かれると、そのために、コーモリガサはコーモリガサの目的がなくなり、ミシンはミシンとしての性質(アイデンティティー)を失ってしまいます。
→→シュールレアリスムに繋がる
-「彼は言った」「彼女はいった」と書かずに、
「刑事は女といくらか会話をかわした」「彼は質問に応じて説明してくれた」と書く
-人々の会話で物語が進む→落語の話術を使用?
-文章はうまいへたでなく、あくまで人柄らしい、星新一曰く。ユーモアのない人にユーモラスな文が書けるはずがない。
Posted by ブクログ
何年かぶりの星新一作品。
近年、新型コロナやロシアのウクライナ侵攻など、以前の常識では考えられないことが現実世界で起きているせいか、初めて星さんの作品を読んだときほどの衝撃はなかった。
むしろ、家事万能のロボットの話(「一年間」)や、同じ教団を信仰する人たちが偶然出会って犯罪に及ぶ話(「おのぞみの結末」)など、星さんの先を見越したようなストーリーにビックリ。あるいは、時代が星さんのアイデアに追いついてきたのかも?
Posted by ブクログ
星新一らしい短編集。短い中に奇想天外なストーリーが展開してどれも面白い。すぐにその世界観に入れるのがすごいと思う。タイトル通り後味が悪いものは無い。
ただ、表題作は、大筋は面白いけど結末が読めてしまって残念だった。
個人的に好きなのは、”ひとつの目標”と"要求"。この二つは全く別のストーリーだけど、セットの様に感じられる。前者はみんなで考え実現した善の世界で、後者はコントロールされた善の世界。
あと、オリエンタル急行を少し思い出させる、”空の死神”も面白かった。
40年前の作品だけど全く古臭さを感じ無い。