【感想・ネタバレ】無料ビジネスの時代 ――消費不況に立ち向かう価格戦略のレビュー

あらすじ

最初は無料で商品やサービスを提供しながら、最終的には利益を得ようとする「無料ビジネス」。この手法が、なぜ流行するようになったのか? そのしくみを解説し、デフレ不況から抜け出せない日本企業が、売上をふやし、利益を拡大させるための価格戦略を考える。おもしろくてタメになる知識満載のビジネス書。

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Posted by ブクログ

クリス・アンダーソンの『フリー』を、日本国内の状況に落とし込んだ新書。身近な例から、現在花盛りの「無料ビジネス」がどのような戦略で行われているのかを概説している。

基本的に無料ビジネスは「損して得取れ」か、「あるものを売ることで、別のものを提供する」かのどちらかだと思うけれども、それを的確に分類してあてはめていくところは面白く読めた。この本の良いところは、「無料ビジネス」としての戦略が上手くいっているところと、上手くいっていないところを論じている点にあると思う。

結論から言うと、「無料ビジネス」という概念は最近名付けられたけれども、そこで行われていることは昔から脈々と続いているということ。でも、なんの疑問もなくしていることを、理論的に研究することで定量的な効果を推し量ることができるのだと思う。

私が思うに、今の企業ビジネスは「一円でも損が出来ないビジネス」が主流なので、無料ビジネスの考え方が周知されれば柔軟なビジネス環境ができるのではないだろうか?

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2012年05月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

吉本佳生さんの本は、経済学をほんのちょっとしかかじったことのないぐらいのレベルの人でもすっと理解できる、分かりやすい良書ばかりだと思います。
正直、気にも留めずにタイトルに惹かれて買って、読み始めてから「あぁ、『スタバではグランデを買え!』の人だ」と気付いたので、あまり偉そうなことは言えませんが。

個人的に一番納得できたのは、本屋をある種の無料ビジネスのモデルとして捉えてその性質を分析したことで、なぜ電子書籍が普及しないのかを解き明かしている章。なるほどなーと、膝を打つ内容でした。

無料ビジネスを始めるためのヒントには乏しいですが、今後の無料ビジネスがどうなっていくかを見通すためには良い指針になる本だと思います。

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2012年04月07日

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様々な事例をもとに無料ビジネスの解説をしている。
日本では他の先進国では販売されないような危険な金融商品が売られていることは知らなかった。
日本の物価を大きく左右するのは資源価格ではなく、労働コスト。つまり、しばらく資源価格が上昇しても労働コストの削減でその影響は吸収出来てしまう。
これからも世の中を経済的な面から見ていきたい。無料で提供する動機は何か。ということをよく考えたい。

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2018年11月23日

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「コーヒー一杯無料」を謳うカフェAと、「コーヒーを一杯頼めばおかわり無料」のカフェB。二つのカフェの戦略には、どういう違いがあるだろうか。実質0円スマホと、基本プレイ無料の携帯ゲームは、それぞれどんな思想で設計されているのか。TDLやUSJが、アトラクションごとの課金を行わないのはどうしてか――。

本書が扱うのは上記のような、いわゆる「無料ビジネス」の戦略である。おカネを稼ぐことが最大の目的であるビジネスと「無料」は本来、相性が良くないはず。ところが現実では、これを戦略に採り入れる経営者は少なくない。

タダほど高いモノはなく、美味しい話には裏がある。コーヒー無料を謳うのは、それにかかるコストが宣伝広告費よりも安くつくからだったりするし、基本プレイ無料のゲームを支えているのは一部のヘビーユーザー(=総合で見て採算が取れている)だ。それに、「我々がGoogleで調べている時、Googleもまた我々を調べている」。

と、いう話自体は面白かったのだけど、どうして「無料ビジネス」か、という話になった途端、いきなりデフレ批判がはじまって混乱した。それは別の本に書いてください……。

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2016年07月03日

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無料ビジネスから見えてくる、価格戦略の様々な在り方が、大変面白く感じた。
また同時に、「情報」の扱い方ひとつがいかに大きな、共通の要素となっているかが伺える。もはや言うまでもないのかもしれないが、顧客情報抜きに、ビジネスは語れないのだろう。

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2012年02月27日

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ケインズが指摘した「完全投資」=「どんな種類の耐久財についても、これ以上の増加からはもはや取り換え費用以上の収益を期待することができなくなるほどの投資の状態」、はたまたマルクスが言った「利潤率の傾向的低下」、また、リカードやミルが想定した「定常状態」。現今の日本経済が陥っている資本主義経済が成熟すればするほど資本主義経済が滅亡に近づくというパラドックス。

そんななか、各企業は、消費不況に立ち向かう価格戦略として「無料ビジネス」という新たな戦略の下、日々実践を重ねている。

企業にとって一番の消費者であった「政府」ももう消費するだけの余力はないし、官が関与すればするほど余計に墓穴を掘ることも露呈してしまっている。

真の無料ビジネスとは?

インターネット時代において脚光を浴びる「無料ビジネス」。

しかしながら、無料ビジネスは今に始まった経済モデルではないことも著者は明らかにしてしまう。

デフレ不況に立ち向かう企業関係者。そして、真の無料ビジネスの果実をゲットしたい生活者必読の本である!

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2012年01月16日

Posted by ブクログ

無料ビジネス。

コーヒーの無料サービス。TDL、USJの価格戦略などわかりやすく説明。

仕掛けられる我々消費者も、無料の奥に隠された戦略を読み取らないといけない。

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2012年01月15日

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ネタバレ

「スタバではグランデを買え」の著者による、消費者の行動変化とそれに対応した価格戦略の解説本、良書です(なお、副題が本書の本質)。

◆価格戦略の考え方 ~ 顧客に合わせて設定し極大化を図るのが理想

本書では、まず、消費者を「時間に余裕アリ/ナシ」「お金に余裕アリ/ナシ」に4分類し、
顧客属性に合わせた価格戦略で利益最大化を図るべしと説く。
秀逸なのが、USJの価格戦略の紹介。

USJは2011年に入場料を値上げ(仮に1千とする)。
この影響は、①地方客には旅行全体の一部値上げ(30千の旅費が31千になる)であるのに対し、
②近郊客には値上げ割合が相対的に大きく見える(5千の娯楽が6千に)。
従って、②は①よりも大きく減る。

しかし、USJは値上げの一方、年パスを値下げ(これは①には刺さらないが、②には刺さる)。
副作用として②増加による混雑(=①の満足度低下)が想定されるが、ファストパスの販売により、
①の満足度を維持(一方、②は年パス持ちなので、乗れない分には次回乗ればいいと思える)。

つまり、相対的に値上げに鈍感な①からは値上げ+ファストパスで、
値上げに敏感な②からは年間パス(値引き)+来訪増で収益極大化を図るというもの。

◆無料ビジネス ~ 「対価を取れる」利用者からの収益を極大化する仕組み

次に、著者は無料ビジネスについて「③個別採算型」から「④総合採算型」への転換を主張。
③の代表例はゼロ円ケータイ・実質無料スマホで、初期費用を抑え、月額使用料で
「強制的に」費用回収を図る(中途解約にはペナルティ)。
④の例としてはモバイルゲームで、基本は無料、一部ユーザーの「自発的な」有料サービス利用で、
全体の費用回収が成り立つ(フリーミアム)。
③は同一顧客での採算を見るのに対し、④は利用者全員での採算を見る。

バブル前のような右肩上がりの給料が約束されていれば③で十分だが、
そうではないこのご時世、④ができればビッグヒットのチャンス。
無料で圧倒的な規模の見込客にリーチし、一部の顧客からしっかり代金をもらえる仕組みを考えるべし。

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2011年09月23日

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ネタバレ

「すべての消費者に対して単純に同じ価格を提示するのではなく、消費者のタイプに応じてきめ細かな価格設定をおこなう。そのなかで、なんらかの商品の「無料」を効果的に使うのが、理想な無料ビジネスなのです。」(9頁)

無料ビジネスは、全体的な価格戦略の中の一つのピースとして位置付ける。
無料ビジネスには、顧客情報の有効活用が必要。なので、ネット関連のビジネスが有利。
無料ビジネスには、個別採算型(カフェのコーヒー)と総合採算型(ソシャゲ)とがある。

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2018年10月25日

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「コーヒー1杯無料」と「コーヒーおかわり無料」
賢いカフェ経営者は、どちらを選ぶかという問題。

無料ビジネスの様々な効果をわかりやすく解説。
”最初は0円で利益を追及する”という点を無料ビジネスの要件として評価。

…なるほど。ちょっと知っているだけで、様々な広告がおもしろくよめそうだ。

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2018年03月14日

Posted by ブクログ

無料ビジネスとは、最初はゼロ円+利益を追求
無料で提供すら目的として、情報ルートの構築であることが多い
顧客を分類して売り方を変える
プレミアム版の品質だけ高めてもだめで、無料版の品質も高めないと無料版の評判低下がプレミアム版の足を引っ張る
無料ビジネスは、戦略的な値下げと個人向けファイナンス機能がセットになっている店が優れている

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2015年12月29日

Posted by ブクログ

図も交えながら、分かりやすく無料ビジネスの仕組みがまとめられている。
FREEを意識し過ぎな感は否めない

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2013年04月13日

Posted by ブクログ

無料ビジネスを分類して儲けの仕組みを解説するだけでなく、「なぜ?無料にしているのか?」の考察まで遡って解説しているので、内容は懇切丁寧。ただ、無料ビジネスについてある程度知識のある人にはやや言い回しがくどいかも…
とはいえ、解説は「無料ビジネス」だけに限らず「プライシング」の基礎的な概念にまで及ぶので、認識しておいて損はない内容。

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2012年08月22日

Posted by ブクログ

不況を改善するために生まれた無料ビジネスをケイタイ、USJ、電子書籍などを例に挙げ、解説している。無料ビジネスをうまく利用する消費者でなければいけないと感じた。

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2011年12月24日

Posted by ブクログ

様々な無料ビジネスが書かれている。なお、この書籍で無料ビジネスと呼んでいるのは、最初無料である。例えば携帯の本体無料のようなものだ。

1章のコーヒー1杯無料とおかわり無料の違いはわかりやすい。1章にこの話をもってくると、後の話がわかり易くなると思う。

クラブ(女性が接客する方)とSNSの共通点や書店が無料ビジネスであることなどは、自分が気付いていないことだったので、勉強になった。
また、Tポイントカードの話も勉強になった。Tポイントカードの話は電子マネーにも共通するだろう。

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2011年12月11日

Posted by ブクログ

クリス・アンダーソン「フリー」のインスパイア系。

消費には時間とお金が必要。
最初を無料にすることで、まず時間制約を突破することを狙うのが「無料ビジネス」

コーヒーと紅茶は「代替」
コーヒーとケーキは「補完」、紅茶とケーキも「補完」

そのため、コーヒーを値下げすれば、ケーキの売り上げは上がるが、紅茶は下がる。
対して、ケーキを値下げすれば、コーヒーも紅茶も売り上げが上がる。

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2011年09月30日

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