あらすじ
「捕物帳の古典」といわれる半七捕物帳全69篇を網羅する全6巻。化政期から幕末期にかけて、半七老人の功名談の数々を江戸の風俗を織りまぜて描く。事件現場を彷彿させる地図、町奉行や庶民の暮らしがよくわかる詳解付き。第5巻には「妖狐伝」「新カチカチ山」「唐人飴」「かむろ蛇」「河豚太鼓」「幽霊の観世物」「菊人形の昔」「蟹のお角」「青山の仇討」「吉良の脇指」の10話を収録する。
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Posted by ブクログ
(全巻合わせた感想)
ともかく面白かった。ストーリは単純で強引な推理と捕物ではあるが、それよりも何よりも江戸の描写が活き活きと表現され、江戸を生きていた人達と身近に接した時代の人でなければ書けない本だと感嘆する。
江戸時代の情景が浮かんでその世界にどっぷりと浸り酔いしれるという読書は初めてで充分堪能できた。更にこの本は文末にその話に関係する地図(昭和初期の地図に江戸の図割を追加したもの)があり、挿入画も江戸時代の物を書き起こしたものである。
描写例
「卯の花くだしの雨が三日も四日も降りつづいて」
「八百屋にも薄や枝豆がたくさん積んであった」
「あしたが池上のお会式(えしき)という日の朝」
「節気になったせいか、寒さがこたえますね」
注釈も今井金吾が丁寧に解説している。