あらすじ
それは姿ばかりの秋であった……。あざやかに描き出される江戸の春夏秋冬。「捕物帳の古典」半七捕物帳の第3巻。「化銀杏」「雪達磨」「熊の死骸」「あま酒売」「張子の虎」「海坊主」「旅絵師」「雷獣と蛇」「半七先生」「冬の金魚」「松茸」「人形使い」「少年少女の死」の13話を収録する。
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Posted by ブクログ
(全巻合わせた感想)
ともかく面白かった。ストーリは単純で強引な推理と捕物ではあるが、それよりも何よりも江戸の描写が活き活きと表現され、江戸を生きていた人達と身近に接した時代の人でなければ書けない本だと感嘆する。
江戸時代の情景が浮かんでその世界にどっぷりと浸り酔いしれるという読書は初めてで充分堪能できた。更にこの本は文末にその話に関係する地図(昭和初期の地図に江戸の図割を追加したもの)があり、挿入画も江戸時代の物を書き起こしたものである。
描写例
「卯の花くだしの雨が三日も四日も降りつづいて」
「八百屋にも薄や枝豆がたくさん積んであった」
「あしたが池上のお会式(えしき)という日の朝」
「節気になったせいか、寒さがこたえますね」
注釈も今井金吾が丁寧に解説している。