あらすじ
日本橋の鍋久に美しい嫁が来た。穏やかな江戸の暮しと怪事件。半七捕物帳の第4巻。「異人の首」「一つ目小僧」「仮面」「柳原堤の女」「むらさき鯉」「三つの声」「十五夜御用心」「金の蝋燭」「ズウフラ怪談」「大阪屋花鳥」「正雪の絵馬」「大森の鶏」の12話を収録する。
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Posted by ブクログ
(全巻合わせた感想)
ともかく面白かった。ストーリは単純で強引な推理と捕物ではあるが、それよりも何よりも江戸の描写が活き活きと表現され、江戸を生きていた人達と身近に接した時代の人でなければ書けない本だと感嘆する。
江戸時代の情景が浮かんでその世界にどっぷりと浸り酔いしれるという読書は初めてで充分堪能できた。更にこの本は文末にその話に関係する地図(昭和初期の地図に江戸の図割を追加したもの)があり、挿入画も江戸時代の物を書き起こしたものである。
描写例
「卯の花くだしの雨が三日も四日も降りつづいて」
「八百屋にも薄や枝豆がたくさん積んであった」
「あしたが池上のお会式(えしき)という日の朝」
「節気になったせいか、寒さがこたえますね」
注釈も今井金吾が丁寧に解説している。