あらすじ
蕎麦好きなら、誰でも知っている「蕎麦屋の常識」というものがある。曰く、「蕎麦は、先っぽをちょっとだけ、蕎麦つゆに浸けて手繰るものだ」、「蕎麦はのどごしで味わうもの」、「蕎麦は挽きたて、打ちたて、茹でたての“三たて”がうまい」等々。だが、これらの「常識」なるものは、本当に本当なのだろうか。 深遠なる蕎麦の魅力を探る旅にご一緒ください。
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Posted by ブクログ
食べ物の歴史とか地域性とかそういうことを調べるのは面白いです。
よくそういうテーマの本を読んで楽しむのですが、本書も面白いです。
蕎麦について、その歴史と日本各地の地域独自の食べ方、あるいは蕎麦を食べる作法の理由について、著者の研究が載せられています。
私の印象に強く残った箇所は、老舗の蕎麦屋さん「かんだやぶそば」四代目当主の堀田康彦氏のお話。
「老舗というものは、昔のやり方をずっと守り続けているというふうに思われがちですが、そうではないのです。世の中の求めるものを敏感に感じとって、いつの時代も革新であり続ける努力が、長い歴史を生き抜くには不可欠なのです。蕎麦屋の歴史は、創業した当時からずっと、いつも革新の連続でした」(p19)
老舗が老舗たる理由は長く続いてきたことであり、長く続けるためには、世の中にウケるものを作っていくことが一番の方法なのですね。
蕎麦に限らず、モノづくりに大切なことが学べました。
Posted by ブクログ
蕎麦をめぐる薀蓄?常識?の奥が分かる。へ~そーだったんだ!という事柄がいくつかあって役に立った。
紹介されている蕎麦屋が東京からは遠いのが難点?
宣伝につられて2012/06/26楽天ブックスで注文;06/28午前中に届く;そのまま読み始めて,1週間程度で読み終わったのだが,登録を忘れていた。
Posted by ブクログ
奥深い蕎麦の世界をソバの実、挽き方、打ち方、食べ方など様々な角度から見て、蕎麦の歴史も絡めて語る本。読んでいると美味しい蕎麦が食べたくなってくる。
食べ方にも粋や無粋がある。蕎麦つゆをちょっとだけつける、どぶ漬けする。よく噛んで食べるか、飲み込むようにして啜って喉越しを楽しむ、などなど。これらは人によって解釈も受け止めも違ってくるので、それがタイトルに繋がってきている。
蕎麦の美味しさの決め手も様々。同じ原料、道具を使っても人や土地によって違いが歴然と出てくるため、それが各地に存在する「一軒の美味い蕎麦屋」になる。現在の美味しい蕎麦屋だけてなく、歴史上の評判だった蕎麦屋の紹介もあって面白い。
Posted by ブクログ
「ソバ」は植物を表し、「蕎麦」は食品を表しているのだそう。「生蕎麦」には二つの読み方があり「なまそば」はゆでる前の状態、「きそば」は十割蕎麦。
東京のそばつゆは濃いので麺を全部は浸さないが、信州のつゆは薄いのでどっぷりつけても大丈夫。
新蕎麦は美味しいのか?実は収穫後2、3ヶ月が一番美味しいらしい。さらに冷蔵技術の発展で、状態の良いソバを通年提供できるのだそう。
今の課題はソバの品種が収穫しやすいものに画一化されており、地元の特徴のあるソバの品種を育てようとしても、花粉で交配してしまいがちなのです。
著者の推薦する最高の蕎麦は下呂温泉の「仲佐」。地元在来種のソバを生産者と一体となって育て、収穫した実から砂などを取り出すためにピンセットで選り分ける。もちろん石臼で挽き、それを最高の状態で出す。食べてみたい。
手打ちが本当に最高なのか?実は人気店である並木藪蕎麦は機械打ち。しかしその機械が半端なものではない。一方「神田まつや」は一日1000食を5人の職人で手打ち。
手打ちは細かいヒビが入るので、食感が優しくてつゆ付きが良い。
機械はつるりとしておりのど越しが良いけどつゆ付きが悪いので自然とつゆが濃くなる。
私は大晦日に自分でそば打ちをするが、素人なのでお店のようにはいかない。しかし自分で打った蕎麦でぬる燗をグビリ、とやりながら飲む酒は最高です。
蘊蓄も良いけど、結局自分の好きなお店があって(あるいは自分で打って)、くつろぎながら味わえるのが最高だな。今のところ、新橋、赤坂、那須にそれぞれ自分の好きな店があるので、とりあえず満足しています。