【感想・ネタバレ】ぼくは刑事ですのレビュー

あらすじ

松川律は三十一歳の刑事で、シングルマザーの竹本澄音とつきあっている。澄音の五歳の娘・海音との距離も縮まり結婚を真剣に考えたところで、澄音から自分の父親には前科があると告げられて――。ラーメン店を経営する姉一家との交流や同期刑事とのやりとりなどを小気味よく織り交ぜながら、若き刑事の二年の月日を描く。スカイツリーの見える東京・下町で繰り広げられる心温まる人生の物語。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

刑事って仕事はどんなものか…これまでドラマや漫画、ミステリー小説などで持つ一般的なイメージは、正義感が強く、平和を守るために命の危険も厭わない『聖職』として仕事をしている人が、逆に暴力団と結託して悪事をはたらくダーティーなヤツ…みたいな2択しかないような印象が普通ではないだろうか。

この小説に登場する松川律(まつかわ・りつ)はちょっと違う。合コンし、子持ちの歳上の彼女と付き合い、長いLINEをし、どちらかというと私生活は普通の32才の若者だ。
まあ、それは当たり前のことなのかもしれない。僕らは『刑事くん』(古い)から『太陽ほえろ』や様々な刑事ドラマで、刑事という職業は市民の安全のために尽くすものだと偶像化しているだけで、実際には普通の職業のひとつなんだよなぁ。

凶悪な事件が起こるわけではないし、刑事として犯人を捕まえるような大きな展開はないが、とある事故でストーリーが少し変わる。その時に自分ならどうするだろうと思える。え?そういう展開か…とちょっと驚いた。
ただもしも自分が本当に刑事に何かで担当してもらうとしたら、この主人公にはお世話になりたくはないなあ…

小野寺史宜さんの小説はかなり読んでいるが、やっぱり刑事ものの小説はムリ。畑が違うなあ。(いい意味で)

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2025年10月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

安定の小野寺節。
メンタルの安定した落ち着いたいい男目線の一人称語り。淡々としている。今回は物語終盤に向けて怒涛の展開だったのだが、それでもやはり「大きなことは起きない」と感じさせてしまう語り口。いい意味でとても現実的な物語。

主人公は松川律。刑事。警察官のなかでも、事件を扱う刑事。高校時代の先輩でシングルマザーの澄音と付き合っている。澄音の子ども海音ちゃんとも会い、結婚も考える。でも澄音の父には傷害の前科があった。で、上司からも結婚を止められる。それでも結婚しようと考える。警察を辞めてでも結婚しようと考え、そう伝えるが澄音が反対。2人は別れる。そして2ヶ月ほどで澄音が交通事故で亡くなる。海音は祖父に引き取られる。で、律は海音を養育したいと申し出る。あらすじはざっとこんな感じ。他にも元カノが軽いストーカー被害に遭ったり、同期が同僚と不倫してたりと展開はあるが、どれも主人公の人柄のよさを伝えるパーツになっている。
後半の澄音が亡くなる展開以降は、現実的ではないんだけど、語り口調が現実的だし、律目線だからスムーズに自分の中に落とし込まれる。
たしかにこんな刑事がいたらいいなあ、というか、人としてこういう人になりたいなあと思える作品。

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2025年09月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

刑事というからには、この作家さん ついにサスペンス的ミステリー的なものを?
と推測して読み始めたら人間味ある内容。
元カノだったり、シングルマザーの恋人だったり、高校時代の思い出だったり、同僚の不倫問題まで。果ては元恋人の事故死…刑事事件の内容よりもそちら。
でも、清々しいこと やっぱりすんと納得。
まだまだ、この調子でガンバレと声援を送りたい。

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2025年09月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

淡々と切なかった。
海のはじまりとかぶつてるなぁと。
実の娘ではないけど元恋人の娘。海も被ってる。
警察官の身辺調査のことは親戚に似たような話しがあって聞いていた。今回の父親の傷害による実刑はアウトなんだ。厳しい。一度でも犯罪歴があれば✕か。芸能人なんて何回でも覚せい剤とかで逮捕されてもまた復活してくるけどね〜。
最後は大丈夫だったんだよね?海音ちゃんのために無事でいてよ!

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2025年11月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

刑事である律を中心に、彼女でシングルマザーの澄音やその娘の海音との日常が描かれる。
刑事が主人公だけど事件の話はまったく出てこず、淡々と、本当に淡々と話が進む。

刑事も一人の人間だし、それぞれに人生がある。
そして、事件の犯人にも人生があり、その家族にも人生がある。
律たちの生活や人生が描かれる中で、ふんわりとそんなことが伝わってくる小説だった。

唯一話が大きく動いたと感じたシーンは、澄音の父親と海音との3人のシーンと、律が事件の被疑者を捕えようと対峙するシーン。(別に作者はここを見どころとして書いたわけではないと思うが。)
基本的に受容タイプの律が、明確に意志を現した場面だと思うし、だからこそより強い彼の意志として伝わってきた気がした。

ほっこりという感じでもないけど、じんわりと「人間
」を伝えている小説だと思った。

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2025年08月31日

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