あらすじ
人気作家チヨダ・コーキの小説で人が死んだ――あの事件から10年。アパート「スロウハイツ」ではオーナーである脚本家の赤羽環とコーキ、そして友人たちが共同生活を送っていた。夢を語り、物語を作る。好きなことに没頭し、刺激し合っていた6人。空室だった201号室に、新たな住人がやってくるまでは。(講談社文庫)
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
売れっ子新人脚本家とその友人の大小説家、そして漫画家や画家などクリエイターの卵たちが一つ屋根の下で暮らす「スロウハイツ」。それぞれが心に傷を持ちながら答えを見つけていく姿をそれぞれの視点で描く。厳しくも楽しい日々がずっと続くと思っていても、少しずつ何かが変わっていく、という話。
上巻はひたすらにスロウハイツでの幸せそうな共同生活が描かれ、はっきり言って退屈。登場人物の紹介や伏線に繋がる背景の描写が続き、大した事件も起こらない。しかし、下巻の怒涛の伏線回収を経てフィナーレに辿り着いたとき、「ああ、最後のこの一歩のために上巻の平穏で幸せな日々を丁寧に描いていたのだ」とふと気づく。
あまりにも退屈で途中でやめてしまった、という方がいたら、騙されたと思って何とか下巻まで読んでほしい。きっと後悔しない。
Posted by ブクログ
面白かったー!
登場人物みんな、いい所と悪い所がリアルですごい。
絶妙に誰のことも好きになれないから、絶対にスロウハイツには住みたくないけど、
共同生活の描写はすごくワクワクする。
環の、元彼の悪口の言い方とか、友達を対等に見てない感じとかは嫌いだけど、
友達の悪い所をビシッと指摘するところはスッキリするし、あといい所を素直に褒めれるところも好き。
狩野は、誰とでもそれなりにいい関係築けて、良い奴なんだろうなーと思うんだけど、環から言われてたこととかも合わせて考えると、優柔不断で独りよがりなタイプなのかなー。友達にいたらイラつくかもなー。
正義は、女性のことを「女」って呼ぶところが嫌だし、顔がいいのを鼻にかけてる感が若干伝わってくる。
けど、きっとムードメーカーで、友達にいたら楽しいんだろうなー。
スーは、何事にも積極性がないとか、仕事できないのを上司運のせいにしてるところが嫌だけど、すごい優しい子なのは分かるから嫌いになれない。
けどバイトの後輩好きになっちゃったってのはどういうことだったんだ?このまま深堀りされないのか?
エンヤは普通に嫌いかも。
他にもライバルいるのに環のことしかライバル視してないのとか感じ悪いし、自分の不甲斐なさを周りにイライラでぶつけて、最後には爆発して出て行く!でもこれは愛ゆえなんだよ。とか、メンヘラか!って感じで、あの時の環の対応にはスカっとした。が、環はエンヤの実力を信じてなさすぎてつらい…。
コウちゃんがとびきりで良い奴っぽいし、一番実力もあるしで、すごいいい立ち位置。
やっぱり夢追い人みんなで集まって住むと、クリエイティブで楽しい瞬間もたくさんあるんだろうけど、競争心メラメラで、ちょっとしたことでバランス崩れちゃうものなのかなー。
しかも最後が不穏な感じで終わったし…。環、何する気……?
ナンバー1のコウちゃんは絶対的存在だから、自分はナンバー2で甘んじてたけど、いざその地位が揺るぎそうになると焦るってほんとださいよ…。
早く出世しろーとかみんなのこと煽ってたくせに!
真相が早く知りたいので下巻もすぐ読みます。
Posted by ブクログ
数年ぶりの再読です。
共同生活を送っている登場人物たちが、小説家や脚本家、画家にマンガ家の志望や映画監督の卵……というクリエイター集団。そんな設定だったため、最初に読んだ時にはなかなか共感しにくいなと感じてしまって、たぶん辻村深月さんの作品の中では一番読み返す回数が少なかったこの作品。
でも久々に読んでみて……やっぱり好きだなっていうのを実感。
環の育ってきた環境とかエンヤの純粋さとか、他にもここに書かれているエピソードに似た経験なんてあるはずもないのに、でもそこに書かれている感情には共感できるものがある。不思議です。
上巻は、登場人物たちの人となりがわかるエピソード満載だけど特にそこに何かあるとは思えないような出来事ばかり。ある意味辻村さんらしくないような……なんだけど、これが下巻になるとものすごい意味を持つエピソードばっかりになるのはさすがのひとことに尽きますね。