あらすじ
宿敵・項羽を滅ぼし、戦国の乱世を征して、漢王朝を開いた男、劉邦。天下をとった彼が、真っ先に考えたのは、漢建国に力を尽くした功臣たちを抹殺することだった。謀反を恐れ、血の粛清を行ったのである。劉邦が子を産ませた姫妾たちは、寵愛を得るためしのぎを削る。劉邦と、彼を取り巻く9人の運命を描く(講談社文庫)。
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Posted by ブクログ
古代中国史の偉人伝を次々と発表している著者。しかも、その人選が結構マニアックなのだ。「光武帝」とか「司馬仲達」とか。本書の登場人物はそのマニアックさでも1,2を争う。
超有名人の項羽と劉邦の対決「垓下の戦い」が終わり、項羽の死から劉邦の死までのわずかな期間に滅びてしまった9人の劉邦の配下と側室たちの運命を描いた短編集。
メンバーは、臧荼、曹姫、韓信、趙姫、彭越、薄姫、鯨布、威姫、盧綰。どれも「誰?」ってカンジだ。
熾烈な対項羽戦が決着し、彼ら劉邦側は恩賞を得るが、休む暇はない。劉邦とその妻一族の猜疑心に備え、ひたすらに劉邦への忠誠をアピールする努力が求められたのだ。しかし、戦乱の世に生き残った彼らにそんな余力も能力もなく、次々と粛清される。短いが、残酷でギスギスした時代だ。