【感想・ネタバレ】荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論【帯カラーイラスト付】のレビュー

あらすじ

【帯カラーイラスト付】荒木飛呂彦がこよなく愛するホラー作品の数々は、『ジョジョの奇妙な冒険』をはじめ、自身が描いた漫画作品へも大きな影響を与えている。本書では、自身の創作との関係も交えながら、時には作家、そして時には絵描きの視点から作品を分析し、独自のホラー映画論を展開する。巻頭には「荒木飛呂彦が選ぶホラー映画 Best20」も収録。ホラー映画には一家言ある著者の、1970年代以降のモダンホラー映画を題材とした偏愛的映画論!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 荒木先生による、ホラー映画から受けた影響と、なぜホラー映画には「癒し」の要素があるのかという解説、分析を堪能できる一冊。

 僕がホラー映画史上で一番好きと言っても過言ではない、『28日後…』を「栄光の一作」とベタ褒めしていたり、「極限状況にあっても店内は物質的に充足しているという状態は、僕にとってもう癒しとしか思えない」など、とてつもない共感を得ることが出来たので、読んでいてものすごく楽しかったです。

 ただ、僕が発狂するほど好きな『ぼくのエリ 200歳の少女』は、タイトルは挙げたものの「解説は100作まで」というルールによって封じられてしまったので、そこだけ引っかかってしまいました。

 ホラー映画好きに限らず、逆にホラー映画が苦手な方にこそ読んで欲しい本です。

0
2024年11月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「邪悪なものを描くことで、それに対抗する人間の心の美しさも同時に描くことができる。そういうところも含めてもっとホラー映画を探っていきたいと、そう考えるきっかけになったのがこの『エクソシスト』でした。それほどホラー映画は凄いもの、表現手段として優れたものだということを教えられた作品です。--P.195

荒木飛呂彦が選ぶホラー映画Best20
01.ゾンビ完全版('78)
02.ジョーズ
03.ミザリー
04.アイ・アム・レジェンド
05.ナイスゲート
06.エイリアン
07.リング(TV版)
08.ミスト
09.ファイナル・デスティネーション
10.悪魔のいけにえ('74)
11.脱出
12.ブロブ 宇宙からの不明物体
13.28日後…
14.バスケット・ケース
15.愛がこわれるとき
16.ノーカントリー
17.エクソシスト
18.ファニー・ゲームU.S.A.('07)
19.ホステル
20.クライモリ

・吉良吉影という影
 第四部を連載で読んでいて、吉良吉影は相当、著者のアレコレを背負わされているのではないかと思ったことがある。本書の中でも、若者やカップルへの一方ならぬ思い入れがあることが読み取れ、やはりそうなのかと。

・私的ホラークイーン・コンテスト
 著者が定義する、以下のような特徴を持つヒロインのことを指して言う。
 1.やや暗い性格。心に傷を負っている
 2.キビキビと動ける反射神経の持ち主。トロくない
 3.カワイイけどSEXYではない。清潔感がある。エロくてはいけない
 4.アスリートのような引き締まった筋肉質の体。けれどマッチョではない
 5.恐怖を克服する強い意志の持ち主。恐怖に固まったりしない

 空条徐倫という存在について、ずっと疑問があった。ストーンオーシャンを読み進めてみて、主人公が女性である必要性、必然性といったものが感じられなかったことによる。女性でいけないわけではないが、女性である必要もない。やってることはいつものジョジョだし。
 ホラークイーン論で「ああ、やってみたかったのだな」と腑に落ちた。

・各章の扉絵
 うろ覚えで描いちゃったエイリアン萌えw

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2022年09月28日

mac

ネタバレ 購入済み

厳しい現実に対する予防接種

一部ご紹介します。
・かわいいもの、美しいもの、幸せで輝いているものを好むのが人間である。
しかし、現実はそういう美しいもので満たされているわけではない。
むしろ美しくないもののほうが多いことを、人は成長しながら学ぶ。
・この世の中には、汚いものや醜いものがある。
現実の世界は悪意に満ちているし、自分の中にも悪意は存在する。
災害、理不尽な暴力、厳しい環境。
人はそういった過酷な体験をしつつ、傷つきながら成長していく。
現実の世界はきれいごとだけではすまない。
そのことを、誰でもいずれ学んでいかざるを得ない。
・ホラー映画の存在意義とはなにか。
世界の醜く汚い面に向き合うための予行演習に他ならない。
それは少年少女のみならず、大人にとっても有効なものだ。
そして恐怖を相対化できるようになればどうか。
ホラー映画はそれをフィクションとして楽しむことのカタルシスを教えてくれる。
ホラー映画が描いているのは人間にとってのもう一つの真実だ。
現実や人間の暗黒面を描いた芸術表現といっていい。

ゾンビ完全版(ジョージ・A・ロメロ監督 ’78):無個性、匿名性がもたらす不気味さ

ジョーズ:板子一枚下は地獄

ミザリー(スティーブン・キング原作):狂気の監禁女

アイ・アム・レジェンド(2007):廃墟化した大都市、怪物化した感染者、狩猟、男の隠れ家、サバイバル、愛犬

ナインスゲート(ロマン・ポランスキー監督 1999):ジョニー・デップと岸辺露伴

エイリアン:H・R・ギーガーのアート

ミスト(スティーブン・キング原作):スーパーマーケットの人間模様、霧の中の怪物

悪魔のいけにえ(トビー・フーパー監督 1974):田舎に行ったら襲われた

エクソシスト:君子豹変す

ホステル(イーライ・ロス監督):拷問や殺人を楽しむ秘密クラブ、限界に近い痛み

キューブ:極限状況における人間性の崩壊

シックス・センス:人間と幽霊の交流

セブン:七つの大罪

羊たちの沈黙:悪には悪を、ふざけたやつは追い詰める

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2022年09月30日

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