あらすじ
心がふるえる青春(恋愛)小説が生まれた。
近未来を舞台にした全く新しい青春(恋愛)小説が誕生した!
22世紀になって科学技術は東京だけに一極集中している。
ここ軽井沢では通信機器は使用不能。
私が通う高校に東京から転校生(未来人?)がやってきた。
恋をまだ知らない私は彼に言った。
「私と恋をするんでしょう? それは、一緒に戦うってことだよ!」
「人の中には、白く光る星のようなものがあって、
みんなそれを守っているのだと、そのことを信じられたら、
愛も友情も決意も一人きりの誇りも
すべてがその星からあふれた光だと思えるから。
なんだって、できる。きみの目を、私として、見つめていられる。」
……あとがきより
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
初めて最果タヒサンの小説を読んだけどかなり良かった。機械化した人たちがいる東京とそれ以外の地方の物語。転校してきた東京の男の子はいきなりモテまくって、でも好きという事が分からず、伝える事もうまく出来ない。好きってなんだろうという問いがぐるぐる回る青春SF。
Posted by ブクログ
『死んでしまう系のぼくらに』のような雰囲気だと思いながら読み進めました。情景描写が詩のようです。前半はライトなノリで面白かったです。だんだんシリアスになってきて……?! 恋に対する考え方、好きです。他人に対してもっとドライになっていいんだなって思いました。
Posted by ブクログ
ふわふわわたあめ食べてたと思ったらいつのまにか92%のビターチョコレートの板チョコがまるまる胃の中に収まっててキューってなってる
最初は言葉を楽しむ本だと思ってた、くすくす笑えるし、良い意味で軽いし
清々しいほどの無責任さを笑い飛ばして、とにかく正直で率直なのがとても気持ちいい
おもしれー女ならぬおもしれー本って感じ
だけど私が餃子が作れなかった頃のこと忘れてたみたいに、心の柔らかい無防備なところにアプローチしてくる
愛とか恋とか、それをこれまで色んな言葉で尽くされてきたけど結局実際よく分からない、でも分からないまんまでいーじゃん!って思える
Posted by ブクログ
テーマは近未来だけど、今読むべき感覚の本だと感じた。
著者が詩人ということもあり言葉の選び方がおしゃれで、でもすごく理解しやすくて、曖昧な感覚をうまく表現するなと思った。
餃子を作っている時の表現がすごく好き。
Posted by ブクログ
面白かった。同時に難しかった。
詩人が書いた文章ということで、読者との距離が異様に近い文体が非常に面白かった。
前半は「恋ってなんなのか」という問いにもがく山科さんにすごく共感できて面白かった。
後半が難しかった。
文章はとても平易で読みやすいんだけど、構成の意図を完全に汲み取れた自信はない。
それでもなお十分面白かった。
セリフが全体的に、ポップなんだけど詩的で、SFというか幻想的で、特殊な空間だった。
あとがきをちゃんと読めばちゃんと読むほど理解が深まる気がする。(それでもなお俺の理解は追いつきてないだろうけど)
他者を底から理解することも、他者が俺のことを底から理解することも決してないとは思うんだけど、たまに「理解する」感覚があって、それが「他者の心に触れた一瞬の感触」で「水面の光」で、「あなたと私がいる幸福」なのかなと。
以下解釈(メモ)
早見くんと谷崎
軽蔑の形→恋に臆病
恋に臆病という点は、山科さんも同じ
山科さんは恋の神格化(ちゃんと捉えようとしすぎ)
早見くんと湖
「初恋」であって恋ではない
助けようとする湖にどんな意図があるかは明言されない(p.126)
「人生の全ては、全てをいい思い出にするためにあるのかもしれないし。」
早見くんと山科さん
「恋の周りをくるくる回る人たちが、恋への憧れを不意に忘れて、真ん中の、その光だけをおそるおそる手に取る、そんな瞬間がもし描けたら、嬉しいなと思った。」
Posted by ブクログ
すごく良い。
私は恋に恋してるから、最近恋ができないのかな。
あとがきがすごく良い。
本文前に何回も読んだ。
帯に書いてて、読後まで待てなかった。
ところどころ分からなくなるところも
この作者の世界観で、作者のどの本読んでも感じる。
分かるということは、分からないの上で成り立つ。
君の目を、私の目として見つめていられる。
すごい言葉だと思う。
Posted by ブクログ
他人の気持ちなんて、どこまでいっても分かりようがない。心があるかどうかすら分からないのだから。でも、それって、自分も同じ。他人が自分を見るのも、自分が自分を見るのも。
でも、だからって、だからこそ、他人と関わるのは煩わしいし、他人と関わりたいと思うもの。
うわべの自分が話していても、義務感や演技を自覚していても、恋は楽しくうれしい。恋とは、一緒に戦うこと。恋だけじゃないけど。
そんなお話、とても、すとんとお腹に落ちた。
感情移入しづらい登場人物だし、クセのある言い回し、それが読み進めるととに目に咲いた花のように馴染んで溶け込んで、心地よくなっていく。そして、登場人物みんなを、少し好きになる。
Posted by ブクログ
都市では科学技術が発展して一方で地方都市はそれとは大きな格差が生じている近未来で、軽井沢の高校に東京から早見君が転入してきます。梢(こずえ)と光(ひかり)と飯島君と早見君の思いを語った物語りだったと思います。冒頭恋愛小説のようでもあったのですが、文学的で哲学的な多少の救いがあるディストピア小説の印象でした。私としては分類不能で少し面白い小説。星4つとしました。
Posted by ブクログ
最果タヒさんの詩が好きで、今回初めて小説の形で最果タヒさんの作品に触れました。なかなかむずかしい。1時間半ぐらいで読みました。
詩として読むにはボリューミーだし、小説として読むには飲み込みづらい。詩っぽい部分は完全に頭を切り替えて読んでく感じでした。慣れるまでは何度も脱落しようか悩みましたが、全部読んでよかった。
恋愛小説の分類と思いますが、私は読み終わったあと、恋とか愛とはなんだか違うものが頭に残っていた気がします。
近未来要素もいいなあって思いました。最近、身体改造系(?)の作品をたまたま手に取る事が多くて、なるほどこういう攻めもあるのかという気持ちです。後半の展開好きです。
あとがきもすごく良いです。
Posted by ブクログ
3.5
独特な世界観と地の文でなかなか難しい。でも後半はかなり共感できる部分があったし、スッと読めるようになった。
いつも他に起きたことは自分を鈍感にさせるとか、完全に他人を理解することはできないというところに救われた。自分でもなかなか言語化できない感情を客観視できた。
前半の方がポップで特徴的なセリフ回しがあってそれも面白い。近未来的な世界観を掴むのはなかなか難しいけど。
Posted by ブクログ
近未来の地方都市に、東京から転校生がやってきた…ってボーイミーツガールのお話。なんだろうけど、正直に言うならむずかしかった。恋のお話だけどそれよりも人間の話だって思いました。人間同士が手を取り合い一緒にいることの意味とか。うーんわかんないけどでも最果タヒ先生の文章好きなんですよね。
Posted by ブクログ
詩人さんの素敵な感性による世界観と地の文(一人称視点)に自分は読みにくいと思ってしまい、ついていけなかったかも…… 人によると思う 作者の感性のファンの人なら楽しめるのかもしれない
しかし、それでも印象に残ったところは2つあった
・サイボーグ化手術に失敗した数少ない異端として色んな人に善意で気を遣われながら生きていた早見君が親に連れて行かれた病院先で「治るって!」と言われた時の反応。自分でも自分のことは"病気"だと思っていたが、それでもサイボーグ化手術後にで体が拒否反応を起こしたことを"正常"な身体反応だから大丈夫、"普通"のことだ、と励まされてきた彼が、「やっぱり僕って病気だったんだ?」と大人を責めた。医師も親ももちろん彼の心情を慮って何も言わないが、その時やそれ以前から早見君が感じていた孤独感が現れたシーンだったので、印象に残った。
・p198
私にとってはなにもかもが多分、根本的には大したことではないのだ。他人に起きたことはいつもどこかで私を鈍感にさせる。とても大事なことも、「大事なことだ!」と頭の中で唱えて気をつけて振る舞うだけで、本当はわかっていない。全然わかんない。きっとそうだ。その恥ずかしさと申し訳なさで、いつも私は消えたくなる。でも、それを私は強さだと誤解して、いつものたうち回る友達の近くにいるのだ。逃げない。逃げるほどのことじゃない。温かいお湯に浸かって白い浴室の壁を見ているとき、急に泣いてしまったりしても、私は自分を変えたくない。光のママって何月生まれだっけ?って聞いてしまったことがあった。光は優しいから普通に教えてくれた。夜に突然気づいて、後悔して、でもお風呂で泣いてすぐに忘れた。私は、この心の浅はかさを大事にしたい。恋がしたいんじゃなかったな、恋ができるくらい、心がぶあつくなりたかっただけだ。人の悲しみを本気で受け取って、一緒に傷を負って、血を流したかっただけだ。恋人にならそうなれると思っただけ。そんなふうに相手と同じくらい傷ついて泣いてあげたい。私、ずっとさみしかったんだろうか。いや、それくらいしないと、人を助けられない気がしただけだ。
血まみれになって、誰を助けるんだよ?
私には、絶対に助けられないことってある。光のママのことも、パパのことも、私には何もできない。生き返らせられないよ。
> 恋がしたいんじゃなかったな、恋ができるくらい、心がぶあつくなりたかっただけだ。人の悲しみを本気で受け取って、一緒に傷を負って、血を流したかっただけだ。
> 血まみれになって、誰を助けるんだよ?
> 私には、絶対に助けられないことってある。
↑数少ない共感・頷き箇所だった
本文は読みにくいな〜と思いながら読んで、最後には結局やっぱり恋の話だったか〜……と思ってしまったが、あとがきはよかった。個人的にはあとがきの方が好きだった。
Posted by ブクログ
舞台は22世紀の軽井沢。そこで暮らす山科梢のクラスに東京から転校生(未来人)がやってくる。その転校生、早見くんは転校初日から東京から来たということで大人気。梢の友人の光も早見くんに初日から告白して一緒に帰る約束をした。が、放課後、早見くんは光以外の女子生徒と同じ約束をしていた。
え、未来人?と思ったけど東京は文化が発達しすぎて未来みたいだという比喩かと思ったら比喩でもない…?東京は機械化された人で溢れ、早見くんは機械化できず、その目には機械化された人はロボットのように見えるという。
いやー、私には難しかったな。文章も全体的にセリフが多くて、ほとんどが登場人物の台詞で成り立っているから背景とか状況とかがはっきりとわからないことが多かったからかも。
あとがきが良いというレビューが多いので、もう一度読み返してみようと思う。
Posted by ブクログ
近未来の日本。科学技術の進歩する東京から、軽井沢に引っ越してきた高校生の早見くん。東京から来たというだけで、彼にときめく女子が多発。そんな早見くんには秘密があって…。
最果タヒさんの書いた作品は小説も詩集も合わせても初めて。なんか、こそばゆい感じがして手に取りにくかった。でも、YA世代の子と接する機会が多いのでネタを仕入れるために手に取った。
ブグログのレビューを見てると合う合わない真っ二つに分かれてるが、私は読むのに苦労した。
単刀直入が好きなので、回りくどい言い回しや話の遠回りする進み具合が、これぞ思春期の心情なんだろうけど、私には合わなくて、途中でやめようか、でもここまで来たし読もうか、と何度も思った。
もうちょい若い子の気持ちに寄り添えば楽しく読めたのかな。
Posted by ブクログ
最果タヒの詩は苦手だと感じることが多いけれど小説にはハズレがないなと毎回感じます。普段SFは読みませんが、少年の切実さもぐちゃぐちゃの感情も、ヒロインの掴めない感じもすごくよかった。畳み掛けるような終わり方だけが残念だったなあ
Posted by ブクログ
2025.5.23〜2025.5.24
最果タヒ先生の詩集は読んだことあったのですが、小説は初めて。とても独特な文章の表現とリズムなので時々よく分からないけど、一貫して「恋や愛というものは」というところが根本にあるな〜ということはふんわり伝わりました。章が変わるごとに装画も担当されている、西村ツチカ先生の挿絵が入るのも素敵。
舞台は近未来、一点集中して発展した東京から軽井沢に越してきた少年と、そこに住む恋がよく分からない少女と、その周りのお話。
青春恋物語かと思えば、急に少年側の近未来発展世界・東京の話に変わったりするので、読者はずっと世界観にふわふわ漂って流されている気分になります。
個人的にですます口調と砕けた口調がコロコロ変わるのがあまり得意ではないので、ちょっと読みにくかったです。
これは特徴なのか、こう、頭で浮かんだ感情をそのままどうにか言葉にして紙に打ち付けている印象が強くて、一連の物語としてある為に詩集より人を選ぶのではないかなと思います。
そこで終わるのかー!とも思ったけれど、ある意味そこで終わるのが正解なのかも。この先早見くんが最初の母親との約束通り帰ってしまうのか、それとも梢と一緒にいるために止まり続けてくれるのか。最後の挿絵が恐らく梢1人だったので帰ってしまったのではという気持ちもあるけれど、明言しない方が色々想像できて楽しいのかなと思います。
読むの自体は、今までない感じだったのでとても楽しめました。