あらすじ
なぜ私なの?
賭博師シェルの奸計により、少女娼婦バロットは爆炎にのまれた。
瀕死の彼女を救ったのは、委任事件担当官にして万能兵器のネズミ、ウフコックだった。
法的に禁止された科学技術の使用が許可されるスクランブル-09。
この緊急法令で蘇ったバロットはシェルの犯罪を追うが、そこに敵の担当官ボイルドが立ち塞がる。
それはかつてウフコックを濫用し、殺戮の限りを尽くした男だった。
代表作の完全改稿版、始動!
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Posted by ブクログ
コミカライズ版は大分昔に読んだことがあり、好きな作品でした。読み返していないため記憶は曖昧だが、結構アレンジされていたんだな〜と数年越しに知る(コミカライズの方も大今先生の才能を感じられる素晴らしい出来だと思う)。
SF小説は苦手だからと敬遠していた原作にやっと手を出しました。びっくり、面白いし読みやすい。もっと早く読めばよかったです。冲方先生の文章がお洒落かつ綺麗で、そういう楽しさもあります。
「なんで私なの(私だったの)?」と、自身の存在証明をするように問い続けるバロットは痛々しい。でもその痛みの中から彼女の力強さというか、生命力が生まれてくるようで惹き込まれる。やっぱりバロットは魅力的な主人公だな〜と思った。もちろん人間でもネズミでもないのに、1番優しいウフコックも好き。
彼を濫用してしまうシーンは辛いが、長年支配され蹂躙されてきたバロットが「そちら側」にまわる快感を知り、同じ屈辱を味わうべきだという思考になるのは人間は弱いし…子供だし…しょうがないよねと思えてしまう程度には哀しい経験をしすぎたバロット。繰り返す問いへの単純明快な答えを見つけた気がして飛びつく。大きな力を持ったとき、どれだけの人が制御できるのだろーか。
Posted by ブクログ
王道のディストピアSF、かなあ
娼婦として生きてきた少女と、喋るねずみ。なんか狙ってる感があるなあ…。けど、バロットが、手に入れた力を「濫用」してしまうところ、それによってウフコックを傷つけてしまい泣きながら戦う、最後のシーンを読んで、なるほどこれは少女とねずみだからいいのだな…と思った。
大体読みやすくおもしろかった。
ドクター好きですねえ…
Posted by ブクログ
読んでいて攻殻機動隊やサイボーグ009のようなイメージを持った。SFを装飾品としてちりばめながら、人の暗い内面を描いている本だと思った。人の暗くてバイオレンスな部分を無機質に描いている印象を受けた。
Posted by ブクログ
「何が幸福で何が不幸せなのか」。自分で全く考えるということをしてこなかった少女娼婦(そのような環境だった)が自分で生きたいと願った事により立場や環境がまるで変わり考えなければならなくなった話。
副題?の圧縮には次巻への助走というイメージがよくあっている。
この話は圧倒的に彼女の成長がキモであるが、これからの話しを想像するとウフコックのはたまた、機械工学、システムの成長が書かれるような気がしてならない。
彼女という雛がすでにある常識に縛られた大人達のハリボテをどのように見抜き、その力を持ってして破壊するか。
1巻は彼女の判断力や善悪を見定める力を養い、考え方を示す巻だった。
文章自体にも少し引っかかった。
まず冲方さんはこういう書き方の文章を書くんだ〜って思った。天地明察をすこし読んだくらいなので。
結構この本はラノベみたいな読み口を感じた。文も、キャラクターもそんな感じ。
文章は結構無駄がなく、ある種無感動に進んでいくイメージ。語りてや世界観の支配がそこによく現されているようでSFらしさ(古典の海外SFを読んでるみたいな)がある気がした。