【感想・ネタバレ】色彩についてのレビュー

あらすじ

色の概念の論理は見かけ以上に複雑だ──。病床にあった晩年のウィトゲンシュタインは、ゲーテの『色彩論』に触発され、死の直前まで「色彩」の問題を考察し続けた。透明で白いガラスはなぜ想像できないのか、「赤っぽい緑」というような色はありうるか、全員が色盲である民族を想像してみよ……。『哲学探究』で示された「言語ゲーム」などの視点を採り入れた「色の論理学」ともいうべき思考実験は、われわれが自明視しがちな色彩概念を根本から揺さぶり、深い探究へと読者を誘う。同時期の遺稿『確実性の問題』にも通底する点がみとめられる、晩期の思想が端的に表れた断片集。

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Posted by ブクログ

我々が当然のように使っている「色」の概念について問い直している。面白いのが、例えば光の性質やスペクトルといった物理的?な要因にはほとんど立ち入らず、ただ人が与える定義や言語としての論理性というところにフォーカスされているところ。改めて、色というものは例えば数字と同じで定義依存が強固で、他の概念による説明が全くできないところが面白い。私はこれを訳本として読んでいるが、果たしてウィトゲンシュタインの脳裡に浮かぶ「色」と寸分違わぬ同じものを思い浮かべているのか?とも思いながら、楽しく読んだ。

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2025年04月11日

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