あらすじ
W杯を前にかつてないサッカー×実用本爆誕
史上最速で北中米W杯出場を決めた日本代表!
森保ジャパンは「優勝」を目標に掲げて意気軒高だ。
だが、これまで日本代表の最高成績はベスト16が3回。
うち、南ア大会と、前回カタール大会は、「PK戦」で敗れたのだ。
W杯のトーナメントでは5試合に1試合がPK戦になる。
スポーツ心理学者ゲイル・ヨルデットは、PK戦が導入されて以来の、
入手できる限りのビデオを分析し、その研究を初めて一般向けに世に問うたのが本書である。
本書には、PKの技術に密かな革命を起こした驚くべき選手が紹介されている。
その名は……遠藤保仁! 日本のサッカーファンからすると、
「コロコロPK」のことか!? と思うだろうが、さにあらず。
南アフリカW杯で遠藤が決めたPKに、著者は驚倒したというのだ。
遠藤が見せた「世界初のPK技術」とはいったい……?
そのほか、
・メッシのPK成功率は「平均以下」
・PK職人、ケインとレヴァンドフスキの「真逆のテクニック」
・アルゼンチン代表GKマルティネスの「狡猾な策略」
などなど……「PK」だけをテーマに、これほど奥深い世界が広がっているとは驚くしかない。
サッカーファンはもちろん必読、そして日常のプレッシャーに対応するための
心構えも学べる、いまだかつてないスポーツ科学本。
作家・橘玲氏がコメントを寄せてくれた通り、「PK戦が100倍面白くなる。
そのうえ、緊張するときどうすればいいかも教えてくれる」一冊だ。
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Posted by ブクログ
スポーツ科学、なかでもスポーツ心理学を紹介する一冊。
プレッシャーに立ち向かい、自分をコントロールして対処するにはどうすればよいのか。そも対処できるのか?
これをPK戦を素材に解き明かす。ワールドカップでは1974年から採用された。かつてはロシアンルーレットとも言われたPK戦だけど、今では対処法や準備の仕方が確立されつつある。
けど、サッカーの歴史とともにPK戦の変遷を見ていくと、サッカーっておよそみみっちい競技なんだなぁと思っちゃう。まったく紳士的なスポーツではない。相手を失敗させるためには何だってやっちゃうんだから。ラグビーでは考えられないよね。だからこそ大衆に愛されているのだけど。
Posted by ブクログ
「遠藤保仁 6.4秒」この意味が知りたくなった人は今すぐ本書を手に取るべし。2022年のカタールW杯で日本代表が4人中3人止められて敗退したのもまだまだ記憶に新しいPK戦。歴史上でも様々な名選手が勝負のかかった場面でPKを外してきた。その現象をスポーツ心理学の視点から徹底分析した一冊。個人のプレッシャー対策やキッカーとGKの駆け引き、チーム組織で出来ることまで話題は多岐に渡る。めちゃくちゃ面白かった。どこか特定のチームを勝たせるミッションを背負った立場ではない研究者がここまだやるのはもはや変態であるw
Posted by ブクログ
書名は「なぜ超一流選手がPKを外すのか」となっていますが、本書は”PKの成功率を向上させるには、どのようなメンタルのマネジメントが必要か”という点にフォーカスした内容になっています。
1章
PKがいかにプレッシャーのかかる状況であるか、W杯やEUROなどの主要大会決勝トーナメントなど具体的な試合を挙げています。かなり数多くのケースが例として紹介されていますが、私が最も印象的だったのは1994年W杯アメリカ大会決勝で、PKを外したロベルト・バッジオのケースでした。
2章
PKキッカーが自分が主導権を握るために取り組む工夫について、キック前のルーティンなどの例を挙げて解説しています。この章では日本の遠藤選手が世界一流のPKキッカーの一例として紹介されています。有名な”コロコロPK”ではなく、キック前の間合いを長く確保していることについて、遠藤選手本人の証言なども紹介されています。
3章
PKキッカーの集中力をそぐ努力を重ねるゴールキーパーの実例が紹介されています。わざと遅くゴール前に歩いたり、ボールをなかなか手渡さない、キッカーにしゃべりかけるetc…等々の数多くの心理戦の実例が挙げられています。
4章
ゴールキーパーだけではなく、キッカーの相手チームの選手がキッカーに話しかけたり、威嚇したりするなどの手段でキッカーのメンタルを乱そうとする一方、それを防ぐためにキッカーのチームメイトがキッカーを囲んで文字通り”守る”役割を担うなど、チームとしてPKキッカーをいかに”守る”のか、その実例などを紹介しています。
5,6章
PKを蹴る順番を監督がいかに決定するのか、その需要性を実例をもとに解説しています。2022カタールW杯で実施されたPK戦において、選手の立候補で決めた監督(日本、フランス)と、予めPKを蹴る選手とその順番を決めていた監督(アルゼンチン、モロッコ、クロアチア)とでは、明らかに後者の勝率が高いというデータを示し、”PKを蹴る”という重責を負うことを表明する事へのプレッシャーを選手に負わせない重要性を述べています。
デシャン、アンチェロッティ、クライフやなど一流の選手でさえ”PKはくじ引きみたいなもので、練習しても無駄だ”との証言がある一方、”PK戦はチームとして取り組むべきであり、成功率を向上させるやり方がある”とする著者の考えが数多くの実例をもとに解説されていて、非常に興味深く読むことができました。
私はサッカーは競技としては未経験なので、PK戦の経験はありません。著者によると、センターサークルから一人で歩いてPKスポットに向かう時、凄まじい孤独感を感じるとか。また失敗してセンターサークルへ戻る時の心境は経験した人にしか分からないそうです。そういうプレッシャーをチームとして一緒に共有する手法として著者の数々の提案について、もし次のW杯の中継でPK戦を視聴する機会があったら、是非キッカーだけではなくベンチのスタッフや、チームメイトの動きまで映像で観てみたいと思いました。
Posted by ブクログ
PKは運試しではなく、状況をコントロールできているという実感で成功確率を上げられるものなんだそうだ。また個人の問題だけでなくチームの連帯感、ムードでも変わってくると。…職場もサッカーの世界も一緒なんだなぁと思った
Posted by ブクログ
プレッシャーをどうマネジメントするかと言う研究を、PKを通じて進めてきた。
ワールドカップの決勝で、バッジョが思いっきりふかして敗退したのを鮮明に覚えている。ジダンが吐くほどのプレッシャーらしい。
PKはくじ引きみたいなもんだと言う監督が結構多かったそうだ。事前に練習しようにも、あの狂気のプレッシャーは再現できないからと言う声もあったようだ。だが、軽いプレッシャーの元でも準備しておけば、さらに強いプレッシャーにも対応できるよにうになるという研究結果があると。
要は、環境をどれだけコントロールできるかと言うことなのかな。
主審のホイッスルから短すぎても長すぎても上手くいかない。
ルーティンもそう。
コミュニケーションも大事。
いずれにしろ、PK対応は技術として十分に準備できると言うことだ。
本筋とはちょっと違うが、GKがキッカーの平常心を失わせようとあらゆる手段をとることへの対応、みたいなのがあるが、そもそもそんなことを認めてしまうところが野蛮人のスポーツだなと思ったわ。
PKは個人戦だが、団体戦でもある。
例えば剣道の試合で、相手、観客が「礼」をかく行動をすることなんか想像もできない。
そう言う考えだから勝てないのかもしれないが、最近のサッカーが面白くないのはそう言うところかもしれない。
と思った。