あらすじ
ヘイスティングズは親友ポアロの招待で懐かしきスタイルズ荘を訪れた。老いて病床にある名探偵は、過去に起きた何のつながりもなさそうな五件の殺人事件を示す。その影に真犯人Xが存在する。しかもそのXはここ、スタイルズ荘にいるというのだ……全盛期に執筆され長らく封印されてきた衝撃の問題作。
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Posted by ブクログ
老いて痛々しいまでに衰えてしまったポアロ、妻を亡くし娘を理解しきれないヘースティングスの様子が悲しい。ポアロが最後に追う謎の犯人「X」。ポアロ最初の事件の現場であるスタイルズ荘が最後の事件の現場になるのがまた悲しさを・・・。今までののポアロ・シリーズとは違いすぎる雰囲気で読み終わった後ちょっと立ち直るのに時間がかかる。
Posted by ブクログ
34か月間でポアロシリーズ読破!ヘイスティングスがポアロに呼ばれ一路スタイルズ荘へ。衰弱したポアロとの対面、いきなり「ここで大変な事件が起きるかもしれない」とポアロ。しかも犯人の目途は立っている。が、ヘイスティングスに真相は告げず。ヘイスティングスに犯人捜しを頼む。納得いかないが彼なりに慎重に住人と会話する。そこで医師の妻が自殺、別夫婦の妻への誤射、ヘイスティングスの殺人未遂、愛鳥家が拳銃自殺、ついにポアロが病死。複雑な真相はポアロの手記で明かされる。ポアロの幕引きは切なくも格好良かった。そうきたか~⑤
Posted by ブクログ
エルキュールポアロ最後の事件に相応しい内容だった。
これを読んでしまったらポアロとお別れするようで、中々読まずにいたが、大変面白かった。
最後のポアロの決断には賛否両論あるかと思うが、彼の悪を許さない強い気持ちと、これから犠牲者を出さないために、禁断の手を用いたその覚悟に、私は拍手を送りたい。
Posted by ブクログ
ポワロシリーズの最終作。最終作だからこその結末ですが… うーん、悲しいですね。
事件が起こるまでが長く、ずーっと不穏な空気が漂ってるのと、ポワロが年老いてるので少し読み進めるのが辛かったです。
Posted by ブクログ
あのポアロが犯罪に手を染めるの、寂しい感じ。でもテーマとしては面白かったな。どれだけ計算してても、他人の心を操るのがこんなにうまくいくものかと思ったけど、法に触れずに他人を引きずり込む悪の存在をありありと感じた。多くの人は他人の発言に少なからず影響を受けるし、相手が善良そうに見えればなおさらだと思う。特に、何か運命的なものを感じたら直感ですぐに行動するタイプだと、仕組まれた悪意に気付かずに罪を犯してしまいそう。
ポアロとXの戦いはどっちが勝ったと言えるのだろう?結果的に先にXが死んだから、一見ポアロが勝ったように見える。だが、人の心理を操って犯罪へ導き、人の生死を左右するのがXの目的なら、ポアロが殺人をするということはXの思うツボではないか。ヘイスティングスが唆されたことをポアロは指摘していたが、ポアロも唆されたことになるのではないか。
ちょっと疑念は残るけど、筋書きの意外性とか、人物描写の面白さはやはりあって、楽しく読めた。結構好きな方の作品。
「どこまでも暗い日も明日になれば過去のこと」っていう言葉は私も好き。
Posted by ブクログ
読み終わった後の何とも言えなさ
切ないというか悲しいというか胸にぽっかり穴があいたような喪失感がしばらく続いた
気軽には読み返せない、ポアロに一言声をかけたくなるような作品
これを読んだ後には他のポアロシリーズを読んで心を満たしたくなる
しかしそれでもポアロが好きだなぁと感じた作品
Posted by ブクログ
再読。いくつかポアロ物を読んでから読まないと、ちょっと良さがわかりづらいんじゃないかと思う。シニカルな部分もあるし、ジュディスの安楽死容認発言も気になる。老いや伴侶を失う寂寥、夫婦関係への洞察など、ここまで年月が経たないとここまで書けないだろうなというところに、筆者と登場人物の経年と円熟を感じる。そして遠回しな反戦も読み取れるように思う。
苦い。そう、ジンセイって多かれ少なかれこんなふうに苦いものだよね。苦いものを抱えて生きていくものだよね。
Posted by ブクログ
この話は個人的にアガサの
そして誰もいなくなったを彷彿させるものがあった
殺人犯を立証できない犯人はわかっているが
それを立証できない事件というのは推理小説では必ず取り上げられる話だと思う
今回は最初と同じ舞台スタイルズ荘で事件が起こるというストーリーになっている
さすがクリスティー最初と最期の舞台を同じ場所にするというのがさすがのセンスだと感じる
ただ最初の時と違って随分とキャラクターも様変わりしていた
ヘスティングスはすでに妻を亡くしていて子供たちも自立している
ただ1人の娘であるジュディスを除いて
ポアロに関しては死期がもうそこまで迫っている状態でありベットで寝たきりの状態
それでも彼の灰色の脳細胞だけは昔と変わらないと彼自身自負していた
今回のストーリーは答えをいってしまうと
殺人者はエルキュールポアロだ。彼が自ら殺人を犯してしまう
これだけでも興味が湧いてくる人と絶対に読みたくない人と別れるだろうけれど
一つ言えるのはポアロが殺した相手こそどうにもできない犯罪者だったということ
犯罪そのものを自分から誘発はするが手はくださない
だから絶対に逮捕されない
そしてヘスティングスは相変わらずのポンコツぶりだけれどそれに拍車がかかっていた
ポアロは誰が殺人者かヒントを与えていたのに
そこに気が付かなかった
それがかれの美徳なところだとポアロもほめてはいたけれど
最期のポアロに手記は泣ける
最期の最後までかれは友人を思って逝った
きっと若い時に一緒に過ごした時間が本当に彼にとって幸せだったのだろうと思えた
それは小説というよりドラマでデビットスーシェさんが長年演じたポアロから私が感じたことだ
小説もいいけれどぜひドラマも見て欲しい
そうすることでよりこのカーテンという作品に思いを寄せることができると思う
Posted by ブクログ
「これが私の最後の事件となるでしょう。そして、これまでで最も興味深い事件となるでしょう。なにしろこれまでで最も興味深い人物が犯人なのですから」
ポアロシリーズ最終話にしてアガサ・クリスティーの遺作。
あのポアロも老齢と病によりすっかり痩せこけて車椅子生活に。
けれど事件の真犯人に立ち向かう情熱が消えることはない。長年の友・ヘイスティングズと共に次々にに起こる難事件の謎を解き明かす。
これまでのシリーズと違い、全体的に物哀しさが漂う。いつもとは違うポアロの様子に終始ざわざわさせられた。
仲間であるはずのヘイスティングズを翻弄したりたきつけたり、と手の内をなかなか明かさないポアロの言動により、ますます物語全体が不穏な空気に包まれていく。
そしてこのラスト。ポアロの人生最後の事件は淋しい余韻がずっと残るものだった。もっと別の方法はなかったのだろうか、とポアロの最後の決断には悔やんでも悔やみきれない。
「殺人者になる素質は誰にでもある」
ポアロの遺言のようなこの言葉を胸に刻む。
山田正紀さんの解説にもグッときた。