あらすじ
ノスタルジーと、可笑しみと。
池袋、飯能、日本橋、所沢、諏訪、田園調布、高知、恐山、湯河原……。
自分の中の記憶を、街単位で遡る。そこから掘り起こされる、懐かしいだけでは片付かない、景色と感情。
気鋭のエッセイスト、最新書き下ろし。
『好きな食べ物がみつからない』が話題の、最注目のエッセイスト・古賀及子最新書き下ろしエッセイ。
幼い頃からの「土地と思い出」を辿ってみたら、土地土地、時代時代で、切ない! でもなんだか可笑しいエピソードが横溢!
【目次より】
下丸子、二分間、知らない人を大声でほめてけなす
日本橋、来年も買ってやるからな
元加治、真昼の暴走族
所沢店、売れ!私たちの福袋
田無、夏、恋人の家でひとりでエヴァンゲリオンを観た
諏訪、祖父と間欠泉
田園調布、知らない人の家でまずい水を飲む
恐山、会えないイタコと工藤パン
小岩、知らない街が、どんどん私の街になる
盛岡、北上川を走って越えて、母と私とソフトクリーム
曙橋、看護師の格好で登った木をさがす
大森、もう会うこともないだろうけどさ
他
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
住んでいた町、働いていた町、旅行で訪れた先など様々な場所にまつわるエッセイ。落ち着いた文章でたんたんと思い出が語られるが、若いころの話はけっこう破天荒というか奇人という感じなのでびっくりさせられる。身だしなみや衛生観念、生活習慣なんかから短大生の孫を優しくしつけなおした祖父の努力は気が遠くなるようなものだったろう…と思わずにはいられない。
この人の日記を先に読んでそちらが良かったのでエッセイも読んでみたのだが、日記の方が勢いがあって好きかな。この本では「所沢店、売れ!私たちの福袋」が好き。それぞれ違う雑誌のスタイルを体現する女子たちが集まっているがちゃがちゃのお店が、ショッパー特需で福袋の売り上げテナント一位をたたき出して心を一つにする瞬間、面白い。漫画みたいだ。その後あっさりと著者がバイトからフェードアウトしていくのも良い。現実だ。このたんたんとした感じが読んでいると癖になってくる。他の本も読んでみようか。