【感想・ネタバレ】成瀬は天下を取りにいく(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」幼馴染の島崎みゆきにそう宣言したのは、中学二年生の成瀬あかり。閉店を間近に控える西武大津店に毎日通い、ローカル番組の中継に映るといいだした。さらに、お笑いコンビ・ゼゼカラでM-1に挑み、高校の入学式には坊主頭で現れ、目標は二百歳まで生きること。最高の主人公の登場に、目が離せない! 本屋大賞を受賞した圧巻の青春小説!(解説・森見登美彦)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

【学びたいこと】
書店で平積みされているのを何度も見かけ、以前から気になっていた作品だった。自分の意見を貫く主人公や、滋賀を舞台にした物語、お笑いの要素にも惹かれた。
普段は小説を読む機会が少ないため、本書を通じて小説の面白さや魅力を味わいたい。

【本の概要】
本書は、破天荒な女子学生・成瀬あかりが、さまざまなことに全力で挑戦する姿を描いた青春小説。誰もが共感できる心情や、先の読めないワクワクする展開が魅力である。
著者は、本作でデビューした滋賀県在住の宮島未奈氏。
本書は数多くの文学賞を受賞し、大きな話題となった。

【感想】
魅力的な主人公に加え、「共感できる面白さ」と「構成・展開の面白さ」が絶妙に絡み合った作品だった。
(1)主人公の魅力
・「これをやりたい」という強い思いを宣言し、実現に向けて全力で行動する姿がかっこいい。他人に流されず、自分の信念を貫くオンリーワンの存在。
・途中で登場する男子生徒の「危なっかしいのにカッコよくて、目が離せない」という言葉が、成瀬という人物を見事に表していると感じた。

(2)共感の面白さ
・閉店する西武に「なくなるものへの感謝」を行動で示す成瀬の姿に共感した。
・M-1のネタ合わせや人前で芸をするときの緊張感や達成感は、自分のことのようにドキドキしながら読めた。
・幼なじみ達との再会をきっかけに、喧嘩別れした旧友と会いたいと思う気持ちや、仕事で培ったスキルを活かして同窓会を企画する姿に、自分の人生にもありそうなノスタルジーを感じた。
・学校での人間関係やヒエラルキー、初デートの緊張など、多くの人が経験したことのある出来事が描かれており、自然と物語に入り込めた。

(3)構成・展開(驚き)の面白さ
・第1、2章は成瀬の親友、第3章以降は別の人物へと語り手が変わり、それぞれの視点から成瀬が描かれる構成が新鮮だった。「この先どうつながるのだろう」と引き込まれた。
・前の章で登場した人物が再び現れたり、同じ出来事を別の視点から描いたりすることで、物語に奥行きが生まれていた。さらに時間も数年単位で進み、人物の成長を立体的に感じられた。
・最後に成瀬自身の視点が描かれることで、それまで破天荒に見えていた彼女の人間らしさや葛藤も伝わり、さらに好きになった。

【実践すること】
・続編も読んで、純粋にワクワクしたい。
・名作と呼ばれる小説も読んでみたい。

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2026年07月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う。」
ライオンズかと思ったら違った。
インパクト大の書き出しに引きつけられ、1章を読み終わるころには、成瀬おもしろ〜〜!とのめり込んでしまいました。

ありがとう西武大津店 視点:島崎みゆき
膳所から来ました 視点:島崎みゆき
階段は走らない 視点:稲枝敬
線がつながる 視点:大貫かえで
レッツゴーミシガン 視点:西浦航一郎
ときめき江州音頭 視点:成瀬あかり

5章までは様々な人から見る成瀬のお話。島崎の言うところの「成瀬あかり史」を一緒に垣間見ることができてワクワクする。

成瀬は次々と新しいことに挑戦する。その姿が周りの人にちょっとだけ変化を生む。180°価値観が変わる!じゃなくて、30°だけ進む方向が変わる、くらいの温度感なのか良い。
きっと成瀬はそんなつもりなくて、自分に正直に真っ直ぐに生きているだけにも思えるけど。

6章で視点が成瀬になるのがまた良い。
それまでの成瀬は泰然自若、ゴーイングマイウェイだけれど、本章で島崎の去就を案じてバランスを崩すところで一気に人間味が出てなお愛おしく感じられる。

読み終わった後に明るく暖かい気持ちになれて、読んてよかった!
大学生の成瀬にも会いたい。

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2026年08月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

めちゃくちゃ面白かったー!
すごく気持ちの良い女の子、成瀬を中心にした全6編。冒頭2章は成瀬の幼なじみ、島崎視点で成瀬の魅力が語られる。続く「階段は走らない」では1章目の舞台となった「西武大津店」で青春を過ごし40代になった吉嶺と稲枝の、西武との思い出やこれからが書かれている。「線がつながる」「レッツゴーミシガン」では高校に進学した成瀬が、大貫と西浦という登場人物視点で書かれる。6章目の「ときめき江州音頭」では、島崎をはじめこれまでの主要人物への、成瀬視点での想いが語られていた。
ラストには物語の舞台である大津を成瀬と島崎が案内する「大津ときめき紀行 ぜぜさんぽ」と、森見登美彦さんの解説が続く。

森見さんの解説が素晴らしかった。
この本を通して成瀬の人生を少しだけ覗いたわたしが感じたのは、「なんて痛快なんだ!」という気持ちよさと、悲しくないのにじわっと涙が出そうになるような心のあたたかさ。成瀬はいつもクスッと笑ってしまうような突拍子もないことをしているのに、このあたたかさはなんだろう、この本を読んだ誰もが成瀬のことが大好きになるのはなぜだろうと思っていたが、その答えは森見さんの解説にあったように感じた。

成瀬はまわりの人々への、彼女なりの興味や思いやりを失わない。

西武大津店の島崎のもとに駆けつける成瀬。熱で休んだ大貫に保健だよりを届けに行く成瀬。西浦と中橋にミシガンを案内する成瀬。大貫の「プラージュで切ったら?」に素直に従う成瀬。小学生の「膳所から世界へ!」に応じる成瀬。
自分の好きなことを好きなようになりふり構わずやっているだけではないのだ。彼女の行動からは他者へのリスペクトと思いやりが常に感じられた。

わたしは成瀬のように思い切ったチャレンジはもうできないと思うけど、彼女の他者と向き合う姿勢は意識して真似してみたいと思う。

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2026年08月02日

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