あらすじ
「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」幼馴染の島崎みゆきにそう宣言したのは、中学二年生の成瀬あかり。閉店を間近に控える西武大津店に毎日通い、ローカル番組の中継に映るといいだした。さらに、お笑いコンビ・ゼゼカラでM-1に挑み、高校の入学式には坊主頭で現れ、目標は二百歳まで生きること。最高の主人公の登場に、目が離せない! 本屋大賞を受賞した圧巻の青春小説!(解説・森見登美彦)
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
まず、成瀬あかりという主人公がとにかく強烈。
「空気を読まない」「ブレない」「他人の評価を気にしない」――なのに嫌味がない。普通なら浮いてしまうキャラなのに、彼女の場合は自分のルールで世界を切り拓いていく潔さがあって、読んでいて妙に気持ちいいんですよね。
印象的だったのは、「天下を取る」という大きすぎる目標が、実は権力欲や野心ではなく、自分が納得して生きるための宣言みたいに描かれているところ。テレビ出演やミルクボーイ愛、膳所という土地へのまなざしも含めて、全部が成瀬の人生の一部として自然につながっているのがうまいなと思いました。
それから、語り手の島崎の存在も大きい。
成瀬を「変わった友だち」として見守りつつ、読者の目線に一番近い立場で揺れてくれるからこそ、成瀬の異質さが際立つし、同時に自分もどこかで成瀬に憧れていることに気づかされます。
全体として、派手な事件が起こるわけではないのに、
読み終わったあとに
「自分は自分の人生をちゃんと引き受けているだろうか」
って、静かに問い返してくる作品でした。
元気をもらえるけど、押しつけがましくない。
笑えるけど、ちゃんと刺さる。
そんな一冊だったと思います。