【感想・ネタバレ】百億の昼と千億の夜のレビュー

あらすじ

西方の辺境の村にて「アトランティス王国滅亡の原因はこの世の外にある」と知らされた哲学者プラトンは、いまだ一度も感じたことのなかった不思議な緊張と不安を覚えた……プラトン、悉達多、ナザレのイエス、そして阿修羅王は、世界が創世から滅亡へと向かう、万物の流転と悠久の時の流れの中でいかなる役割を果たしたのか?――壮大な時空間を舞台に、この宇宙を統べる「神」を追い求めた日本SFの金字塔。

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日本SFの金字塔という評判と萩尾望都さんの表紙に惹かれ、休む間もなく一気に読み終えてしまった本。凄まじいまでのスケールの大きさ!これは面白い!…しかし、どこまで理解できたか一抹の不安も。
物語は「阿修羅王、ブッダ、プラトンが、世界が滅ぶ原因を探し、戦いを挑もうとする」というもの。映画『マトリックス』のような町や『エヴァンゲリオン』などで聞いたような単語が散りばめられ、これが元ネタだったの?と邪推してしまうほど複雑な世界観は本当に独特。科学的内容が描かれたかと思えば、仏教を中心とした東洋哲学、新約・旧約聖書といった宗教観が幾重にも織り込まれ、読むたびに様々な側面が見えてくる。何度も読み返し最後の一文を読み終えた後は、無限の宇宙を前に立ち尽くしている気分に…。
軽い読み物に飽きた時、哲学的な気分に浸りたい時など、じっくり腰を据えて読みたい一冊。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

30年以上前に一度読みました。歴史的な名作品だと思います。萩尾望都の同名の漫画の方も見事にはまっています。多分光瀬さんも認めていると思います。小説がとっつきにくい方は漫画から入るといいと思います。宇宙の外側に別の世界があるなんて案外本当かもなんて思ってしまいました。

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2023年08月27日

mac

ネタバレ 購入済み

上位存在と世界

一部ご紹介します。
・「あれが何者の像なのか、おそらくこの世界の統一者である梵天王でさえ知るまい。
あの像に移された巨大な神人は、かつてこの世界を訪れ、この世界が己の領域にあることを宣言して去った異世界の住人。
この世界を外から支配するもの。五十六億七千万年後に再びこの世界に現れて、すべてこの世界に住むものの命運を決しようとするもの。
それがあの弥勒とよばれるものだ」
「救いか!末法の世を救うためにか!」
事実は人々の待望し、信じているものとは全く反するものだった。
・「生理的なパターンだけが記号化されて保存され、それが人工肉体に封入されてあらわれたからといって、
それが人間だ、いや生物だといえるか!」
「おまえ自身がそうでないと言えるか?お前の故郷の星も、お前の生活も、また、今、お前の目の前に繰り広げられている様々な出来事も、
全て幻想の所産でないと、お前は言い切れるのか?もし、全てのものが集団幻覚による虚構の世界にあるとしたら?
現象は決して実態の投影ではない。観測の技術も方法も、それを確認する手段はあるまい」
「そんなことを言っていたら不可知論になってしまう」
「不可知というからには、前提としている認識はどこにある?」
「彼らはカードの中にある自分をどのようにとらえているのか」
「お前は眠っている時、自分の存在をどのようにとらえているのか」
眠っている時、か。死も、また。
・「『色』はすなわち存在。『空』はすなわちディラックの海。『空即是色』すなわちマイナス・エネルギーの海がすべての存在の母胎。
『彼岸』とは、まことに及び難い超越者そのもの、あるいは超越者の世界のこと。」
「かれらは、私の予告をことごとく消してしまった。
もともと、不幸や悲劇の迫ってくることなど信じたくもないし、覚えていたくもないのが人類だ。
消極的な対策などなんの延命策にもならなかった。」
・「世界の果て、それは宇宙の膨張速度が光速に達したところが限界であり、宇宙全体の質量のために空間は閉ざされて一個の内部を構成する。」
「閉ざされた内側ということは無限の広がりの一部を構成しているに過ぎない。
時もまた同じ。閉ざされた内側の世界を構成する時間は、すなわち無限の外の広がりを構成する時間の一部に過ぎない」

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2022年09月30日

Posted by ブクログ

寄せてはかえし
寄せてはかえし
出だしでマイった。好みだと思いながら読み進めれば、
ますます好ましく、面白く、一言一言がしみ込んでくる。
日本のSFで、久しぶりに感動した。
人間界など地球や宇宙からすれば、目にも見えない塵のようなもの。
奇跡としての人間の誕生は、彼岸と此岸の断崖に存在する。

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2017年05月21日

Posted by ブクログ

日本SFの金字塔だと勝手に思っている。
一見難しそうな本だけど、読むとぐいぐいと物語に引き込まれる。
この本を、哲学的に読むか、SF的に読むか、神話的に読むか、どう読むかは読者次第だ。もちろんどんな本にも言えるが、とりわけこの本は阿修羅王の顔のように多面的な表情を持っているのではないだろうか。
哲学も科学も始まりは神の存在が根源にあるのだから、やはり主人公のひとりに“あしゅらおう”がいることにも意味があるのかもしれない。
と、まあ、一見難しそうな本だけど、難しく読む必要はなくて、単純に物語として面白いのだ。

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2013年04月20日

Posted by ブクログ

面白かったー!いろんな他の作品と繋がる。10冊くらいのシリーズになってもおかしくない世界観。漫画化されたのも読んでみたいな。

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2011年07月21日

Posted by ブクログ

まず、着想が凄い。東西の偉人達(プラトン、シッダールタ、イエス、阿修羅、etc)が真実を求め時空を超えた戦いに挑む話。日本人にしか描けないのでは。
少年漫画のような冒険譚と思いきや、平家物語のような導入、SFの世界観、哲学的なテーマ、、、と様々な要素が渾然一体となった小説。
色彩描写も素晴らしく、時空の歪み等実際に見たことのない景色も不思議と思い描けた。
難解な部分もあるので、いずれ読み返したい

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2024年04月09日

Posted by ブクログ

随分前に読みましたが,記録していなかったようなので改めて記載。
日本のSFというと真っ先に名前が挙がるであろう一作。
光瀬龍作の、東洋的匂いが独特な素敵なSF作品。
タイトルが秀逸なのはもちろん、話も面白いです。
登場人物は皆、印象的。特にあしゅらおうが印象に残りました。
他に印象に残っているとすれ

寄せてはかえし
寄せてはかえし

のフレーズです。

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2019年03月01日

Posted by ブクログ

圧倒的なスケール!壮大なのに細かいところまで作り込まれていて、作品の世界に呑み込まれてしまった。
押井守が解説を書いている、というので読んだけれどその解説(というか思い出話)も読後の余韻を膨らませてくれるいい話。
世界が滅びに向かっていく大きな物語に巻き込まれながら、それでもひとつの生命として問い、戦い続ける登場人物たちが、身体的には(ほとんど神様だったりサイボーグだったり)ずいぶん隔たりがあるのに、不思議と親密さを感じる。

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2017年05月17日

Posted by ブクログ

正直難しい内容だが、名作と言われる内容の濃さが分かる。
地球が誕生してから破滅へ向かうまでを描いている。「神」という存在が鍵になっているので、仏教やキリストといった宗教も関わってくる。しかし内容はSFのように描かれているので、「宗教」という堅苦しいものは感じない。
萩尾望都が漫画を描いているため、小説と同時進行で読んで、どうにか内容を理解。漫画にオリジナルキャラとしてユダが登場。
阿修羅王といった破滅を防ごうとする者たちと、キリストといった破滅の先のユートピアを信じる者たちとの戦い。
個人的に好きな人物は阿修羅王とシッタータ!

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2014年08月17日

Posted by ブクログ

突然滅亡したアトランティスの謎を探るため古文書探しの旅へ出たプラトン。道中に立ち寄った街の宗主に、「自身の目で見つけるだろう」という意味ありげな言葉を受け、気を失う。そして目覚めるとアトランティスの司政官となっていた。時空を超えた超大作。
中心人物は阿修羅王・シッタータ(釈迦)・オリオナエ(プラトン)の3名。哲学、東洋仏教、神道を中心に、壮大な世界観を描いた宇宙叙事詩。
~memo~
後に萩尾望都氏が一部設定変更を加えて漫画化。

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2014年07月19日

Posted by ブクログ

とにかくスケールが大きい
すごいものを読んだという読後感がある

CLAMPの聖伝はこれに影響を受けたのかも

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2014年06月17日

Posted by ブクログ

自分は何パーセント理解できたのだろう?
読み終わった後呆然としていました。
あまりの描かれる世界の大きさに。

シッタータが出家するシーンが、好きです。

色んな都市の廃墟の描写も素晴らしい。
難しい部分もあるけど、退屈はしなかったです。

イエスをあんな風に描いて、苦情来なかったかな?

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2014年06月03日

Posted by ブクログ

この世界に地球がある意味。この地球に人がいる意味。この世界を含む外の世界があるのかどうか。
顕微鏡の世界をずーーっと拡大していくと宇宙に見えてくるというのを聞いた気がする。私たちは、外の世界から見た顕微鏡の世界の宇宙にいるのかもしれない。

本棚から萩尾望都のコミックス「百億の昼と千億の夜」を出してきて、もう一度読み返してしまった。

それぞれに違う味がして面白かった。

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2013年08月23日

Posted by ブクログ

「百億の昼と千億の夜」は僕らの世代のSF原体験だ。「時をかける少女」や「謎の転校生」といった「少年SFシリーズ」で、ジュブナイルSFの面白さに目覚めた僕らは、成長すると共にもっと新しいSF、もっと面白いSFをがむしゃらに求め始めた。そんな時に出会ったのが本書だったのだ。作者の光瀬龍は「夕ばえ作戦」の著者としてお馴染みの作家だった。そして勇んでページをめくった僕の目に飛び込んできたのは、「寄せてはかえし、寄せてはかえし、かえしては寄せる波また波の上を・・・」という呪文のようなリフレインだったのだ。僕は焦った。これは「夕ばえ作戦」とは違う、何だか判らない、何だか難しい・・・
でも僕はその「判らなさ」そのものを愛したのだった。分からなくても何かとても貴重な体験をしているという確かな実感があったのだ。
大人になった今なら、この物語にもっともらしい理屈を着けることもできるかもしれない。だけどあの時の感覚を僕は信じている。あの時、あの独特のリフレインから感じとったことは間違い無く僕の血となり、肉となっているのだと。

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2013年02月02日

Posted by ブクログ

時間かかったしもう何回か読まないと分からない。けど懲りずに読み直す気がする。光瀬龍といえば『ロン先生の虫眼鏡』の人だったのに、このギャップの大きさよ!

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2013年01月15日

Posted by ブクログ

プラトン、悉達多、ナザレのイエスなど歴史上の偉人と宗教の開祖たちの姿を通して、神とは何か、宇宙の終わりとはをSFの枠組みのもと、壮大なスケールで描いた大作。

なんとなく既視感を覚える場面もあるけれど、これこそが自分が触れて来たマンガ、アニメ、ゲームなどに影響を与えたのかな。ここで描かれたヴィジョンは非常に影響力が大きいと思う。

光瀬龍という作家の小説を本作で初めて読んだけれど、不思議な書き方をする作家だ、と読みながら考えていた。
夢か幻のような抒情性のある文体や場面。そこに本格的なSF設定が土台にすえられていて、奇妙な反応を起こしているよう。仏典で描かれた世界をSF的な設定とともに梵天王が語る場面などはとても面白い。

ただ気になったのは超越者の描き方が、人格をもち、ヒトにとって対話可能、理解可能な存在としていることか。最近のSFとはこのあたりが違う気がする。

最後のあしゅらおうの姿は忘れられない絵になるだろう。

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2012年09月28日

Posted by ブクログ

壮大な神話的古典SFの傑作。萩尾望都がマンガ化しておりこちらも名作だが、キャラクターのイメージが少し異なっており、結果全体に流れる雰囲気もまた異なるものになっている。

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2012年07月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

宗教から物理、SFをごちゃ混ぜにした壮大なスケールと無常感が漂う物語。登場人物はプラトン、悉達多、阿修羅王、イエス、ユダ、アトランティス王と時代や土地、宗教を超えて様々。そして地球の創世から銀河の果てで繰り広げられる物語中に現れては消える"超越者"の存在と謎。「世界とは」「神とは」を問う思考実験のような最後。

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2012年06月30日

Posted by ブクログ

以前に読んだ時は難しくて理解できなかった(中学か高校当時)。
自分の何が変わったから、わかるようになったというのだろう。

阿修羅、釈迦(シッタータ)、ユダ、アトランティスの司政官オリオナエらが、惑星開発委員会が引き起こしたこの世の崩壊を、帝釈天やイエスを相手取りながらくいとめようとする物語。

作を相当好きでないとマンガ化できなかっただろうな。
哲学まで含んでて、読むだけじゃなく理解するのに相当の体力を要するよ。

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2011年11月02日

Posted by ブクログ

世界の秘密と人を超えた高次元の存在を紐解く物語。
謎が多すぎて序盤では一体何の話なのかわからない。でもそれが好奇心を刺激して非常にわくわく。
一方、後半は情景描写が多すぎてもどかしい。しかもその描写が壮絶すぎて想像しがたかったのが残念でならない。個人的には物語性や心理描写の説明をもっと加えてほしかったと思う。
想像できなかった描写を補うべく、漫画バージョンを読んでからもう一度読み返してみたい。

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2019年01月16日

Posted by ブクログ

SFオールタイムベストの一つということで挑戦。萩尾望都版を以前読んではいたが、イメージが違う。いや本当は漫画版のようにもっとポップでコミカルに読めばよかったのだろうけど、そう読むには文体が美しすぎる。まだ誰も見たことのない荒涼とした果てを描写しているはずなのに、甘美な光の粒が感じられた。

阿修羅、プラトン、悉達多、イエス、弥勒…東西のそのものたちの戦いや、時空を超えていく冒険は楽しいが、チョウブンノカタカナセリフハヨミヅライヨ〜!

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2025年10月08日

Posted by ブクログ

生命誕生から星の終焉まで壮大なスケールで描かれる。仏教×SFといった感じか。解説で押井守氏も書いていたが、最後は寂寥たる喪失感だけが残った感じ。
あと、カタカナだらけの文章は表現上仕方ないにしても読みにくいなと思った。

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2018年08月04日

Posted by ブクログ

手塚治虫を彷彿とさせる大風呂敷な世界観は1973年という時代にも影響されているのだろうか。プラトンやキリストがなんぼのものだといった扱い方にアジアの自信を感じる。
物語は壮大な宇宙の創造主としての何らかの別世界的な知性の存在についてのもの。幼年期の終わりにも似た、しかしそこまで「意味」がはっきりしているワケではない知性。
はっきり言って文章が読みづらいことこの上なかった。ストーリーとそのつながりもわかりづらい。構想は面白いだけにもったいない。

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2015年06月20日

Posted by ブクログ

日本のSFの名作と呼ばれているので気になって読んだ。だがそこまで自分には刺さらなかった。漫画から入ると違うのだろうか?もしくは、もっと昔に読んでいたら違うのだろうか?確かに昔のハードな少女漫画っぽさがある。そして世界観も想像を超えたものだし、設定も面白い。ただ、こういうSFが結構出てきているからか、昔っぽさを感じてしまう。

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2015年01月18日

Posted by ブクログ

マトリックスレボリューションを見た後と似たような気持ちになった。
観念とSFの融合。
物語は、もやもやっとしてます。

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2013年10月25日

Posted by ブクログ

宗教、宇宙物理の知識が怒濤のごとく襲ってきて、スケールが大きすぎて正直飲み込めなかった。
日本語ならではの趣も感じられ、広大さと喪失を両方感じた不思議な作品だった。

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2012年11月06日

Posted by ブクログ

20年前に一度読んだ本です。そのときは全然意味が分からなかったのですが、ずっと気になっていて今回再度読んでみました。
今回読んでみて思ったことは、

「やっぱりわからない」

ということでした・・・。
もともとSFは苦手なのですが、世界観がとても難解でした。
しかし古典SFが好きな方であれば、楽しく読めるのでないでしょうか。
また、仏陀の生涯や悪魔との対話などの逸話、キリストの受難と復活の
詳細を知っていればより楽しめると思います。(私はあまり知りませんでした。)
機会があれば、また挑戦したいと思います。

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2012年06月22日

Posted by ブクログ

お祭り的なSF 地球の誕生 生命の誕生 豪華な出演メンバー(プラトン イエス シッタルダ あしゅらおう) 人間の歴史=管理者の存在? 宇宙 未来 破滅の予感 強大な敵 弥勒という存在 スケールの大きな物語 海 寄せては返し、返しては寄せ 規模が大きすぎて目眩がしそう 面白かった 

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2012年09月17日

Posted by ブクログ

寄せてはかえし
寄せてはかえし
かえしては寄せる波また波の上を、いそぐことを知らない時の流れだけが、
夜をむかえ、昼をむかえ、また夜をむかえ。

日本SFの金字塔「百億の昼と千億の夜」

まずもって、表題が良いよね。
広大で繊細、ドラマチックな物語を期待してしまう。
一番感嘆したのは、序章でした。
特に上述の「寄せてはかえし~」のくだり。
これは名文ではないでしょうか。

で、内容はどうだったかというと─
決して繊細でもドラマチックでもない。そして後半は背景の描写が多くて(なおかつ解りづらくて…)、読み辛い。

しかし、広大!

筆者曰く東洋的絶対者を描く、とのことだが、それは西洋でいう絶対「神」の様な存在ではなく、諸行無常のような「観念」にあたるものなのかな。
的を外れているかもしれないが…
でも、そうだと良いなぁ。「寄せてはかえし~」なんて、まさしく諸行無常のあらわれに思えるしなぁ。

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2012年01月03日

Posted by ブクログ

 壮大なスケールのSFを読んでみたかったので読んでみた。
 「第4章エルサレムにて」までは楽しく読めたんですが、それ以降は失速。描写からイメージできるものがありませんでした。

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2011年09月24日

Posted by ブクログ

ストーリーとしてはよい。しかし全体として暗く、楽しむという感じではなかった。
SFとしての発想が育めたのが最大の利益。そういう点でいえばもっと評価は高くなってよい。
星三つは飽くまで読み手としての評価。

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2010年11月12日

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