【感想・ネタバレ】乱歩と千畝―RAMPOとSEMPO―のレビュー

あらすじ

大学の先輩後輩、江戸川乱歩と杉原千畝。まだ何者でもない青年だったが、夢だけはあった。希望と不安を抱え、浅草の猥雑な路地を歩き語り合い、それぞれの道へ別れていく……。若き横溝正史や巨頭松岡洋右と出会い、新しい歴史を作り、互いの人生が交差しつつ感動の最終章へ。「真の友人はあなただけでしたよ」――泣ける傑作。

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ネタバレ

杉原千畝と平井太郎、江戸川乱歩。空想だけど二人が出会ったら。早稲田。かけそば。カツ丼。ランポとセンポ。地元同じ。友人。史実とフィクションが入り混じる。書けない乱歩。外交官として優しすぎる千畝。過去に邂逅。二人とも誰かのために。

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2025年12月06日

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ネタバレ

江戸川乱歩(平井太郎)と杉原千畝の前途多難な人生と、その友情を描く物語。
歴史に弱く、何がフィクションで、どれが史実通りなのかを判断できなかったので(知ってるのは千畝がビザを発行したことと、乱歩が作家ってことだけ)、すべてフィクションだと思いながら読みました。

三朝庵という蕎麦屋ではじめて太郎と千畝は出会うが、じつはその9年前に出会っていたという運命的な話や、太郎のどうしようもない生活など、最初のほうは平和でほのぼのとした展開が多く、後半は一変、戦争の鬱々とした話が続く。とくに千畝のターンはやきもきする展開も多く、おそらく史実どおりなのはこちらのほうでしょう。戦争やら、国の情勢やら難しい話も多かったですが、知識のないわたしでも分かるように書かれていて、最後まで楽しめました。

すごく読みやすく、面白い作品だったのですが、じつは読み終わるのに1週間かかりました。というのも、1章に詰め込まれるエピソードが濃厚すぎて、メモを取るのにとんでもない時間がかかったからです。2人の長い人生を1冊にするんだから、そりゃそうだよねとは思うものの、マジで濃い1冊だったんだなと読後の余韻を楽しんでいます。


それともうひとつ、この本はとても素晴らしいBL本です。作中になんともエモい描写が多く、妄想が爆発!
太郎と千畝は思い通りにいかない人生など、いろんなものと戦っていましたが、わたしもクソデカ感情と戦っていました。お仲間にはぜひおすすめしたい本ですね!
あ、腐ってない人は読み流してください。

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2025年11月28日

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ネタバレ

二人の男の壮大なストーリー。
⭐︎4か5で迷ったが、後半にいくにつれて二人の絆が深まっていくのを感じ、感動したので⭐︎5

探偵小説家江戸川乱歩も命のビザを書いた杉原千畝も、もちろん名前もその功績も知っていたが、いざ二人がどんな人生を歩んだかというと、考えたこともなかった。
早稲田の先輩後輩という関係の二人が、もし蕎麦屋で出会っていたら…これぞ小説の醍醐味!という設定に心が躍る。
大筋としては現実に起きたことに忠実でありながら、二人の人生の重要な局面で、時には外国と日本という離れたところにいながらも二人は影響し合っていく。
全く違う職業の二人だが生き方には通ずるものもあって、その生き様はかっこいいなと思えた。
また、脇を固める幸子と隆子も凛としてかっこいいし、二人の周辺の人物(外務省の関係者、編集者や小説家など…)も味のあるキャラクターが多く、読んでいて楽しい。

戦前、そして戦争に向かう雰囲気、そして戦後と、知らない時代のことなのだが、リアルな空気感も伝わってきて臨場感があった。

実はこの作家は初めて読んだ。
以前「むかしむかし〜」を読みかけて挫折したことがあり苦手意識があったのだが、直木賞候補をきっかけに手に取った一冊。
読んで良かった!

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2025年11月18日

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若き日の、杉原千畝と江戸川乱歩が、こんな出会いをするとは、発想が斬新すぎる!
え?たまたま風が吹いて、乱歩の顔にかかった新聞から、とんとん話が進んできて、もう目が離せない!

杉原千畝は、歴史上、大勢のユダヤ人を救った素晴らしい外交官としか知識がなかった。
フィクションとはいえ、一人の人間として、生き生きと描かれていて、すごく魅力的に描かれている。

江戸川乱歩は、映像化されたものしか記憶にないが、
松田優作の「陰獣」や美輪明宏の「黒蜥蜴」が印象深い。

いつものごとく、岡本一平や松本清張、横溝正史などなど、有名著名な登場人物たちに、読んでいてほんと楽しかった。

そして、クラウディア、隆子、幸子の素晴らしい女性たちがストーリーに深みと華を添えていた。

戦前、戦中、戦後の日本をとても細かく丁寧に書かれていて、大変な時代を生きた方々だったんだと、ユーモアの中にもジンと来る本だった。

青少年が歴史を知る上でも、偉人を知るきっかけにもなる本。
大河ドラマになったら、うれしい。

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2025年11月08日

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江戸川乱歩という名前にだけ惹かれて購入。探偵小説が好きなので、登場人物にニヤニヤしながら読み終わった。江戸川乱歩と杉原千畝がもし出会っていたら…という一作であったが、二人の人生を通じて色々なストーリーが見れてとても爽快感のある読後だった。

読み終わった後作者が、昔話シリーズの人としり驚いた。

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2025年11月01日

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江戸川乱歩と杉原千畝は早稲田の先輩と後輩。調べるまでもなくこれは事実だろう。2人はそれぞれの人生の節目節目で影響しあう。その感じが絶妙。乱歩と横溝正史の関係も面白い。大正末期から戦後までの時代を生き抜いた偉人たちの若者らしい葛藤が描かれていて思いがけず、面白かった。また江戸川乱歩(平井太郎)のふざけた感じや、横溝正史をコテコテの大阪のおっさんに描いたのも斬新。

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2025年11月01日

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良すぎた
ほぼほぼフィクションなのわかってるけど、そこでこう来るか、の史実や登場人物の織り込みでストーリー巧みすぎる

自分は中高時代にミステリにハマり、江戸川乱歩の作品、初期の乱歩賞受賞作品読み漁り、大学時代に杉原千畝知り『六千人の命のビザ』を読み感銘受けていたので、なおさら琴線揺さぶられすぎてハマった

江戸川乱歩や戦後昭和のミステリ状況、杉原千畝を知って読むと良い

著者、書いてて「ここでこうしたらどうだろう」と色々発想して楽しかっただろうなー

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2025年11月01日

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どこまでがホントでどこからがフィクションかわからないけど、知ってる作家がたくさん出てきてキャラクターもみんないきいき描かれていて作家同士の関係性も楽しく、本当にこんなだったらいいなって思いながら面白く読みました。タイトルの2人の切っても切れない深い繋がりもよかった。

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2025年11月01日

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『似てるんだよ。進む道は違えど、似てるんだ。だから私たちは生涯に、数えるほどしか会わなかったとしても、心が離れることはなかった』推理怪奇小説界の巨匠、江戸川乱歩にこう言わせた相手は、何千人ものユダヤ人の命を救った外交官、杉原千畝。

二人の大物たちを作者は繋いでいきます。

こんなこといったい誰が考えるでしょう。作者の青柳碧人さんは「みなが知る人のイメージをずらしたり、語られていない部分に想像を膨らませたりする話を作るのが好きなんです」とおっしゃる。
フィクションなのに、読者もなんの違和感もなく読み進めてしまうのは、“あり得る話”だからでしょう。
実際二人は同じ大学、 同じ中学の出身であり、中学の同窓会の集合写真に二人は写っているのですから。これは事実ですし、年齢は6歳違いますがどこかで出会っていてもおかしくないです。

物語は大正8年、早稲田大近くの蕎麦屋“三朝庵”で二人が相席するところから始まります。乱歩は職の定まらない作家志望の卒業生、千畝は外国語で身を立てたいと思っている学生。まだ何者でもなかった二人は、それぞれに夢を抱えながら、時代のうねりに翻弄されていきます。お互いを思い合いながら。

このお話を読むと、二人とも好きになります。人間的で親近感が湧きます。それぞれが抱えていた葛藤や苦悩も、読者としてはより深く二人を知る手助けになります。フィクションであっても作者は史実をなぞり、整合性を持たせた。それがページを進ませる吸引力となっています。

最後のページを読んで、本を閉じたら、本の裏表紙の挿絵を見てください。それが涙を誘います。

第173回 直木賞候補作

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2025年10月21日

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これは凄い。史実かどうかは置いといて、乱歩と千畝の友情。波乱万丈、壮絶、勇気、優しさなどなど盛りだくさん。登場人物も、推理・探偵小説の大家がどんどん出てくる。
そして、何よりこれは泣ける。 今年最高かな?
あのマスクをあの人がもらったのはウケる!

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2025年10月08日

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──それは、肩を並べて歩く、二つの男の影に見えた。
 
 
 
第173回直木三十五賞候補作。先日、今回の直木賞と芥川賞はともに受賞作無しとして、メディアで話題になっていましたね。

物語は創作系歴史小説とでも言いましょうか。旧制中学と大学の同窓生という繋がりをもつ『平井太郎こと江戸川乱歩』と『杉原千畝』
もしもこの二人が歴史上で深い交わりがあったとしたら…。

『日本の推理小説家の大家』と言われ、怪人二十面相といった後世に残る代表作を残した、作家江戸川乱歩。
『日本のシンドラー』と呼ばれ、外交官として赴任していたリトアニアの地で、迫害され続けていたユダヤ人を国外脱出させる為、何千人ものユダヤ人に『命のビザ』を発給し救った杉原千畝。
杉原千畝はアンビリバボーでも取り上げられてましたね。

近代日本史で学ぶ程度のことしか予備知識のない僕でしたが、かなり没入することができました。

『あぁ、こんな史実があったならロマンティックだなぁ』と。

巻末の締めくくりでは、込み上げるものがありましたね。
また素晴らしい作品と出会うことができたことが幸せ。





大学の先輩後輩、江戸川乱歩と杉原千畝。まだ何者でもない青年だったが、夢だけはあった。希望と不安を抱え、浅草の猥雑な路地を歩き語り合い、それぞれの道へ別れていく……。
若き横溝正史や巨頭松岡洋右と出会い、新しい歴史を作り、互いの人生が交差しつつ感動の最終章へ。

「真の友人はあなただけでしたよ」
探偵作家と外交官。若き二人が友となり……斬新な発想で描く波瀾万丈の物語──。

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2025年08月31日

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ネタバレ

二人の交流(実際にはなかった、と言うことだが)を通してその時代を知ることができ、またその時代の過酷さに恐怖を感じた。

二人のそれぞれの妻が、夫である乱歩、千畝に言った言葉が印象深く、また乱歩の思い、千畝の決断に涙なくしては読めなかった…。

このお二人をこんな風に描くとは…。読んでよかったです!

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2025年08月27日

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江戸川乱歩こと平井太郎と「東洋のシンドラー」杉原千畝は同郷で、高校、大学の先輩後輩だった。

この意外な事実のみを手掛かりに作り上げた二人の(架空の)交遊録。

作者の手にかかると、千畝の人生の重大な岐路には太郎が、太郎のものには千畝が関わっていることになっている。

本書は同時に乱歩の千畝の評伝にもなっていて、特に乱歩が日本のミステリー界に残した偉大な足跡は第七話だけでもそれと知れるし、乱歩の破天荒な性格や語学に長けた千畝の生きざまも生き生きと感じ取れる。

作家たるもの、見てきたような嘘をつくものだなあ。

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2025年11月16日

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この本はノンフィクション?と、わからなくなってしまう位、リアリティ溢れる大作。
乱歩と千畝が本当に出身校が同じというのはビックリ。あまりに生きる世界が違う人だから、今までそんな共通点を感じることかなかったので。
2人以外にも作家、歌手など有名人がこっそりと多数登場。それがさらっと出てくるので、「あれ?本当に関わりがあるの?」と感じてしまう。

読み終えて…二人がもしリアルに交わっていたら間違いなくソウルメイトだったのではと思う。
読者にこう思わせられるのは、青柳碧人さんの筆力なんだろうな。
そして、乱歩と千畝にまつわる本が読みたくなってしまった。

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2025年11月15日

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瑞陵高校四天王が2人、江戸川乱歩と杉原千畝がダブル主人公とは贅沢すぎる!(うち1人はヒロアカの堀越耕平先生)各々の史は大体知ってるけれど、重なるところが楽しいね。

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2025年11月14日

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探偵小説家の江戸川乱歩と、多くのユダヤ人の命を救った杉原千畝。その2人が若きときに知り合い、友となったという設定で書かれた、ノンフィクションとフィクションを合わせた本書。

何者でもなかった2人が、抱いた夢を実現すべく、時に迷い、立ち止まりながらも歩み続ける。その姿、また彼らを支える人々に引き込まれた。

彼らのように歴史的に大きなことを成す人はほんの一握り。天賦の才というものはあるのだと思う。けれど、誰もが経験するように、悩み、迷い、立ち止まり、時に自信をなくす。そしてまた、そんな彼らを支え励ます友がいる。それが清々しい。

読後感がよく、楽しめました。


2人を取り囲む人々も魅力的にあるいは興味を引くように描かれています。横溝正史や松本清張、松岡洋右や広田弘毅。後者2人についてはほとんど知らなかったこともあり、あまり良い印象はありませんでした。でも、本書を通して、少しばかり興味がわきました。

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2025年11月02日

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江戸川乱歩と杉原千畝という、予想もしない二人の人生の交錯を描いたフィクション

青柳碧人氏の作品を読むのは初めてだったが、読ませる筆力に感心させられた

有名な杉原千畝の話に江戸川乱歩を絡めることで、双方の物語に深みが出たのだろうか

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2025年10月31日

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ネタバレ

歩む道は違えど信念を同じくした乱歩と千畝。交錯する2人の人生があまりに面白くて夢中で読んだ。2人が残した功績は果てしなくすごい...。if小説とはいえ、こうあって欲しいとさえ思った。

2人ともいつもどこか孤独だったんだと思う。そんな中絶望の淵に立たされても信念を曲げられそうになってもなんとか立ち上がり向かっていく背中にグッときた。「悩んだら優しい方を選ぶ」ってとてもいいフレーズ。

また有名な作家さんが出まくっていてこれはミステリー好きは必読だな...と思ったり。横溝正史との関係値、最高すぎる。私の知識だと聞いたことはあるけど読んだことはない方も多くて、おかげで読みたい本が増えました笑

寂しさは募るが2人の最期も“らしく”てよかったと思う。面白かった!

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2025年10月28日

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愛知五中の同窓会にて、江戸川乱歩と杉原千畝が映っている集合写真を取り上げていた新聞記事を読んだのをきっかけに、手に取って読んだ1冊。
ふたりのことについての知識が教科書レベル程度のものであったので、フィクションとはいえふたりのことを知るいい学びにもなったし、ストーリーもすっきりと仕上がっていてとても読みやすかった。

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2025年10月12日

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歴史小説。実在の人物と出来事がベースにあり、フィクションとわかっていても実際こんなこともあったのでは…と思い描くのが楽しい。外交官と小説家、住む世界は違うがそれぞれにどこか似たような孤独ややるせなさを感じ、言葉にせずともお互いに通ずる感情があったのかもしれない。杉原千畝、江戸川乱歩のことがもっと知りたくなり、ちょっと調べてみたら、東洋のシンドラーが近所の岐阜県美濃出身と知ってさらに感慨深くなった。
命令よりも困った人を助けたい、勇気ある行動と功績を知ることができてよかった。

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2025年10月02日

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まさか、このタイトルの本で泣かされるとは…
どこまでが史実なのか…なんてことは、もうどうでもよくなるくらい。次々と知っている人物も登場し、それぞれが生き生きと動き回っているのも楽しい。時代に翻弄され、それを乗り越え、ほんの数回会うだけの二人。でも、深いところで繋がっている友情。死を間近に回想するシーンに涙が止まりませんでした。

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2025年09月30日

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江戸川乱歩と杉原千畝。言うまでもなくどちらも著名な歴史的人物であるものの、二人の組み合わせが新鮮で読んでみたところ、一気読みしてしまう面白さだった。
まだ何者でもなかった若かりし二人が、早稲田の三朝庵という蕎麦屋で出会う。
どこまでが史実に基づいているのだろうと思いつつ、戦前・戦時下・戦後と時代を駆け抜けるように進んでいくストーリーにすっかり夢中にさせられた。
数えるほどしか顔をあわさなかったにもかかわらず、RAMPOとSEMPOとして(放蕩癖作家とエリート外交官、半ば対照的な生活を送りつつ)それぞれの道で活躍し、国を超えて育まれる友情に胸が熱くなった。世界を股にかける偉大な二人だ。
私も大好きな乱歩の言葉——うつし世は夢、夜の夢こそまこと——になぞらえるような、幻想的で感動的なラストまで見事だった。

また、乱歩の妻である隆子、千畝の先妻であるクラウディア、後妻となった幸子、夫を支える三人の女性たちは皆したたかで寛容で、とても魅力的だった。
本作において、一番の読者である隆子のアドバイスで『D坂の殺人事件』という題が決まるシーンや、「優しいと思う選択肢を取るのよ」というクラウディアの最後の言葉、〈命のビザ〉発給のため夫の背中を押す幸子の肝の据わりっぷりなど、妻たちとのやり取りがとりわけ印象に残る。
終戦を告げる玉音放送をきいて「アメリカの探偵小説が日本で売り飛ばされるかも」「これでようやくまた、好きな小説が書けますね」と密やかに喜び合う乱歩と隆子の、似たもの夫婦な関係性は素敵だった。

横溝正史、松本清張、山田風太郎、鮎川哲也、仁木悦子、三島由紀夫、小関裕二……ほかにも実在する人物がたくさん登場して現代へとつづいていく様子に、読みながらワクワクした。

ちなみに本作は、"受賞作なし"という驚きの結果で終わった第173回直木賞の候補作でもありました。こんなに面白いのに……!直木賞って難しいんだな。
とはいえ、逆にこの結果だったからこそ候補作に興味を持ち、そして誰かに薦めたくなる、ということもあるのかもしれないと思う。逆販促というか。
皆さんもぜひ読んでみてください。間違いなく面白いです。

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2025年09月07日

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大正のいい時代に出会い、戦争を超えた二人の生き方が本当にあったかのように描かれていました。この小説を読んで鳥羽の江戸川乱歩記念館にも足を運んでみました。
ちょっと作家紹介が多かったような気がしますが、、、最後は泣けるところもあり良かったです、直木賞やったんじゃないかな?

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2025年09月04日

Posted by ブクログ

この二人でどんな物語を語るのか?興味深かったが、一人一人の物語はそれぞれおもしろかった。

ミステリー好きには、乱歩の部分はいろんな作家が出できたり、思わずニヤリしてしまう。
日本のシンドラーと言われる千畝の部分は、あの時代の運命に流されて翻弄されている。

読んでいる最中に直木賞にノミネートされたみたいですね。おめでとうございます。

帯に書いてあった通り、それぞれの分野に歴史を変えた2人をふとした所で出会い知り合う。
運命と言うのは摩訶不思議である。
25/06/12 25 冊目

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2025年10月04日

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もしも江戸川乱歩と杉原千畝が友人だったら?

「日本探偵小説の父」江戸川乱歩(本名:平井太郎)と「東洋のシンドラー」杉原千畝(ちうね)。二人は、旧制愛知五中及び早稲田大学の同窓生だった。若かりし日に二人は出会い親交を深める。やがて時代に翻弄されながらも探偵小説作家として、外交官として大成していく…

20代から晩年までおよそ40年間もの長スパンを描いており、飛び石で進むプロット。
明治末期から昭和中期にかけて、多くの歴史上人物が登場する。このような物語で読むと教科書では学べない因果関係や空気感が学べるので、日本史を勉強している中高生に読んでほしい。
ミステリ(探偵小説)好きな私は、乱歩の執筆史(
どの時代にどの作品を書いたのか)が興味深かった。初期の変態的作風から中期の明智小五郎シリーズ、少年探偵団、後期書けない苦しみを経て若手作家育成と変遷していく過程。戦前戦中の混乱期をよくぞ生き抜き、後世に続く探偵小説作家を輩出してくれたもんだ。まさに「日本探偵小説の父」である。横溝、清張、山風、仁木悦ら後続の探偵小説作家との絡みも、さもありなん。久しぶりに乱歩作品を読みたくなった。

杉原千畝のことは、恥ずかしながら知らなかった。この時代に上位方針に背き、人道支援をする信念は誉れ。ロシア語を流暢にこなすなど、語学に堪能なのもリスペクト。
作中に紹介されていたユダヤ人のイズレイル・ザングウィル作『ビッグ•ボウの殺人』も読んでみたい。

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2025年11月16日

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この時代が好きならサブキャラの登場とその名前にニヤリとしながら読めるのだろうけど太郎と千畝の出会いからそれぞれ歩み始めたあたりからのダイジェスト感がどうにも…な感じだった

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2025年10月31日

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SL 2025.10.5-2025.10.8
実在の人物を登場させたフィクション。
乱歩、千畝それぞれの人生は史実とほぼ同じようだけど、この二人が知り合いだったわけではないらしい。それにしても二人ともなんと波瀾万丈な人生だったのか。
乱歩のチャランポランさと千畝の誠実さがうまく噛み合っていいコンビになっている。
とは言っても、どちらもおのれに真摯に向き合っていて尊敬できる。

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2025年10月08日

Posted by ブクログ

『乱歩と千畝』は、探偵と外交官という異なる二人の生き方を通して、
「信じる力」と「守る勇気」を描いた物語だと感じた。
乱歩の想像力と千畝の行動力が交差する瞬間、
人の心の闇と光がくっきりと浮かび上がる。
歴史の中の真実を見つめ直したくなる一冊だった。

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2025年10月08日

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江戸川乱歩と杉原千畝
同じ早稲田大学の先輩と後輩。
早稲田の近くにある食堂の三朝庵で、
進路に悩む千畝に、平井太郎(江戸川乱歩)が
カツ丼を分けた事から二人は知り合う。
激動の時代を背景に、作家と外交官、
人生の過程において、何度か交差しながら
お互い、全く別の人生を歩んでゆく。

千畝の再婚した奥さん、幸子さんが、
仕事の事で愚痴をこぼす千畝に、苛立つ
場面がある、
『あなた方には才能がある。そして、才能を
生かせるステージに立っている。それなのに、
ちょっと自分の納得いかない仕事だからって
いじけてみせたりして。贅沢なのよ、
江戸川乱歩も。
才能はあなたたち固有の財産よ。それを磨いてきたのもあなたたちの努力。でも、ステージに立っているのは、多くの人が応援して、支えてきてくれたからでしょう?その人たちに応えなさい。
仕事というものはそういうものでしょう』
幸子さんの言葉に痺れる。
得意とする語学を生かし、人のための仕事を
したいという千畝、周囲を振り回しながらも
探偵小説家として邁進しようとする乱歩。
全く違うような二人だけれど、どこか
似通っているところがあるのかもしれない。
その後、自身の信念に従い、千畝は外務大臣、
松岡洋右の命令を無視し、ユダヤ難民に発給した
日本通過ビザ、「命のビザ」を発給する。
乱歩もまた、探偵小説家として大成する。

全くのフィクションだけれど、もしかして
乱歩と千畝、本当にこの二人、どこかで偶然
会ったりしていたのでは?なんて思わせて
くれて楽しく読むことが出来た。

乱歩、千畝を取り巻く、松岡洋右、古関裕而、
広田弘毅、川島芳子、広田弘毅、川島芳子、
山田風太郎、松本清張、美空ひばりなど、
実在の有名人が続々と登場してくるのも、
史実のようで、この小説の面白さと
なっている。
ちなみに私が気に入っている登場人物は、
いつも江戸川乱歩に振り回される松本清張だ。

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2025年09月28日

Posted by ブクログ

直木賞候補

星3.5
江戸川乱歩と杉原千畝が、愛知五中と早稲田大学の同窓生という共通点だけで、二人が知り合いだったらと作者が作り上げた物語。

ひらひらと飛んできた新聞に載っていた「外務省留学生採用試験」の公告を乱歩が千畝に教え、猛勉強して合格した千畝が外交官になるなど、現実離れしていて、漫画のよう。
また、乱歩の変人ぶりには度肝を抜かれる。

確かに読みやすく、面白いが、直木賞というにはちょっと弱いかも。著者には『浜村渚の計算ノート』『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』など若い人向けの人気シリーズがたくさんあるので、私よりも年齢層が低い人向けなのかも。

戦後、二人とも順風満帆とは言えない人生を送ったようだった。

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2025年09月25日

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