あらすじ
大学の先輩後輩、江戸川乱歩と杉原千畝。まだ何者でもない青年だったが、夢だけはあった。希望と不安を抱え、浅草の猥雑な路地を歩き語り合い、それぞれの道へ別れていく……。若き横溝正史や巨頭松岡洋右と出会い、新しい歴史を作り、互いの人生が交差しつつ感動の最終章へ。「真の友人はあなただけでしたよ」――泣ける傑作。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
どうして江戸川乱歩と杉原千畝?と不思議に思ったら、2人は同じ高校・大学の先輩後輩という共通点があるらしい。実際に交流があったかは謎だけど、そこから物語を構築する発想が面白い。さらに乱歩と千畝以外にも、横溝正史、山田風太郎、松本清張、美空ひばりなど、同時代を生きた人物たちが躍動する《if》が詰まった夢のある作品だった。的に興味があった江戸川乱歩と横溝正史の関係も掘り下げていたのも良かったな。
Posted by ブクログ
江戸川乱歩と杉原千畝。
事実なのは年齢が6歳差で、同じ愛知県立高校出身で早稲田大学(乱歩は卒業、千畝は中退)が母校ということだけ。
この2人が交流があったということはIFの話なのだが、広く世間にも知られている実際の個々のエピソードや、当時の社会背景をうまくリンクさせて本当に知り合いだったのではないかと思ってしまう。
少年の頃の面白エピソードから軍国主義にどんどん傾いていく日本の世相の中での彼らの漠然とした若い人特有の希望。
その後、特に誰もが知る、杉原千畝のユダヤ人へのビザ発給のあたりでは外務省の対応は本当に現代を生きる、戦争を知らない自分を含めた世代には理解し難く、やるせなさしかない。
さらに戦後の外務省の千畝への対応は、敗戦国であるからやむを得なかったのか?
5月の最後の空襲で燃えていく自宅を眺めている乱歩の姿。こちらの涙がこぼれてくる。
戦後、希望に満ちた若い子がどんどんでてくるのも楽しかった。
ほんの数行だけの登場の、歌が上手な「カズエちゃん」という女の子は不死鳥お嬢。おそらく。たぶん。
〜だったら約束して。この先何か迷うことがあったら、優しいと思う選択肢を取るのよ。
最初の妻のクラウディア(ロシア人)。
外交官の妻が、反ソ連と言われていた白系ロシア人というのはけしからんという上層部の理屈で離婚までする。(不本意ではあったが、千畝は離婚した方が大切な妻の命が安全だと考えた。)
最後、千畝は、妻に恵まれた(2人とも)人生だったと思いおこしていた。
ラストまでとてもよかった。
青柳碧人先生、ありがとうございました。
追記
お二人の出身高校の同窓会の集合写真に、前列左右の端と端に分かれて収まっているのを見た。(検索すると出てくる。)
ちょっとだけでも交流があったのかな?などと他愛のない想像を膨らませた。
Posted by ブクログ
平井太郎が江戸川乱歩になる前、杉原千畝が外交官になる前からのお話。史実通りでは出会っていないかもしれない2人。フィクションだろうけど、実際に会ったかもしれない世界。
ラストにかけて、バロンさんや、横溝正史に対して書いた書評が面々たる作家に影響を与え、松本清張など知っている名前も出てきて、最後の1文に全てが詰まっていて涙腺が緩くなった。
Posted by ブクログ
おもしろかった!!!!個人的に敬愛している杉原千畝さん、そしていつか触れてみたいと思っていた江戸川乱歩さんのコラボ、これは読むしかない!と思い、読んでみたら大ヒット!!!2025ベストブックかも?
古典はあまりなかなか手が伸びず、勝手に苦手意識持ってたけど、好きな作品に出てきたことで読んでみたいと思えた!史実的なことは参考文献がなかったからわからないけど、夢のコラボが自然に実現していて、2人の活躍やその裏の苦悩などが多様な登場人物と共に描かれていて、読み応えがものすごかった!!出会えてよかった!文庫が出たら必ず買います!
p.250
「男にとって、仕事とはなんだろうね」ため息をつくように、夫は言った。
「がむしゃらにやってやりたい仕事ができたと思ったら期待通りのものではなかった。それでも周りは出世したともてはやす。・・・・・人から見た幸せと、自分の中で納得いく姿が正離していく。
今になってようやく、あのときの平井さんの気持ちがわかった気がするよ」やっぱり、そうだったのだ。
外交官として、自分のロシア語が生かせない場所で出世することに対するもどかしさ。今までごまかしていた心情を、ついに夫は、幸子に吐き出した。
幸子の中にわきあがってきたのは、慰めたいという気持ちでも、労りたいという気持ちでもない。
いらだ
苛立ちである。
ぜいたく
「贅沢よ」
「え?」
横で夫は瞬きをする。幸子は布団の上に手をつき、半身を起こした。
「女学校に通っていたとき、「もし男に生まれていたら」ってずっと思っていたわ。男に生まれていたら、就職口の選択肢だってあっただろうし、小説を出版できる機会だって広がっていただろうって。でも先生は、裁縫と料理と言葉遣いだけを覚えたら、あとの勉強は男の人と話を合わせられるくらいの教養でいいなんて言うのよ」
あのときの悔しかった気持ち。だが今、心の中を占拠している悔しさはそれより一回り大きい。
「あなたが荷物に入れた「江戸川乱歩全集」、読んだのよ。鬱屈した、独りよがりな、気持ちの悪い心情描写。やっぱりまったく好きになれなかった。でも同時に、これを書いた人は小説家にしかなれなかっただろうな、って思ったわ。もし男に生まれていたとしても、私には到底たどり着けなかった境地。そう、私は小説家にはなれなかった」「何を言い出すんだ。平井さんに嫉妬しているのか?」
「あなたにもよ」
h 以的
興奮しつつ、夫の顔を指さす。
出まり
「私がドイツ語やフランス語を学ぶのにどれだけ苦労しているか知っているでしょう?それをあなたはやすやすと操るばかりか、英語もロシア語もペラペラで、いつのまにか私のダンスの先生と談笑できるほどフィンランド語もマスターしているじゃないですか」
「それはまあ・・・・語学は得意だから」
「あなた方には才能がある。そして、才能を生かせるステージに立っている。それなのに、ちょつと自分の納得いかない仕事だからっていじけてみせたりして。贅沢なのよ、江戸川乱歩も、杉原千畝も!」
「落ち着いてくれ、幸子」
「才能はあなたたち固有の財産よ。それを磨いてきたのもあなたたちの努力。でも、ステージに立っているのは、多くの人が応援して、支えてきてくれたからでしょう?」夫が息をのむのがわかった。
「その人たちに応えなさい。仕事というのは、そういうものでしょう?」そのとき、ドアが開いた。
「なになに、喧嘩してるの?」
節子が顔を覗かせた。弘樹がその横で目をこすっている。
探偵の三つの極意
・粘り強く、忍耐を忘れぬこと
・あらゆる階層から情報を求めること
・けして親しい友人など持たぬこと
Goodbye New York
『D坂の殺人事件』
『心理試験』
『ビッグ・ボウの殺人』
『本陣殺人事件』
横溝正史
小栗虫太郎
夢野久作
木々高太郎
鮎川哲也
仁木悦子
松本清張(森鴎外の記録)
Posted by ブクログ
杉原千畝と平井太郎、江戸川乱歩。空想だけど二人が出会ったら。早稲田。かけそば。カツ丼。ランポとセンポ。地元同じ。友人。史実とフィクションが入り混じる。書けない乱歩。外交官として優しすぎる千畝。過去に邂逅。二人とも誰かのために。
Posted by ブクログ
江戸川乱歩(平井太郎)と杉原千畝の前途多難な人生と、その友情を描く物語。
歴史に弱く、何がフィクションで、どれが史実通りなのかを判断できなかったので(知ってるのは千畝がビザを発行したことと、乱歩が作家ってことだけ)、すべてフィクションだと思いながら読みました。
三朝庵という蕎麦屋ではじめて太郎と千畝は出会うが、じつはその9年前に出会っていたという運命的な話や、太郎のどうしようもない生活など、最初のほうは平和でほのぼのとした展開が多く、後半は一変、戦争の鬱々とした話が続く。とくに千畝のターンはやきもきする展開も多く、おそらく史実どおりなのはこちらのほうでしょう。戦争やら、国の情勢やら難しい話も多かったですが、知識のないわたしでも分かるように書かれていて、最後まで楽しめました。
すごく読みやすく、面白い作品だったのですが、じつは読み終わるのに1週間かかりました。というのも、1章に詰め込まれるエピソードが濃厚すぎて、メモを取るのにとんでもない時間がかかったからです。2人の長い人生を1冊にするんだから、そりゃそうだよねとは思うものの、マジで濃い1冊だったんだなと読後の余韻を楽しんでいます。
それともうひとつ、この本はとても素晴らしいBL本です。作中になんともエモい描写が多く、妄想が爆発!
太郎と千畝は思い通りにいかない人生など、いろんなものと戦っていましたが、わたしもクソデカ感情と戦っていました。お仲間にはぜひおすすめしたい本ですね!
あ、腐ってない人は読み流してください。
Posted by ブクログ
二人の男の壮大なストーリー。
⭐︎4か5で迷ったが、後半にいくにつれて二人の絆が深まっていくのを感じ、感動したので⭐︎5
探偵小説家江戸川乱歩も命のビザを書いた杉原千畝も、もちろん名前もその功績も知っていたが、いざ二人がどんな人生を歩んだかというと、考えたこともなかった。
早稲田の先輩後輩という関係の二人が、もし蕎麦屋で出会っていたら…これぞ小説の醍醐味!という設定に心が躍る。
大筋としては現実に起きたことに忠実でありながら、二人の人生の重要な局面で、時には外国と日本という離れたところにいながらも二人は影響し合っていく。
全く違う職業の二人だが生き方には通ずるものもあって、その生き様はかっこいいなと思えた。
また、脇を固める幸子と隆子も凛としてかっこいいし、二人の周辺の人物(外務省の関係者、編集者や小説家など…)も味のあるキャラクターが多く、読んでいて楽しい。
戦前、そして戦争に向かう雰囲気、そして戦後と、知らない時代のことなのだが、リアルな空気感も伝わってきて臨場感があった。
実はこの作家は初めて読んだ。
以前「むかしむかし〜」を読みかけて挫折したことがあり苦手意識があったのだが、直木賞候補をきっかけに手に取った一冊。
読んで良かった!
Posted by ブクログ
若き日の、杉原千畝と江戸川乱歩が、こんな出会いをするとは、発想が斬新すぎる!
え?たまたま風が吹いて、乱歩の顔にかかった新聞から、とんとん話が進んできて、もう目が離せない!
杉原千畝は、歴史上、大勢のユダヤ人を救った素晴らしい外交官としか知識がなかった。
フィクションとはいえ、一人の人間として、生き生きと描かれていて、すごく魅力的に描かれている。
江戸川乱歩は、映像化されたものしか記憶にないが、
松田優作の「陰獣」や美輪明宏の「黒蜥蜴」が印象深い。
いつものごとく、岡本一平や松本清張、横溝正史などなど、有名著名な登場人物たちに、読んでいてほんと楽しかった。
そして、クラウディア、隆子、幸子の素晴らしい女性たちがストーリーに深みと華を添えていた。
戦前、戦中、戦後の日本をとても細かく丁寧に書かれていて、大変な時代を生きた方々だったんだと、ユーモアの中にもジンと来る本だった。
青少年が歴史を知る上でも、偉人を知るきっかけにもなる本。
大河ドラマになったら、うれしい。
Posted by ブクログ
江戸川乱歩という名前にだけ惹かれて購入。探偵小説が好きなので、登場人物にニヤニヤしながら読み終わった。江戸川乱歩と杉原千畝がもし出会っていたら…という一作であったが、二人の人生を通じて色々なストーリーが見れてとても爽快感のある読後だった。
読み終わった後作者が、昔話シリーズの人としり驚いた。
Posted by ブクログ
江戸川乱歩と杉原千畝は早稲田の先輩と後輩。調べるまでもなくこれは事実だろう。2人はそれぞれの人生の節目節目で影響しあう。その感じが絶妙。乱歩と横溝正史の関係も面白い。大正末期から戦後までの時代を生き抜いた偉人たちの若者らしい葛藤が描かれていて思いがけず、面白かった。また江戸川乱歩(平井太郎)のふざけた感じや、横溝正史をコテコテの大阪のおっさんに描いたのも斬新。
Posted by ブクログ
良すぎた
ほぼほぼフィクションなのわかってるけど、そこでこう来るか、の史実や登場人物の織り込みでストーリー巧みすぎる
自分は中高時代にミステリにハマり、江戸川乱歩の作品、初期の乱歩賞受賞作品読み漁り、大学時代に杉原千畝知り『六千人の命のビザ』を読み感銘受けていたので、なおさら琴線揺さぶられすぎてハマった
江戸川乱歩や戦後昭和のミステリ状況、杉原千畝を知って読むと良い
著者、書いてて「ここでこうしたらどうだろう」と色々発想して楽しかっただろうなー
Posted by ブクログ
どこまでがホントでどこからがフィクションかわからないけど、知ってる作家がたくさん出てきてキャラクターもみんないきいき描かれていて作家同士の関係性も楽しく、本当にこんなだったらいいなって思いながら面白く読みました。タイトルの2人の切っても切れない深い繋がりもよかった。
Posted by ブクログ
なんだこれは!
これは凄い。史実かどうかは置いといて、乱歩と千畝の友情。波乱万丈、壮絶、勇気、優しさなどなど盛りだくさん。登場人物も、推理・探偵小説の大家がどんどん出てくる。
そして、何よりこれは泣ける。 今年最高かな?
あのマスクをあの人がもらったのはウケる!
Posted by ブクログ
良かった!
2人が友人だったらの話だが、交わるはずのなさそうな経歴の2人が実は…と思わせる内容が面白かった。登場人物もそれぞれ歴史的に有名な人達で、特に探偵小説の歴史に詳しい人は興奮もの。
私的には横溝正史との関係が興味深く、次は金田一の小説を読むべく物色中。
Posted by ブクログ
第173回直木賞候補作品 初作家さんです
本好きじゃない日本人でも「江戸川乱歩」と言えば (怪人20面相、少年探偵団)とすぐに出てくるであろう 超有名な推理小説家
そして 杉浦千畝(すぎうらちうね)は「東洋のシンドラー」とまで呼ばれた
人道的な行いで有名な外交官
その著名な2名 6歳の年の差ではあるが、同じ早稲田大学出身、そして 旧制愛知県立第五中学校(現・愛知県立瑞陵高等学校)の出身者でもあった。
そんな二人がひょんなきっかけから出会い、そして それぞれの道を歩んでいく。
青春時代から戦時中、そして戦後へと日本だけでなく 世界のうごめく情勢に翻弄されながらも 強く生きていく二人とそして その家族たち。
フィクションではあると思うのだが(こんな展開があっても おかしくないよな)と思わせる 様々な出来事がテンポよく、面白く そして 苦しくせつない。
この作品の作家さんも早稲田出身ということで 敬意をもって執筆したのだろう。
「乱歩と千畝 RANPOとSENPO」という表題も粋で素敵だと思う。
時代小説が好きな方も 推理小説が好きな方も
ワクワクする本なので おすすめですよ。
Posted by ブクログ
江戸川乱歩と杉原千畝がそれぞれ作家、外交官に夢を抱いていた時に出会いお互い夢をかなえてゆく。このもし二人が出会っていたらという所から広がるノンフィクションの様なフィクション。偶然交差する時間、お互いに抱く感情、そしてそれぞれの成し得た人生、興味深かったです。
また、鳩山郁子さんの表紙が素晴らしい。
Posted by ブクログ
江戸川乱歩の人となりが良い加減で楽しい
一方杉原千畝の現実的な外交官の対比も面白い
実際の接点は虚構だろうが、周囲の人物がまた読ませる
妻子から有名無名な人たち、北里柴三郎博士、岡本一平、横溝正史
乱歩は探偵小説を書けなくなっても少年小説で流行作家となり、後進作家たちを助けていく
千畝は外交官として軍部に利用されながらもユダヤ人のためのビザを発行し続ける
それを助けるのが乱歩と横溝というのも嬉しい
没後の二人の間柄を思わせる結末も感動
Posted by ブクログ
江戸川乱歩こと平井太郎と「東洋のシンドラー」杉原千畝は同郷で、高校、大学の先輩後輩だった。
この意外な事実のみを手掛かりに作り上げた二人の(架空の)交遊録。
作者の手にかかると、千畝の人生の重大な岐路には太郎が、太郎のものには千畝が関わっていることになっている。
本書は同時に乱歩の千畝の評伝にもなっていて、特に乱歩が日本のミステリー界に残した偉大な足跡は第七話だけでもそれと知れるし、乱歩の破天荒な性格や語学に長けた千畝の生きざまも生き生きと感じ取れる。
作家たるもの、見てきたような嘘をつくものだなあ。
Posted by ブクログ
この本はノンフィクション?と、わからなくなってしまう位、リアリティ溢れる大作。
乱歩と千畝が本当に出身校が同じというのはビックリ。あまりに生きる世界が違う人だから、今までそんな共通点を感じることかなかったので。
2人以外にも作家、歌手など有名人がこっそりと多数登場。それがさらっと出てくるので、「あれ?本当に関わりがあるの?」と感じてしまう。
読み終えて…二人がもしリアルに交わっていたら間違いなくソウルメイトだったのではと思う。
読者にこう思わせられるのは、青柳碧人さんの筆力なんだろうな。
そして、乱歩と千畝にまつわる本が読みたくなってしまった。
Posted by ブクログ
瑞陵高校四天王が2人、江戸川乱歩と杉原千畝がダブル主人公とは贅沢すぎる!(うち1人はヒロアカの堀越耕平先生)各々の史は大体知ってるけれど、重なるところが楽しいね。
Posted by ブクログ
探偵小説家の江戸川乱歩と、多くのユダヤ人の命を救った杉原千畝。その2人が若きときに知り合い、友となったという設定で書かれた、ノンフィクションとフィクションを合わせた本書。
何者でもなかった2人が、抱いた夢を実現すべく、時に迷い、立ち止まりながらも歩み続ける。その姿、また彼らを支える人々に引き込まれた。
彼らのように歴史的に大きなことを成す人はほんの一握り。天賦の才というものはあるのだと思う。けれど、誰もが経験するように、悩み、迷い、立ち止まり、時に自信をなくす。そしてまた、そんな彼らを支え励ます友がいる。それが清々しい。
読後感がよく、楽しめました。
2人を取り囲む人々も魅力的にあるいは興味を引くように描かれています。横溝正史や松本清張、松岡洋右や広田弘毅。後者2人についてはほとんど知らなかったこともあり、あまり良い印象はありませんでした。でも、本書を通して、少しばかり興味がわきました。
Posted by ブクログ
アイドルオーディションで参加者がプロデューサーに言われているようなことを、杉原千畝が妻に言われていて、ちょっと押し付けがましいなと思ったけど、こういうことを言ってくれる人がいるからこそ、本人は腹を括って才能が花開くのかもしれない。知らんけど。
「才能はあなたたち固有の財産よ。それを磨いてきたのもあなたたちの努力。でも、ステージに立っているのは、多くの人が応援して、支えてきてくれたからでしょう?その人たちに応えなさい。仕事というのは、そういうものでしょう?」
Posted by ブクログ
面白かった。
江戸川乱歩と杉原千畝、探偵小説の大家とユダヤ人を救った外交官。
同じ時代を生きた2人には、同じ中学、同じ大学の先輩後輩という接点があった。
その2人が、もし出会っていたら.....
小説家が評価されるのは作品であり、その人となりを描いた伝記物など期待していない。
高明な外交官であっても、何をしましたなんて伝記には興味がない。
しかし、この2人が出会った頃の日本はダイナミックに動いていた。そして、2人はその波の先端で大きく躍動している。
静的な伝記ではない動的な2人の躍動感は、ひどく面白い。
ダイナミックな時代を一緒に生きたように思えた。
面白かった。
Posted by ブクログ
江戸川乱歩、横溝正史、山田風太郎、高木彬光、松本清張、三島由紀夫…錚々たる作家がどんどこ出てきて圧倒された。しかしどの方の本も読んだことがない。作家の名前だけ知ってて読んだことないコンプレックスが刺激された…。
Posted by ブクログ
乱歩先生と杉原千畝に交流があったなら、という設定での物語。
ミステリー仕立てなのかと思えば、それぞれの半生をなぞりながら、節目節目で二人が再会したり互いのことを考えたりする展開。
外交官らしからぬ優しさを持っている千畝と、何でも途中で投げて逃げ出す乱歩が、それぞれの道を突き進む姿が濃密なのにテンポ良く描かれている。
人付き合いが苦手な乱歩先生だが、彼の影響でたくさんのミステリー作家が生まれる様はワクワクしたし、千畝のビザを繋いだのに乱歩サイドのあの人が絡むというのも小説とはいえ嬉しかった。そのきっかけは犬神家だし。
それにしても二人が同じ中学、大学に通ったという共通点でここまでの物語にしたのがすごい。
そしてそれぞれの奥さんの苦労も覚悟もすごい。
Posted by ブクログ
もしも江戸川乱歩と杉原千畝が友人だったら?
「日本探偵小説の父」江戸川乱歩(本名:平井太郎)と「東洋のシンドラー」杉原千畝(ちうね)。二人は、旧制愛知五中及び早稲田大学の同窓生だった。若かりし日に二人は出会い親交を深める。やがて時代に翻弄されながらも探偵小説作家として、外交官として大成していく…
20代から晩年までおよそ40年間もの長スパンを描いており、飛び石で進むプロット。
明治末期から昭和中期にかけて、多くの歴史上人物が登場する。このような物語で読むと教科書では学べない因果関係や空気感が学べるので、日本史を勉強している中高生に読んでほしい。
ミステリ(探偵小説)好きな私は、乱歩の執筆史(
どの時代にどの作品を書いたのか)が興味深かった。初期の変態的作風から中期の明智小五郎シリーズ、少年探偵団、後期書けない苦しみを経て若手作家育成と変遷していく過程。戦前戦中の混乱期をよくぞ生き抜き、後世に続く探偵小説作家を輩出してくれたもんだ。まさに「日本探偵小説の父」である。横溝、清張、山風、仁木悦ら後続の探偵小説作家との絡みも、さもありなん。久しぶりに乱歩作品を読みたくなった。
杉原千畝のことは、恥ずかしながら知らなかった。この時代に上位方針に背き、人道支援をする信念は誉れ。ロシア語を流暢にこなすなど、語学に堪能なのもリスペクト。
作中に紹介されていたユダヤ人のイズレイル・ザングウィル作『ビッグ•ボウの殺人』も読んでみたい。
Posted by ブクログ
この時代が好きならサブキャラの登場とその名前にニヤリとしながら読めるのだろうけど太郎と千畝の出会いからそれぞれ歩み始めたあたりからのダイジェスト感がどうにも…な感じだった