あらすじ
多くの人々にとって、数学は学問である前に生活の知恵である。それは昔も同じことだった。算術は技術や商業とともに発展し、小数や対数といった新たな概念が誕生した。ケプラーは酒樽の容積を量る問題に悩み、パスカルは足し算と引き算ができる計算器を発明した。そして教育の近代化によって、「数学は生活の役に立つ」という実用性が大いに謳われるようになった。数学の芽はいつも身近なところから生まれ、やがてひとつの太い幹へと成長するのだ。下巻はルネサンスから20世紀初頭までの歩みをたどる。
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Posted by ブクログ
近世編はヨーロッパを中心として進んでいく。中世において三角関数が登場したにも関わらず、ルネサンスを迎えるまではただ金勘定のための技術でしかなく、しかも卑しい物として扱われていたためむしろ衰退してしまっていたというのには驚かされる。その一方で17,18世紀には負数、虚数、複素数、無限級数などが一度に開花したのも驚きである。残念ながらなぜこのように急激な発展をしたのかについては直接触れられていないが、一つには数学という学問が広く学ばれるようになったことが原因だろうこと思う。近代教育の祖であるペスタロッチの名が度々登場し、教育制度についての考察にかなりのページを割いていることから著者もそのように考えていることが伺える。