【感想・ネタバレ】初等数学史 上 古代・中世篇のレビュー

あらすじ

数学―ひと口に「数学」と言っても、数の数えかた、数字の書きかた、計算のしかたなど、時代と地域によってその姿はさまざまだ。ギリシア人は論理的な厳密さを極め、インド人はゼロを発見した。数字を書いて筆算をする人もいれば、算板を使って計算をする人もいた。本書は厖大な文献をもとに各地・各時代の事跡を収集。正確かつ内容豊富な叙述は、原書刊行から100年以上たった今なお他の追随を許さない。図版満載で読みやすい、数学史研究の記念碑的名著。文庫化にあたり中村滋氏による校訂を施した。

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Posted by ブクログ

 数の数え方から始まるこの本。最終章では三角関数が登場している。ここまで紀元前1600年頃から1300年頃と3000年ほどかかっている。しかもまだ割り算のやり方が定式化されていないだけでなく、ヨーロッパではようやく位取りが使われる、つまりやっと0が用いられるようになったという状況である。この先、微積分が発明されるまでまだ数世紀かかることを考えると、非常にゆっくりと発展してきたことがわかる。また、いずれの地域においても、古い時代では定理に対する証明がほとんどされておらず、問題と結果のみが記されているというのはおもしろい。古代の社会のあり方からすると、数学が宗教的な側面を持っていたのではないかと思う。書物として残すのは真理を記すという意味合いがあり、正しいのだから経過を残す必要がないということだったのかもしれない。後の時代からすればその正しさを確認するのが大変であるし、当時はどのような方法でそれを確認していたのか分からないため重大な発見が埋もれてしまっているかもしれないことを考えると迷惑な話である。

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2015年05月16日

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