あらすじ
リーマンショック以降、いまだに好転の兆しを見せない世界経済。
なぜ目下の増税や財政緊縮は愚策なのか? 失業者増加のダメージは一時的なものではなく、長期的にも経済をむしばむ?
では、各国政府と中央銀行、そしてわれわれが本当になすべきこととは――?
いま最も信頼できるノーベル賞経済学者が、ついに叩きつけた最終解答。
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Posted by ブクログ
著者のポール・クルーグマンを知ったのは以前NHKで放送されていた番組でした。
失われた20年といわれる不況を脱しきれない日本に対しての分析と対処法を分かりやすく語っていました。
なかでも印象的だったのは
「私は天皇陛下に謝らなければならない。」
という言葉です。
90年代の日本はバブルが崩壊して不況のまっただ中にいました。
当時プリンストン大学の教授で現FRB議長であるベン・バーナンキは日銀が採るべき具体的な行動を主張したのです。
同じようにクルーグマン教授も日銀の行動を批判していたわけですが、実際にバーナンキが日銀と同じ立場(FRB議長)に立ってみると当時の日本と同じようなことしかできていない。
だから日本謝れというのです。
第三者の立場から物をいうのと実際に当事者になって行動するのとでは
まったく違うということです。
ただ、だからといって当時の日銀が正しかったというわけではありません。
気持ちは理解できるようになったと言っているのです。
また厳密にいえば、謝るのは天皇陛下ではなく日銀総裁に対してなのですが、
そこは彼なりのユーモアなのでしょう。
文体も経済書独特の専門用語も極力使わず、口語体で書かれているので経済の知識がなくても十分に読んでいけるおもしろい作品になっています。
世界的な不況の原因は?
不況を脱するための方法は?
など今起こっている経済状況に少しでも疑問がある人はぜひおすすめの一冊です。