あらすじ
私立探偵フィリップ・マーロウは、ふとした友情から見も知らぬ酔漢テリーを二度も救ってやった。そして彼はテリーの殺害容疑を晴らす為に三たび立ち上るのだった! ハードボイルド派の王座を占めるチャンドラーが五年間の沈黙を破り発表した畢生の傑作、一九五四年アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作。
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男が本作品を読み終えた時、その感想は2つしかない。
1.こういうオトナになりたい(30歳未満)
2.こういうオトナになりたかった(30歳以上)
自らのモラルのみに従い、強く生きる。
まさにハードボイルドの王道ともいえる本作品の魅力は、やはり主人公フィリップ・マーロウのカッコよさにつきるでしょう。ストイックな生き方と、物憂げで感傷的な描写が絶妙にかけあわされ、忘れられないシーンとセリフが目白押しです。
「さよならをいうのはわずかのあいだ死ぬことだ」
「ギムレットには早すぎる」
くーっ、カッコよすぎる。人生で一度くらいは使ってみたいセリフです。
NHKドラマ「ロング・グッドバイ」の放送で今一度注目を集めそうな本作品。
戦後復興時の日本を舞台にフィリップ・マーロウがどう演じられるか、多くの方が興味津々だとは思いますが、個人的にはギムレットの扱いが気になります。
まさか焼酎になったりしないよね。
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Posted by ブクログ
2021.4.6 ノートから転記
とにかく主人公のフィリップ・マーロウがちゃんと格好いい。この本は浅利がとくに大好きな本だが、正義への気持ち、許すこと許さないことにおいて、浅利が受け取ったであろうものが見えた気がした。感想が難しいのでここからさ思いついたことを脈絡なく書く。テリー・レノックスと昔恋仲だったアイリーン・ウェイドが久しぶりに会った彼を、変わってしまったくだらない男と言い、主人公もラストで会った整形した彼をもう別人だ、と言う。同じ人物に対しての認識の重なりが印象的だった。
ハードボイルド的というのか。警察を通じた、正義と社会の仕組みが必ずしも一致しないことへのもどかしい感情や、出会う女性との甘く苦い展開(ただしこちらは個人的に好き)みたいなベタがあるにも関わらず、それが陳腐なものになってないというのは、やはり主人公の多大なる魅力によるものだと思う。村上春樹訳も必ず読む。今度は自分なりにもっと各登場人物の心情を想像して読む。もっと面白く読める気がする。