あらすじ
「静かな退職」――アメリカのキャリアコーチが発信し始めた「Quiet Quitting」の和訳で、企業を辞めるつもりはないものの、出世を目指してがむしゃらに働きはせず、最低限やるべき業務をやるだけの状態である。「働いてはいるけれど、積極的に仕事の意義を見出していない」のだから、退職と同じという意味で「静かな退職」なのだ。 ・言われた仕事はやるが、会社への過剰な奉仕はしたくない。 ・社内の面倒くさい付き合いは可能な限り断る。 ・上司や顧客の不合理な要望は受け入れない。 ・残業は最小限にとどめ、有給休暇もしっかり取る。 こんな社員に対して、旧来の働き方に慣れたミドルは納得がいかず、軋轢が増えていると言われる。会社へのエンゲージメントが下がれば、生産性が下がり、会社としての目標数値の達成もおぼつかなくなるから当然である。そこで著者は、「静かな退職」が生まれた社会の構造変化を解説するとともに、管理職、企業側はどのように対処すればよいのかを述べる。また「静かな退職」を選択したビジネスパーソンの行動指針、収入を含めたライフプランを提案する。
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Posted by ブクログ
<ポイント>
・手を抜くほど、労働生産性が上がる。今までのパラダイムが変換することばです。
・2割の商品で、8割の売り上げということを実践せよという働き方であるのかなという印象です。
<ピックアップ>
〇「静かな退職」とは、会社をやめるつもりはないものの、出世を目指してがむしゃらに働きはせず、最低限やるべき業務をやるだけの状態。
〇世界では、「静かな退職」は当たり前。
〇手を抜けば抜くほど「労働生産性」は上がる。
〇本質さえしっかり保っている「静かな退職者」ならば、誰も否定しない。
〇世界では、平均59%の労働者が「静かな退職者」に該当する。筆者的には、欧米に関して言えば、7~8割の従業員が「静かな退職者」にあたると考えている。おそらく、彼らはそんな手抜き仕事を真っ当と考えており、だからこそ「自分は静かな退職なんて不埒な働き方なんてしていない」と、数字が下振れしていると分析している。
〇昇進して短命に終わるのも、ステイして楽に長くも「自分次第」。上に行けば行くほど、死期が早まるという暗黙の了解もある。「分相応なとこ」に留まろうと思う。ここから先は危険だからやめとこうとか。
〇全員一律のキャリアではなく、選択肢から自分で選ぶ。
〇上司と顧客の言うことを聞き、馬車馬のように働く。その見返りは、昇給と昇級。そして年次管理による僅少差異の法則。
〇私生活を優先しながら、組織にとって厄介者にならないためにはどうすればよいか、その基本となるのは、「あなたにとって、持ち出しが少ないにもかかわらず、最大限のパフォーマンスを残せる行動をする。この基準を大原則として、重要となるのが、心証です。
〇まず第一に気をつけるのは、「身なり」「言葉遣い」「マナー」。
〇反論するエネルギーほど無駄なことはない。負荷が少なく心証点稼ぎをするためには、「反論をしない」という鉄則も心得る。反論するには、根拠を用意しなければならず、疲れる。そのうえ、相手は概ね不快に感じ、心証点が下がる。ただし、一つ例外として、「自分の業務が増えるような場合」のみ、上手に反論をすること。余計な仕事の話が沸き起こった時は、それこそ頭をフル回転させて、以下の構文に当てはめ、反rンをしてみる。きっと心証は良く保たれる。「賛成します。ただ、○○のところだけが気になります」これでひとまず時間を稼ぎ、その間に相手を見ながら「私だと、△の部分で無理が出ます。尖閣いい案なのだから、もったいない気がします。」と無視部。その時、「私よりも○○さんが向いている」という話は現金。そこで名前を出した人はあなたに対して必ず悪い心証を持つ。ただ単に、私ではもったいないから、ほかをあたってほしいと伝えるにとどめる。結果、上司はいったん引き下がり、周囲へ仕事の打診をすることになる。その後、「それでも君にやってほしい」と言われた場合は、潔くよく請け負う。その前段階で、上司からの要望を受け入れる同僚も多いだろうから、本来来るべきだった仕事は半分以下に減っている。そして、自分がそれをやらなければならなくなったときは、実は快く請け負い、そこでも心証点を稼ぐべき。最後に残ったピースを自分が請け負って、仕事は完遂できたこと。そして、上司の悩みの種も解消できたこと。こうした点をしっかり理解してもらい、自らの存在感を大いに高めることにする。
〇心証点稼ぎで重要なのは、「空き時間」の有効活用である。
〇やらなくてよいことは潔くやめる。「本当に効果があるのかどうかわからないけど、やっておくべきだ」というような意味のない常識をすべて排除すること。そのために、これは業績アップにつながるかを考えるクセをつける。
〇プラスを重ねるよりもマイナスの排除をする。成果の芽とリスクの芽を並んだら、後者を優先さえる。静かな退職者は、静かな毎日を送ることが最大の目標であるため、リスクテイクを優先する。
〇評価で下位2割にだけは絶対に入らない。身なりや言葉遣いなど、マナーに則した行動をしたとしても、業務負荷が増えることはない。「反論をしない」という原則は、「本気で色々考える」行為よりもはるかにラク。「本気で色々考える」行為はうまく言えば評価は一気に高まるが、そう簡単に実を結ばないので、なかなか心証を上げることはできない。同じ子同僚で考えるなら、明らかに「反論しない」方が、着実に心証点を上げられる可能性が高い。
〇完全フリーな空き時間は、「あすへの投資より、今日の心証点」を鉄則にする。そして、成果の芽とリスクの芽が並んだら、後者を優先さえる。
〇まず、「高い確率で業績につながる可能性が見える」仕事はしっかりやる。そして、評価や業績に関しては「下位3割には入らない」こと。本当に仕事のできない人は、ほとんど成果の上がらないタスク」に力を入れていたり、かすかな成果を追いかけ、リスクの芽をほったらかしにする。
〇次には、「メリハリ」。顧客やタスクをどれも同じと考え、自分の労力を公平にそそぐのは厳禁。ツボとなるところに集中し、あとは簡素に終える。
〇後輩指導の4つの鉄則
①マナー。いつも笑顔、丁寧な言葉遣い。決して怒気を含んではいけない。
②業績につながる可能性が高いことに集中的に伝える。
③自分の静かな退職哲学をうまく伝えること。「私は、合理的な人間で、うまくいく可能性が高いことに絞って仕事をする。やっておけば将来どこかで役に立つ、というような確率の低いことはしない。そういう部分は襲えられrないが、仕事の中核である業績に直結した部分については、私から学べるはずだ。あとは、ほかの先輩についたときに、学んでほしい」
④「Way」で指導する。「この通りにやれば、うまくいく」という成功への道筋を示すやり方。
〇面倒な仕事を後輩に渡すコツとして、面倒な仕事をやってもらう場合には、前もって計画的に、いつ、どのような仕事を任せるかを伝え、その意義もしっかり伝える。
〇チーム活動では、2,3番手で楽をする。
〇まとめとして
・身なり、言動に気をつけ、マナーよく接する。
・基本、反論しないで肯定する。
・自分がかかわる業務が増えるような上司の提案には、「大賛成です。ただ、○○のところが気になります。」これでひとまず時間を稼ぎ、その後「私hがそれを請け負うとすると、△な部分が足りない気がする。せっかくいい案なのだから、もったいない気がしますね」と結ぶ。
・ブラックボックス化した自分の得意領域に逃げ込む。
こうした基本則を一二分に活用しながら、あとは、あなたは早く帰るために、「業績に直結する可能性が高い仕事」を猛烈にこなせばいい。黙々と仕事をしていれば、「忙しいオーラ」が出る。そして、暇な時間ができたら、電話取りや雑用のような周囲への奉仕にいそしむ。心証点を上げる。
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Posted by ブクログ
「静かな退職」と聞くと「働かないおじさん」と連想してしまう人がいると思いますが(わたしがそうでした)、
内容はまったく反対のものでした。
上を見て働く(出世のために働く)のではなく、
足元を見て働こう(自分の身の丈にあった仕事を的確に熟そう)、ということなのだと思いました。
・マナー良く
・反論せず
・新規チャレンジせず
・得意分野を確立する
効率的に成果を出していくことで、生産性の高い人財となるにはどうするか?
ということが書いてあり、自分にとって最適なライフワークバランスを目指すことが大事なんだと提唱してるようにも感じます。
ただ、本書にもあるように、日本企業は誰にでもエリート街道に乗れるような錯覚があることも事実です。とくに日本は中小企業がやたら多く、実務者レベルのスキルしかないのに会社役員になれてしまうような社会構造です。
本書の言う「静かな退職」という生き方が大半になると、日本が誇ってきた「中流階級」が没落し続けると思いますが、それは好むと好まざると止められないのかなと感じます。
Posted by ブクログ
・「静かな退職(Quiet Quitting)」とは、会社を辞めるわけではなく、出世や過剰な奉仕を目指さず、与えられた仕事をきちんとこなすが、それ以上はやらない 働き方を指す。
・日本では「退職」という語感からネガティブに受け取られがちだが、本書はこの働き方を取り巻く 社会的・構造的変化 を読み解く内容となっている。
構成は以下の8章。
1.日本に蔓延する「忙しい毎日」の正体
2.欧米では「静かな退職」が標準であるという現実
3.「忙しい毎日」が再生産される仕組み
4.「忙しさ」を崩す伏兵の登場
5.「静かな退職」を実現するための仕事術
6.「静かな退職者」の生活設計
7.企業経営が変わる「静かな退職」
8.政策からも「忙しい毎日」を抜き取る
・第1章では、日本で長時間労働や過剰な業務が常態化した理由を分析。終身雇用、年功序列、奉仕的労働の美徳化といった文化が「忙しさ」を再生産していると指摘する。
・第2章では、欧米では「静かな退職」的な働き方がむしろ標準であることを紹介。労働者はプライベートを重視し、仕事との間に明確な境界線を引いている。
・第3章では、「忙しい毎日」が強化され続ける仕組みを説明。個人の努力主義や企業の評価制度が「頑張る人ほど報われにくい」構造を生み出しているとする。
・第4章では、価値観の多様化、女性の社会進出、副業・兼業の広がりなどが「忙しさ」を揺さぶる変化として描かれる。
・第5章では、「静かな退職」を選ぶための具体的な働き方を提案。
-「やらないこと」を明確にし、境界線を引く。
-与えられた職務を誠実にこなしつつ、過剰な奉仕を避ける。
-外部市場を意識し、スキルアップや副業を並行する。
-職場で良好な印象を保ちながら、余裕ある働き方を実現する。
・第6章では、静かな退職を選ぶ人の生活設計を扱う。収入・支出・キャリア・貯蓄などを見直し、長期的なバランスを取ることが重要だと説く。
・第7章では、企業側の視点を提示。静かな退職者を「怠け者」と見るのではなく、組織の成熟や効率化を促す存在 と捉えるべきだと主張する。旧来の「根性型労働」はすでに機能不全に陥っていると論じる。
・第8章では、働き方改革や制度設計の観点から、社会全体で「忙しい働き方」を是正する方向性を提示。政策・文化・組織構造の三位一体で変革が必要だとする。
・著者が伝えたいのは、静かな退職は怠惰ではなく、自分と仕事との関係を再構築し、長く健やかに働くための戦略的選択 だということ。
・また、個人の問題に矮小化するのではなく、制度・文化が生む「過剰な忙しさ」の構造を直視すべきだと訴える。
・仕事以外の価値――家族、健康、趣味、自己成長――を重視し、「最低限+余裕あり」の働き方を選ぶことこそ、これからの時代の適応力になると結論づけている。
Posted by ブクログ
本書は、今日本でも注目されている「静かな退職」の背景と、日本社会での今後の対応策を紹介した一冊。
特に、2000年代の女性の出産ラッシュが契機となったという視点は新鮮で興味深かった。
また、欧米で静かな退職が当たり前とされる環境を丁寧に説明しており理解が深まった。
著者は、日本でも「忙しい日常から離れること」がケアワークなどの社会課題解決につながると提案。
高度プロフェッショナル制度を労働条件改善と合わせて進めるという考えには共感したが、ジョブローテーション廃止など現実的な実行には課題も感じた。
AI導入の影響にも今後触れてほしいと思う。