あらすじ
本屋大賞ノミネート作、待望の文庫化!
宙には、育ててくれている『ママ』と産んでくれた『お母さん』がいる。厳しいときもあるけれど愛情いっぱいで接してくれるママ・風海と、イラストレーターとして活躍し、大人らしくなさが魅力的なお母さん・花野だ。二人の母がいて「さいこーにしあわせ」だった。
宙が小学校に上がるとき、夫の海外赴任に同行する風海のもとを離れ、花野と暮らし始める。待っていたのは、ごはんも作らず子どもの世話もしない、授業参観には来ないのに恋人とデートに行く母親との生活だった。
代わりに手を差し伸べてくれたのは、商店街のビストロで働く佐伯だ。花野の中学時代の後輩の佐伯は、毎日のごはんを用意してくれて、話し相手にもなってくれた。ある日、花野への不満を溜め、堪えられなくなって家を飛び出した宙に、佐伯はとっておきのパンケーキを作ってくれ、レシピまで教えてくれた。その日から、宙は教わったレシピをノートに書きとめつづける。
──きっと、この物語はあなたの人生を支えてくれる。
文庫化にあたり、単行本の初版カバーに掲載した掌編に加え、書き下ろし掌編を収録。
解説は、作家の寺地はるなさん。
※この作品は過去に単行本として配信されていた『宙ごはん』の文庫版となります。
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Posted by ブクログ
人生の現実の姿をありのままに描く作品
○この作品を読んで
この作品は、生きることについてさまざまなことを教えてくれる。自分がこの本から学んだ人生のことを書く。
①ごはんの力
会社の打ち上げや歓送迎会、政治の食事の場、晩餐会、初デートの場。これら全てに共通するのが、「ご飯(食事や飲み物)」があること。当たり前だけど、食事の存在って人間になくてはならないもの。それは、体のエネルギーとして必要ということではなく、人のつながりを作る上で必要だと思う。その重要性が、「宙ごはん」に詰まっていると思う。
パンケーキで元気になる宙、育児などで元気の無くなっている人へのポタージュ、一歩を踏み出す力をくれるチャーハン。美味しい食事には、無限の可能性があるのかと感じさせる物語だった。
②人の死について
人は、突然死ぬ。それを、この作品で再確認できた。今目の前にいる人も、いつ死んでもおかしくない世界を生きている。解説の寺地はるなさんも「現実には必然性があると感じられる死など存在しない」という。自分の理想は、愛する人に囲まれながら亡くなることができることだと思うが、そうでない死が大半だろう。事故死、自死、病気による死など。今が永遠に続くことはないが、そう思い込んでいる自分がいる。その考え方をいい意味で壊してくれるのが、この作品(瀬尾まいこさんの「幸福な食卓」も)
③人は変化して生きていく
人は成長している、変化している。今してしまった失敗は、これまでやこれからの自分を否定されるような感覚を覚える時がある。しかし、そんなことは考えなくていい。だって、「ひとはきっと、いつでも変化の一歩を必死に踏んで生きていく」から。周りの人に支えられながら、時には失敗して大事なものを失いながらも成長して生きていく。だから、自分も今の自分に悲観し過ぎることなく、失敗を経験として活かしていくことが大事。
④謝罪の罪について
「謝罪って、時には自分のためのものになってしまうんだね」この言葉は衝撃的で、ハッとさせられるものだった。謝罪って、何かやらかしてしまった時に、真っ先に思いつくし、子供の頃から「謝ること」≒「解決、許してもらえる」ということを教えてもらってきている。しかし、それを相手が受け取れる状態なのか、それで納得できるのか。と言うことは考えないといけない。さもないと、謝罪が「暴力」になるかもしれない。
特に、佐伯の食事を通して人の胃袋のみならず、人の心や生きる力を支える姿には感動した。「思いがこもった料理は、ひとを生かしてくれる。目の前の光景が、宙にそう教えてくれていた」料理には無限の可能性がある。最高の一冊。
Posted by ブクログ
子どもって、大人が思ってるよりも大人。
だからこそ、護られなきゃいけないし、「誰か」が、側にいないといけない。
物語には、純粋な子どもと、ちょっと身勝手な大人がたくさん出てくる。
その「ちょっと身勝手」な中で、子どもたちがどう大きくなっていくか、が描かれたおはなし。
宙が、いろーんな大変に向き合いながら、ちょっとずつ大きくなっていくなかで、終盤。
やっちゃんが死んだ時は、どうして殺しちゃったのー!って、町田さんを恨んだ。
でも、伝えたかったのはこれかな、とも思った。
赦しを乞うことは、時に暴力になる。
それぞれが乞うた、赦し。
でも、みんな、赦されなかった。
でも、それを背負って、生きていくしかない。
本ではハッピーエンドです、ちゃんちゃん。ってなるかもしれないけど。きっと、物語のなかの現実はそうじゃない。
いつか、ラストまでの空白の間の、それぞれの話が知りたいな。