あらすじ
窓に映る幽霊の影が目撃したもの。事件当日にメイドが大空に見た不吉な兆候。カジノのルーレット係の奇怪な振る舞い。一枚の絵が語る自殺の真相──事件の陰にドラマあり。神秘の探偵ハーリ・クィン氏と、人生の観察者サタースウェイト氏の名コンビ登場。幻想的な連作短篇十二篇。
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Posted by ブクログ
アガサ・クリスティー が生んだ「推理をしない名探偵」ハリー・クイン登場。ハリー・クインは(たぶん人間ではない)「死者の代理人・恋人たちを救う男」なので、推理しなくても最初から全てを知っている。そこでハリー・クインは、「他人の人生の傍観者」サタースウェイト老人にヒントや霊感を与え、彼に事件を解決させる。
事件が解決し、ハッピーエンドで終わっても、ハリー・クインは悲しげに去ってゆくことが多い。その理由は、
1.死んだ男が、生きている妻・恋人を救うため、「死者の代理人」ハリー・クインに仕事を依頼する。ハッピーエンドで終わっても、死んだ男の愛は、生きている妻・恋人に届かない。届いても、死んだ男が生き返ることはない。
2.ハリー・クインには「死ぬと決まっている人間の運命」を変える力はない。最悪の場合、「死ぬと決まっている人間」に「幸せな夢」を見せてから死なせることがある。『道化師の小径』では、サタースウェイトを使わず、ハリー・クイン本人が「幸せな夢」を見せる仕事をした。
……こういう宿命を背負うハリー・クインは事件解決後、「その先に何もない断崖の端を目指して去ってゆく」、あるいは「いつの間にか消える」ことが多い。ハリー・クインという人名には「道化役者」という意味があり、普通の人間には一瞬、彼の姿が「仮装した道化役者」に見えることがある。
本の題名通りハリー・クインは「謎の探偵」。なお、読んだ『謎のクイン氏』は石田英士先生が翻訳した古い本。
Posted by ブクログ
サタースウェイトとクィンが登場する短編集。12作品。
サタースウェイトは、物語の主人公である。
話によっては69歳となっている。
引退して余生を送っているので、探偵というわけではない。
クィン氏は、突然現れて消えてゆく謎の人である。
サタースウェイト氏が、事件を解決するのを誘導する質問をする。
「事実をありのままに見る」
と、見えてこなかったことが見えてくるという。
出しゃ張りのポアロに対して、
真逆の性格のようだが、
事実に対する接近方法は、似ているかもしれない。
人が思っていることの中に、回答があるという。
Posted by ブクログ
サタースウェイト氏、いいキャラだった 三幕の殺人の前に読めてたらさらに楽しめたな〜読み直すべき?
クィン氏のことをいつも気にしていてちょっとのことですぐ連想したり、会えたらテンション爆上がりなのよかった
でもほとんどの話が難しくて理解できなかった… 最後の話クィン氏がピエロになって踊りだすのが一番謎だった どういうことなの すぐいなくなっちゃうし
ラジオを聞いてほしいって言ってくる話がおもしろかった
友達が中学生の頃アガサ・クリスティにハマって、歌声で窓ガラスを割りたいと修行しだしたのはこの短編集のせいだったのかも