あらすじ
デジタル化やグローバル化などの社会変化を背景に、世界各国が教育改革を加速させている。
本書は国連やOECD、ユネスコなどの国際機関、各国での議論を踏まえ、これからの教育を考察する。
新たな時代に求められる能力や主体性、ウェルビーイングとは何か。
各国が直面する教師不足や過重なカリキュラムへの対応策は。そして、日本に欠けている点とは。
一人ひとりの子供が尊重された、あるべき教育、学校の未来を探る。
■ 目 次 ■
はじめに
序 章 変わる世界の教育
1 デジタル化の影響
2 「学力世界一」の交替
3 教師を取り巻く環境の変化
第一章 教育は何を目指すべきか
1 世界のパラダイム転換
2 国連が採択したSDGs
3 ウェルビーイングへの注目
4 人間重視に立ち返る
第二章 「主体性」を捉え直す
1 理想と現実のギャップ
2 そもそも共通理解はあるのか
3 国際的な視点から問い直す
第三章 子供たちに求められる「能力」
1 能力とは何か
2 「非認知能力」の重要性と落とし穴
3 能力を発揮する方向
第四章 「探究」の再検討
1 「総合的な学習の時間」の導入
2 前提としての方法論
3 成功するための条件
第五章 何をどこまで学ぶべきか
1 「広さ」と「深さ」のトレードオフ
2 問題の背景
3 見えてきた解決策
終 章 これからの教育はどこへ向かうか
1 ニュー・ノーマルの教育像
2 未来の学校はどうなるか
おわりに
主要参考文献
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Posted by ブクログ
様々なメディアの情報で日本の教育には課題が多いたいうイメージを持っていた。もちろん課題は多いが、世界にも共通する課題があること、日本の教育の成果を知ることができた。テクノロジーの進歩に後押しされて社会全体が大きく変化する中、教育がどう変わらないといけないのかを世界の動向とともにら学ぶことができた一冊。
特に学びになったこと
•世界的な教員不足と貧富の差による人材の流出
•SDGsとウェルビーイングの共通点と差異
•これから目指すべき主体性について(学力=業務での成果、ではない)
•探究の方法を学びプロセスを回すこと
Posted by ブクログ
国連、OECD、コンピテンシー、探究、ウェルビーイング… 昨今の教育のキーワードを国内、国外の両観点から検討する。このあたりの知識が不足していたので、補うために読んだ。現場ではこのような言葉を推進する立場にあるので、活かしていきたい。
Posted by ブクログ
世界の教育に対する認識や動きを知ることができてとてもためになった。
また、読んだ後に世界の教育、そして日本の教育はどうあるべきなのか非常に考えさせられた。
筆者は多様な組織での仕事を経験し、それぞれの立場での考えなどを理解しているからこその本書であると感じた。教育に対して俯瞰した視点を与えてくれる本だと感じた。
何を重視する教育が良いのかはそれぞれの価値観が大きく関与するため、正解はないのだが、国として、教育水準を均等に保つには、どこかに比重を置いたカリキュラムを作る必要がある。しかし、昨今、問題や必要とされる能力が多様化してきているため、カリキュラムのオーバーロードが起きてきている。また、教師の過労働問題もある。何を取捨選択するかは俯瞰で考え、決める必要があるというのはとても響いた。
まずは日々の中で定められているカリキュラムの意図や「探究」などの広義な言葉の定義について改めて深く考え、周囲の意見も聞いてみたいと思う。
Posted by ブクログ
現在の教育現場ではやることだけが無秩序に増えている疲労感が充満しているように感じている。本書は教育活動の足場は何かを再考させるための情報を提供してくれるものだった。
Posted by ブクログ
日本の教育につけては、学んだことがあったが海外の教育については学んだことがなかっため、この本を読みました。
内容は、OECD、SDGs、PISAなどをもとに現在の世界の教育についての取組を紹介されています。
その中でもキーワードは、ウィルビーイングです。
教育もデジタル化が進んだり、金融教育、プログラムミングなど、日々変化しています。
この変化をどう乗り切るのか?保護者だけでなく学校も、一緒にこの変化に対応する方法を考えていくことが大事だと思いました。
特に、保護者は学校の変化は気づきにくいため学校または教育委員会からの積極的な情報発信を期待したいです。
Posted by ブクログ
能力や探究といったホットトピックスの世界的な動向をわかりやすくまとめてくださっている。
あとがきに筆者自身が書かれているが、以下の視点をもって、一面ばかり喧伝されがちな様々な教育に関する情報発信を冷静に見極めたいと感じた一冊。
「教育は社会の実情を踏まえて形成されているので、何が正解とは一概には言えないのだが、日本にいると、諸外国の優れた側面にばかり目が行きがちである。」
「国際的な教育の動向にしっかりと目配りしながらも、常に批判的な視点を忘れずに、日本の教育の強みを生かしていくためにはどうすべきか、冷静に考えていくことが必要だろう。」
Posted by ブクログ
「探究学習」の課題を冷静に分析し、その現実的な可能性を論じている視点がとても参加になる。
「教育をエコシステムで考える」という指摘も傾聴に値する。
タイトルは「世界の教育」だか、日本の教育の現状を概観し、その今後を検討する上で役立つ。
表現も平易で読みやすい。
Posted by ブクログ
文科省だけでなくOECDでも勤務経験のある著者。
最近のウェルビーイングとか探求とか、うーんと思っていたこともOECDまで遡ると経緯や理念にも納得。官僚まではこの目線を共有してるので、問題はそこから先の組織への伝わり方なのか勉強不足なのか…。
Posted by ブクログ
文科省やOECDで勤務経験がある筆者は、各所で得た知見をもとに、「主体性」や「探究」など、現代の教育におけるテーマについて冷静に分析している。
分析だけでなくそれぞれに関してどんな方向が望ましいか、筆者なりの考えも述べてあるので参考になる。
Posted by ブクログ
「教育の未来」に対する漠然としたイメージや、「学校は今後どうなっていくのか」といった不安について、世界の動向や具体的なデータを元に書かれている。
●躍進するシンガポール
→「教育活動におけるゆとり」と「厳しい競争原理」によって効果を上げている。日本も参考とすべきポイントが多い。
●「教師」から「教育者」へ
→「教育」は、より広く開放的なものとなる。学校教育に携わるのは教師だけではないし、教師のキャリアも多様化して然るべき。
●「個人の尊厳」に向き合う
→教育大国シンガポールは、意外にも日本より「いじめ」が多い。「個人の尊厳」が大切にされた素晴らしい教育と断言できるか。
●主体性とエージェンシー
→「変化を起こすために、自分で目標を設定し、振り返り、責任を持って行動する能力」「エージェンシーは他者との関係性の中で育つ」
●認知能力と非認知能力
→能力を発揮すれば良いわけではなく、文脈に応じて、能力をどの程度発揮するかという「加減」「塩梅」こそが重要
●「探究」の再検討
→「方法論」を重視しながら、各教科でも積み上げていくべき。教師の役割はあくまでもコーディネーター。
学校は、時代が移り変わろうとも、教育の場として絶対に必要なものである。
Posted by ブクログ
OECDの教育政策の説明である。OECDの教育政策を論文としようと考えている学生にとっては、この本を読んで基礎的な知識をえることが望ましい。現在のことでは、オーバーロードの部分がカリキュラク削減の参考にはなると思う。金融リテラシー教育と金融リテラシーが必ずしも関係しないということは他の本ではなかったように思う。ここには特徴がある。
Posted by ブクログ
仕事の情報収集として。最近の潮流を、キーワードをもとにわかりやすく解説していた。
以下、メモ
(読後しばらく経ったのでだいぶうろ覚えになってる…)
・一時のフィンランドブームはPISAの結果とともに下がり気味
・探究の問題と解決法(子どもの思考は本当に深まっているのか?)
・SDGs、ウェルビーイングといった最近のトレンドは何を目指しているのか
・能力をコンピテンシーで測る(スキルではなく)
Posted by ブクログ
教育の本はあまり現場を知らない人が書くと胡散臭いものになるが、的は外していない本であった。ただ、筆者は教育過程について携わっている。教育課程のオーバーロードは問題視しているが、現場では解消されていない。また、共通テストの科目についてもオーバーロード感は否めない。6教科も入試で必要なのか非常に疑問。入試で勉強しても大学では役立っていないギャップもある。概論ではなく具体策でどう変えていくのか確信が見えなかった。
Posted by ブクログ
世界の経済の変化から教育に求められるものがどのように変容してきているか、それをふまえて何が求められているかを述べた本。
メモとしては
教育の世界で注目を浴びているのは4つのC critical thinking, creativity, communication, collaborationである。
社会に出た後で、必要となる能力にも2つあり、abilityとcompetencyである。competencyは成果につながる能力とも考えられ、正しい文脈の中で知識を組み合わせて相手を説得したり、解決策を見出す能力であり、注目される。
近年、これまでの教育が認知能力重視だったこともあり、非認知能力(non cognitive)に期待がよせられている。