あらすじ
「この宇宙をまんべんなく支配するもろもろの法則のうちで、ロウソクが見せてくれる現象にかかわりをもたないものは一つもないといってよいくらいです」ロンドンの貧しい鍛冶屋の家に生まれたファラデーは、1本のロウソクを用いて科学と自然、人間との深い交わりを伝えようとする。子供たちへの慈愛に満ちた語りと鮮やかな実験の数々は、科学の面白さ、そして人類の未来をも照らしだす。時を超えて読者の胸を打つ感動的名著。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
本書は、平成24年に改版初版発行されるまで、文庫本(昭和37年初版)で既に62刷されているというモンスター本。
「ファーブル昆虫記」と並んで「ロウソクの科学」は子供向け学術書として特に有名ですが、私はどちらもきちんと読んでいません。
両著とも小学校の図書室で借りた記憶は薄っすらあるのですが、完読はしていません(多分)。
そして改めて今回、仕切り直しです。
内容は、児童書にしてはかなり高度なのに驚かされました。それもそのはず、本書は子供向けの特別講演ではなく、1861年王立研究所で開催された6回にわたるクリスマス講演(もちろん青少年も参加)なので、一般公開とはいえファラデーの同業者や王侯貴族らも参加した学術的なものでした。
ではなぜ、児童書として語り継がれてきたのかといえば、ファラデーがやさしく青少年に向けて講演するという体裁をとったためだと思われます。もちろん図画(講演では実験)も交えて分かりやすく語っていますが、中々の難物です。小学生の私の挫折も腑に落ちます、なんちゃって。
しかし、ロウソクという身近なものをトコトン突き詰めた実験の数々は、科学(化学)の面白さと不思議さを気づかせる契機となるに十分です。
残念ながら私は例外でしたが…